『清水次郎長傳』、読み始めたのが、昨年の十二月三十日で、丸々五ヶ月以上掛かって全八十話の大団円を無事に迎えてました。
いやはや長かったです。今までの読んだ中でも、最長の作品ですね。ロシア文学並みの長編ストーリーだと思います。
昔、講釈の定席は、1回の興業が90日が普通だったというのがよく判る作品なぁ~と思います。
そして、この本を読むと、あの広沢虎造先生も、三割くらいのダレ場は省略しているんだと思い知らされます。
さて、その『清水次郎長傳』、全八十話ですが、全体の九割か?八割五分は、三代目神田伯山のオリジナル通りです。
しかし、流石にオリジナルのままでは、物語が繋がって行かない部分が若干あるので、そこは私が創作して繋いでおります。
一番たっぷり繋いだのが、二代目お蝶が登場する場面。オリジナルはエピソードなしで唐突に突然現れて、本1頁で死にます。
これでは、余りに余りな展開なので、二話作って足して、それなりに存在感の在る登場人物にしたのですが。。。
あと、唯一と言って宜い、物語自身を変えているのは、黒駒ノ勝蔵です。三代目伯山のオリジナルは甲州に戻って、
役人に捕まって獄中死します。これ又、唐突に死にます。明らかに人物を持て余してして、伯山先生が面倒臭くなって殺されます。
それではあんまりなので、史実に基づいて明治元年に一家を解散して終わるようにしました。
この『清水次郎長傳』には、大きく4つの盛り上がる展開が用意されていました。
前半の山場は、まず甥である桝川屋仙右衛門の仇討ちですね。義理の母とその間男の相手・神澤小五郎が仇役で、
ここで、法印大五郎登場の噺が前振りになっていて、更に吃安こと武井ノ安五郎と黒駒ノ勝蔵が仇の親分、兄貴分として登場します。
この仇討ちの跡、吃安と津向ノ文吉の喧嘩の仲裁に入った次郎長は、役人と吃安に追われて尾州へと逃げる事になります。
そして、ここで第二の山場、保下田ノ久六が暗躍する『亀崎代官斬り!』へ。この逃亡の最中に女房お蝶が亡くなります。
この跡、代官を斬る前に寄った金毘羅様への代参で、森ノ石松が四国へと旅に出るのですが、この道中から、
都鳥三兄弟に殺され、更には、是を次郎長たちが仇討ちにするまでが、第三の山場。これは長い山場で、
しかも、人物と筋書がよく出来ていて、映画やドラマではハイライトシーンでもあります。
そして、最後の第四の山場が、長い長い荒神山の喧嘩、『血煙、荒神山』です。
さて、次も読み易く演出の感じも掴めている三代目伯山の講演速記を読みたいと思います。
武芸モノ、世話モノ、金襖? 白波? またまた侠客傳・・・・どれにするか思案中です。