寛永十三年の春、神君家康公が権現様と祀られる日光東照宮への御参詣が、三代家光公の強い意向により決まる事になる。
お伴方は、伊達中納言政宗、大老・井伊掃部頭直孝、近親衆・松平讃岐守、松平越中守、老中・土井大炊頭、酒井讃岐守、青山大蔵太夫、松平伊豆守、
若年寄・本多伯耆守、永井信濃守、譜代大名衆・内藤備中守、内藤紀之介、阿部備中守、阿部左馬之助、
側用人・鹽谷因幡守、堀田加賀守、荒川土左守、山岡越後守、柳生飛騨守、旗本衆松平紋太郎、長谷川八右衛門、
水野十郎左衛門、兼松又四郎、権藤登之助、坂部三十郎、長坂血槍九郎と言う、錚々たる面々が随行する百人行列で御座います。
さて、その計画はと見てやれば、寛永十三年四月十三日江戸表を御出立。初日は岩槻にお泊まりとなり、小山を経て十五日には宇都宮泊まりとなります。
そして、十六日お昼に日光東照宮周辺に一行は滞在、翌十七日は祭典と決まりまして御座います。
之を受けて、俄に忙しくなったのが道中、この行列を受け入れ接待役を仰せつかる宿泊先に藩であります。
まず、岩槻藩二万石は阿部山城守、そして小山と宇都宮合わせて十五万五千石の領主は、あの本多佐渡守正信の倅、正純で御座います。
そうです!遥か昔、第二話に当時した、家康公が亡くなる前に、『徳川家の憂い』だと指摘した二人の内の一人、本多上野介正純で御座います。
えェ〜、日光御社御参詣の行列待受の為に、本多上野介正純は、江戸上屋敷よりお暇を賜り、所領にある宇都宮城へと帰城致します。
そして、河村靱負末武と言う城代家老、一千百五十石取りの御歳七十三歳になる老臣、元亀・天正よりの最も古参の家臣を呼んで、胸筋を開きます。
正純「之より靱負と内密な噺がある。一同!暫く、次の間で遠慮致せ。」
全員が「ハハッ!」っと次の間へと下がり、其の部屋には、正純と靱負の二人だけになります。
正純「さて靱負、其方(ソチ)は予が之より頼む一條を、諫言いたすや?致さんや?、先ずは之を問いたい。」
云われた靱負は、眉間に皺を寄せて、上野介の顔をジッと見つめた後に、こう申しました。
靱負「恐れながら、拙者はまだ何も伺っておりません。由えに、諫言すべきか?致さざるか?は、返答に些か困ります。
が、然し。お諌めすべきはお諌め致しますし、行うべきと思えば、賛成するに吝かでは御座いません。」
正純「然からば、諫言致す心積りであるか?!」
靱負「宜しからざると思うなら、何処までも諫言致す心底に御座います。其れが誠の忠臣たらん者に御座います。」
正純「ならば申さん。予が一存にて執り計らう。最早用無しじゃ、早々に立ち去れ。」
こう、突き離された河村靱負末武、唾をゴクリと音をさせて呑み込んで、こう返答いたします。
靱負「左様ですかぁ、判り申した。一切、諫言などは致しません。如何なる儀にございますか?」
正純「うん、然らば申し聴かせる由えに、よーく承れ。決して善悪に係わらず、諫言など致さぬという趣きで、金打を致せ。」
靱負「ハイ、畏まりました。ただ、主君の命に臣下が従うは当然なれば、この場にて、改めての金打の必要は御座いますまい。」
正純「いやいや、左に在らず。之は格別の儀なれば、改めて金打を求める。左に在らずんば、申し聴かせぬ。」
靱負「委細承知致しました。」
と、河村靱負末武は、仕方が御座いません、金打を致します。
正純「では、この度の三代家光公の日光御社御参詣に伴い、当城にご宿泊の命を賜ったが、
之を幸に、予は、駿河大納言様の為に、三代将軍家光公を害し、籠城をいたそうと存ずる。
由えに、その方は、将軍暗殺と籠城の具体的な計略を立案し、その準備に直ぐに取り掛かれ!よいなぁ?!」
末武、流石に将軍暗殺!、大納言様を擁立しての籠城と聴いては、尋常には居られず、膝を立てて、近寄り諫言いたします。
靱負「殿!ご乱心を。。。金打しましたが、其れを聴かされますれば、命を賭してもお諌め!諫言せぬ訳には参りません。」
正純「靱負、是非も無い。予は既に決心済んでおる。道理や損得の噺は聴く耳を持たぬ由え、
喩え、其方が諫言、切腹して果てようとも、吾、人生に一片の悔いなし。一人でもやり遂げてみせる。」
この上野介のラ王の様な言葉を聴いて、河村靱負は、自身も腹を括ります。
靱負「左様ですかぁ、判り申しました。委細承知しました。全て此の河村靱負にお任せ下さい。必ずや、将軍家光公のお命頂戴仕りまする。」
この河村靱負末武の言葉に、上野介は大いに喜び、「宜しく頼む、宜きに計らえ!!」と、言って上座から降りて、靱負の手を硬く握り締めます。
さて、主君の本多上野介より途方もない命を受けて、最早本多の家も、主従の命も全て捨てる覚悟でいると知らされた河村靱負末武は、
兎に角、確実に三代将軍家光公を暗殺する方法を思案し始めます。籠城、大納言様擁立などの段取りなどは後回しに、確実な暗殺方法に全神経を注力する靱負。
先ず思い付いたのは毒殺です。先に小山での宿泊から様子を見て、機会を伺いながら、確実に殺せる時に毒を仕掛ける。
しかし、将軍には必ず、腕下役(かいなげやく)と呼ばれるお毒味役が付いていて、将軍が口にする全ての料理は必ず試された後に将軍の口に入ります。
ですから、この腕下役の毒味を掻い潜り、将軍だけを殺すなど、かなり至難の技で御座います。
次に思い付いたのは、飛び道具による暗殺です。どんなに固い護衛が前後左右に居ても、護衛ごと射殺すれば、仕留められるのでは?
