春陽先生が、連続読みでお届けされている『徳川天一坊』の連続二十話の今日は四話目。

いよいよ、大岡越前守の天敵、山内伊賀亮が登場する回でした。





1.山内伊賀亮登場!

マクラでは、島根県益田市へ、春陽先生、坂本頼光さん、桂吉坊師匠、そして玉川奈々福さんも一緒のはずが。。。

曲師・豊子先生が、コロナにかかり、奈々福さんは濃厚接触者で益田へは行けなく成った話から始まりました。

豊子先生は、ワクチン様々ですよ。無事に回復されて、是非!百まで三味線弾いていて欲しい。

さて、この益田市の話題で、記憶にあるのは、坂本頼光さんと春陽先生で、工藤会の野村悟会長に死刑判決が出た話題で盛り上がった話になり、野村会長の捨て科白!『後悔させてやるぞ!!』は使えるッて話に。

しかし、コロナを理由に公演を中止にした主催者や、予約して於いてドタキャンした客に『後悔させてやるぞ!!』と、芸人が言っても、

『ハイハイ、お戯れを!』と、殆どの場合は、受け流されて終わりです。

ある意味、野村会長は凄い!と言う話になり、実は、頼光さん、春陽先生の二人とも、ヤクザ任侠道専門雑誌を、コンビニで買うと言う、妙な任侠マニアだった事が分かる。

春陽先生曰く、その任侠雑誌には「刑務所お便り通信」みたいなコーナーがあり、『前略、兄貴!お元気ですか?』みたいな、

刑務所に居る舎弟分から兄貴分への手紙を紹介するようなお便りコーナーがあり、それが一番のお気に入りだったと春陽先生は言っておられました。

あぁあと、坂本頼光さんは、モノマネが非常に上手く、弁士だけあって、トーキー映画がもモノマネでセリフ丸暗記らしい。

『柳生一族の陰謀』の松方弘樹を、延々真似して呉れたとか。しかし、松方さんの演技は、萬屋錦之介に比べたら、全く駄目!と、熱弁を振るう。

そして、全く別の日ですが、兼好師匠のお弟子さん、けん玉だった兼太郎さん、彼は若いから女優・浦辺粂子さんを全く知らなかった。

其れを、ある会の打ち上げで聞いて、坂本頼光さんが、けん玉さんの横に座って、延々、浦辺粂子の真似をしていたらしい。

そう言うネチっこい厭やらしさが、頼光さんにはあると、しみじみ語る春陽先生でした。


さて、本編の「山内伊賀亮登場」ですが、元九条家用人の伊賀亮が、天一坊を中心として結成されていた悪党一味を、

一瞬のうちに一括して、自らの一味にしてしまう。そんな痛快な場面なのですが、ウーン、終止、山内伊賀亮の威厳が、一本調子に長い気がします。

もう少し、メリハリが欲しいです。後半に、天一坊、日真、水戸浪士二人を呑み込む場面での科白が際立つ演出が欲しいと感じました。



2.五貫裁き

いやぁ〜、最近、夏丸師匠と馬石師匠くらいしか落語を聞いてないから、『五貫裁き』は久々でした。

さて喩えば家元とか、このネタが大好きな噺家がまま居ますよね。だから、聴く機会は少なくない噺なんだけど、久しぶりに聴き、新鮮でした。

まぁ、三三師匠も真打披露のネタに、この『五貫裁き』を選んでいましたし、談春さん、志の輔さんも、思い入れを感じる好演を、何度か目撃しています。


そんな『五貫裁き』なのですが、春陽先生の『五貫裁き』には、くすぐりを含めて、新しい発見が有りました。

先ず、徳力屋が八五郎の寝かさない一文攻撃に、必ず音を上げてると踏んだ大家が、『八ッ!喩え貴様に示談の話を、徳力屋が持ち掛けて来ても、お前の一存では計りかねる!そう言え。』と、八五郎に知恵を授けると、

春陽先生の八五郎は、『この噺、最大の悪党は、大家さん!アンタだぁ。』と、言い切ります。

この科白は、言い得て妙で、素晴らしい。他の咄家や講釈師で聞いた経験がありません。


更に、徳力屋で、奉行所の与力が八五郎の肩を持ち、いつ何時でも、八五郎の一文は受け取れ!と言うと、八五郎が一文をお持ちしました!

と、徳力屋を寝かさない作戦となり、徳力屋も番頭も三日三晩、寝られない状態になります。普通は、直ぐ、和解金の算段になりますが、

春陽先生の徳力屋は、悪あがきを致します。『二十四時間営業はどうだ?!番頭』の展開は、斬新です。まぁ、質屋ですから、二十四時間営業は。。。と、番頭が分析して、賃金の安い江戸以外の地域の労働者を確保する必要か有ります。外国人は。。。には笑った!

更に、一文攻撃を回避できても、半紙は五千枚、それより何より、町役人五人組に払う謝礼で、店は潰れます!

この科白は秀逸で、更に更に、最後の大家の啖呵、『八五郎は、乞食じゃないんだ!』の中に、徳力屋の隣、醤油屋のオヤジが亡くなった際に、

その棺桶の両側に穴が開けられてて、死んだ醤油屋の主人は、その穴から手を出して、墓に埋められた。

アレは、あの世に行く時は、財産なんて手ぶらでいいんだって洒落だ!あれこそが人の生きる道と、説教じみた事を言う。

あの啖呵は初めて聞きました。そう!そう!個人的には、「一昨日、来やがれ! あしたのジョー!!」と言うくすぐりも気に入りました。