コロナ禍に成って、初めて『芝居』に行きました。
場所は、人形町の『明治座』。恐らく三木のり平劇団の「文七元結」を観て以来の『明治座』です。
演目は、黒澤明原作の『酔いどれ天使』。演出は三池監督。主演は、映画で三船敏郎が演じた松永役を桐谷健太さん、志村喬さん演じる真田役は、高橋克典さん。
そして脇を固めるのは、ぎん役に佐々木希さん、美代役に田畑智子さん、奈々江役には、篠田麻里子さん、そして仇の岡田役を髙嶋政宏さんが演じます。
ウーン、黒澤明の映画は勿論、二回、過去に観た上で、申しますが、映画のテーマには、『戦争』と言う物が色濃く表現されて居たが、この芝居はほぼその臭いはしません。
うーん、高嶋政宏さんが、務所帰りで、まだ、米国と戦う気でいるのが、唯一、その臭いを感じる場面でしたが、
そんなのは、一瞬。舞台は戦後の闇市ですが、戦争を感じさせる、考えさせる演出は、ほぼ、微塵も無く、
三池監督の『反戦』を捨てた演出が、全面に出ていて、科白では貧さや、ギラギラした欲望を表現しようとしているのに、
『戦争』から遠い位置で、芝居するから、なかなか伝わらない気がする舞台になりました。
特に、ドブ川やドブ池を、映画の様に視覚には訴えられないので、其れを科白にするのですが、
やはり、弱い存在で、又、幸せとは?!と、家族が干す洗濯物で表現しようとするのですが、
映画のように、さりげなくではなく、洗濯物がメインになり、其れに向かって桐谷健太さんが死ぬのは、『?!』でした。
一方、良かったのは、展開が早く、基本映画と同じ場面を踏襲している事が、三時間を越える舞台を退屈させないし、
映画には無く舞台ならでは、心の描写が実に上手く、場面、場面で挟まれておりました。
あと一番気に成ったのは、佐々木希さんの方言。北陸出身と言う設定なのに、なぜか?高知弁、土佐言葉な感じなんです。
北陸の、石川、富山、新潟の地方には、あの土佐のような訛りが在るのかな?!私が無知なだけなのか?気になりました。
9/20は、オンライン配信されるそうですし、次は大阪公演です。是非、舞台を観て、映画の方も観て欲しい作品です。