そう考えましたが、将軍の警護に着く面々は命を賭して将軍の盾に成りますから、御庭番、隠密、柳生の手練れに反撃を受けないとも限りません。
是も、成功の確率は五分五分程度。失敗するとタダの犬死です。其の上で、宇都宮十五万五千石はお取り潰しになるのですから、暗殺は100%成功させたい。
そう考えに考えた河村靱負末武が思い付いた、一番の方法が、将軍の寝込みを襲う、『釣天井のからくり』による暗殺です。
一見、突飛な暗殺方法に思える『釣天井のからくり』ですが、実は靱負には心当たりがあるが由えの思い付きだったのです。
と、云うのは、此方へ赴任して宇都宮城の改修を行う際に、大変な難問を宇都宮城は抱えておりました。
其れは、城堀と利根川用水の両立です。利根川は、多くの田畑への治水の要なのですが、先に、城のお堀ありきで用水経路が既に引かれているから、
台風や長雨が来ると、先ず、第一に城の堀が氾濫し、城下で城が孤立するという問題がありました。
そこで、必要に応じて用水路の水の流れを、迂回水路(バイパス)を通して、田畑には必要量流す必要があったのですが、
迂回水路を掘れば良いとは、誰もが簡単に思い付けども、その水門の開閉を、必要に応じて適宜制御するからくりの仕掛けの絵図面が描けるのは、そうザラに居るものではありません。
そして、困り果てていた、当時、普請奉行の河村靱負を助けて呉れたのが、今の普請奉行の一ノ宮数馬で御座います。
数馬「ご家老、火急の御用でお呼びと伺いまして、藩出入りの棟梁・吉兵衛を伴に参りました。さて、ご用向きは?」
靱負「仔細は知らぬが仏。何んの目的で、この様なからくりを造るかは、敢えて申さん。
だが、本丸の北奥を改造して、新たに十二畳の客間と北奥に通じる新たな廊下を普請致す。
ただし、この離れに造る客間には、此方の絵図面に在るような『釣天井』を拵えて貰いたい。
そして、天井板には二寸より厚いの鉄板で、内面は薩摩の雉杢目、屋久杉張りで仕上げて貰いたい。」
吉兵衛「ご家老様、そりゃぁ、無茶ですよ。そんな厚い鉄板を天井に釣ったら、それを支える柱が沢山必要になるし、
第一、そんな柱だらけの部屋を作ったら、十二畳が狭くて仕方ない。そんな妙竹林の部屋に誰が泊まるんです?!」
靱負「そうだ、肝心な事を言い忘れていた、吉兵衛。その柱だが、四隅と中央に一本、合計五本の柱以外は使ってはならん。
そして、釣天井にするからには、天井はからくりで下に高速で落下して使える必要がある。まぁ、一度落としたら、床、畳は破損しても構わぬが、必ず一瞬で落下できるよう細工して欲しい。」
吉兵衛「ご家老、いや、河村の旦那!気は確かですか?之を拵えて何をするんですか?万一、釣天井を落としたら、中に居る人間は、きっと生きちゃいませんぜぇ。」
靱負「要らる心配、要らぬ詮索は無用だ、棟梁。お前さんは、之を造ればソレで宜い。」
吉兵衛「旦那、アッシはしがない職人だが、職人には職人の意地ってもんが有りやす。アッシはね、人殺しの道具は造りたくありません。
此の絵図面は、見なかった事にします。勿論、誰にも喋りません。ですから、此の仕事からは、降ろさせて下さい。御免なすって!」
と、言って大工の棟梁、吉兵衛がその場から立ち去ろうと致しますが、河村靱負、その場で仁王立ちになり、刀を抜いて吉兵衛を制します。
靱負「棟梁、この釣天井の絵図面を見られたからには、口約束で帰す訳にはいかぬ。死んでもらう。
之は宇都宮十五万五千石を賭けた一世一代の大勝負だ。棟梁の娘さん、お孫さんを人質にしても、お前さんには、この釣天井を完成してもらう。」
河村靱負の余りに危機迫る様子に、吉兵衛は、選択の余地なしと判断して、この場は、承知して見せようと腹を括ります。
吉兵衛「判りました。ご家老がそこまでのお覚悟がお有りならば、アッシも漢だ!この前代未聞の釣天井、期限までに拵えて見せましょう。
ただし、銭は前金で五百両、完成したら更に五百両だ。この銭は一文も負からねぇ〜。
そして、人足はアッシを含めて二十三人、支度と人集めに五日。其れから二十日の工期で、この釣天井付の客間を、北奥に完成させて見せましょう。」
靱負「おぉ〜、吉兵衛!恩に切るぞ。早速、五百両を下げ渡す。明日より二十五日で、必ず、完成させて呉れ。
数馬!その方も、吉兵衛達が働き易いように補佐致す事と、この釣天井の存在は、拙者と殿と棟梁、そして其方の四人だけの秘密だ。
由えに、作事場には誰(なんぴと)も近付かぬように、その方が監督致せ、頼んだぞ!数馬。」
数馬「ご家老、委細承知仕りました。」
そして五日後、吉兵衛が二十三人を連れて、作事場である宇都宮城の北奥へ参りますと、買い付けた木材など、鉄板以外は既に届いていて、
その作事場に一番近い中元や足軽が住む寮が、この二十三人の為の臨時の長屋として使える様に改装されていた。
吉兵衛「ご家老様、並びに一ノ宮の旦那、おはよう御座います。お約束通り、人足を集めて参りました。励みますんで、宜しくお願い申します。」
靱負「ご苦労、では早速で済まぬが、二十三人の給金の手付など支払い済みであるから、この雇用契約書に血判を押して呉れ。」
吉兵衛「御前、アッシ等、大工(でぇーく)ですから、血判なんて流儀は持ち合わせちゃ居ないんで、皆んな印形なら持っていますから、其れを押させて下さい。」
靱負「いやいや、この度の普請は特別だ。この誓約書に二十三人全員に、必ず血判して貰う。」
吉兵衛「ただ、アッシ等。。。血判なんてモンをやり慣れておりませんから。。。出来るかぁ?」
数馬「其の様な心配は無用、やり方作法は、拙者が実地にやって見せてやる由え、心配するなぁ。」
吉兵衛「へぇ、判りやした。では、手下に噺を致しますんで、暫く、お待ち下さい。」
そう言うと吉兵衛は、小頭の長兵衛と七人組三組の組頭、三人に対し、誓約書に血判をする事を伝えます。
甲「何んですか?印形の代わりに、その血判を押すんですか?親方。参ったなぁ〜、アッシ、家に血判置いて来ちまって、今日は押せねぇ〜かも知れねぇ。」
長兵衛「馬鹿ッ!印形じゃねぇ〜から置いてなんて来れるかぁ、血判てぇ〜のは、てめぇの親指の腹を小刀か剃刀で切って血を出して母印を押すんだ。分かったか?!」
乙「小頭!アッシは剃刀負けが酷いんだぁ、とっても血判は出来ねぇ〜。」
長兵衛「馬鹿ッ!指の皮を薄く切るだけだ、剃り負けして溜まるかぁ!」
丙「小頭!」
長兵衛「何んだ?まだ、何かあるのかぁ?!」
丙「へい、アッシは血を見ると貧血で力が入らなくなるんです。女房を女郎屋から身請けする時も、女房が血判するのを見て。。。気を失ったぐらいで。。。」
長兵衛「馬鹿ッ!目を瞑ってやれ!」
と、散々、ゴタゴタ、ケンケンガクガク、擦った揉んだが御座いましたが、宮数馬が出した書面に吉兵衛以下二十三人が血判致しました。
【御受書之事】
一、如何なる御普請に候共、私共御受仕り相違なく取り急ぎ悉皆、出来可致し候事。
但し、御普請の模様等は、親子兄弟親類たりとも他言無用候事。
右御受仕候処総が相違無御座る由え血判如件
と書かれておりました。
吉兵衛「では、一同。委細畏まりました。」
吉兵衛が、そう言って自ら血判を押すと、書状を小頭の長兵衛に回して、長兵衛が血判すると、此れが各組頭へ、更には末端の職人へと書状は回されて全員が血判致します。
吉兵衛「一ノ宮様、お納め願います。」
数馬「おう、確かに。では、早速、普請に掛かって貰うぞ、吉兵衛。」
吉兵衛「ヘイ、ガッテンでぇ。 おい!長兵衛と組頭三人は、俺の寮の部屋に集まれ。他の連中は、部屋から道具箱を出して、
材木の切り出しとカンナ掛けを始めて呉れ。柱は五本きり何んで、年輪の深い上物を五本選びたいから、丁寧に仕事して呉れよ。頼んだぞ!」
そう言うと吉兵衛は、例の釣天井の図面を広げて、小頭と組頭三人を呼んで、初めてこの図面を見せます。
此の『釣天井』を、普請する十二畳の客間の上に拵える。
長兵衛「之は!親方、法度破りですぜぇ?!」
甲乙丙「法度破り!!」
吉兵衛「そうだ、お前達も知っている通り、職人には三つの法度がある。鍛冶屋法、髪結法、そして大工法だぁ。
公儀(おかみ)が決めた此の法度を守ってこその俺たち職人だぁ。其の事は重々承知の上でのお願いだぁ。
喩え、法度破りの仕事じゃぁ〜あるが、俺は此の『釣天井』の仕事を受ける事にした。その理由(ワケ)は、三つある。」
長兵衛「理由って何んですか?まず、其れを教えて下さい。」
吉兵衛「あぁ、勿論だ。先ず、一つ目は、ご家老河村靱負様の強い意志を見たからだ。燃し、俺が断るなら、俺一人ではなく、娘も孫も皆殺しだと脅された。
武士の真剣な目での脅しだ。半端な覚悟で無い事は伝わった。仮に俺一人が殺されて済むならとも考えたが、
俺が死ねば、ご家老様は、次は長兵衛!お前に俺と同じ脅しを掛けるに違いないと思ったんだ、そして、長兵衛が断れば、殺されて、次は三人の番だぁ。
其れならここは、一旦引き受けて、最終的に普請を始める前に、五人で噺をしてから決めても遅くはないと思ったんだ。
お前達がどうしても法度破りが嫌だから、家族諸共、二十三人で死ぬと言うなら、俺は其れに従う。血判はしたが、死ぬのなら法度破りはせずに済む。
しかし、家族諸共だ。俺たちは城中で斬り捨てられて、燃やされ埋められて、俺たちが血判しながら普請をしなかった罪で、家族は皆殺されるだろう。さぁ、どうする?」
長兵衛「どうするも何も、アッシは親方に従います。おい!お前たちはどうなんだ、留公、八五郎、熊ッ!!」
留吉「俺はカカぁ貰ったばっか何んです。皆殺しは御免です。親方にお任せで。」
八五郎「アッシも留の野郎と同じで、年老いた母親を道連れには死ねないんで、親方にお任せします。」
熊蔵「アッシも、はらたいらに三千点!」
長兵衛「古いボケを有難う。そう言っておりますんで、親方のお考え通りに。そして、残り二つの理由(ワケ)を教えて下さい。」
吉兵衛「ヨシ、お前達四人が同意なら俺も文句は無い。次の理由を聞かせよう。此の普請には、手付に五百両、後金にも五百両。合計千両という大金が掛けられている。
つまり、俺が見積もってみると、ざっと材料に六百から六百五十両、そして残りが俺達の手間って事になる。
すると、二十日働いて末端の職人は十両。小頭のお前達には二十五両、長兵衛には五十両は持たせてやれる。之が二つ目の理由だ。」
熊蔵「凄いな!二十五両。俺は之が一番の理由でもいいやぁ。」
長兵衛「分かりました。親分は百五十両の取り分なんですね。では、三番目の理由(ワケ)をお聴かせ下さい。」
吉兵衛「相変わらず、算盤が早いな長兵衛。さて、最後の理由は、俺の職人としての意地だ。
この釣天井に敷く鉄板の重さが分かるか?四千三百貫(約十六トン)だぞ!其れをたった五本の柱で支えて、釣上げて置くからくりを拵えるなんて、大工冥利と言うかぁ、ワクワクしねぇ〜かぁ?野郎ども。」
長兵衛「確かに、大工の血が騒ぎますね。」
吉兵衛「どうせ人間、何時かは死ぬんだから、此の位、大きい仕事が出来るなんざぁ、大工冥利に尽きるぜぇ。」
八五郎「大工冥利もいいけど、アッシは親方の百五十両が、儀り過ぎると思います。」
吉兵衛「まだ言ってやがるのか?!しょうがねぇ〜なぁ〜、百五十両欲しけりゃ、早くお前も棟梁!って呼ばれる様になれ、八ッ。」
八五郎「ヘイ、精進します。」
こうして、吉兵衛親方と二十三人の大工職人集団が、宇都宮城内に住込で、『釣天井』の普請に取り掛かるのでした。
つづく