春の穏やかな日に、三鷹へ出向き談春を聴いて来ました。 
それでね、現地に着いたらチケットが無いのです。 
かなり焦り、絶望的だったのですが、チケットを手配下さったNさんの尽力で、 
三鷹の主催のご好意もあり、チケットを再発行して頂けました。 
ラッキーでした。流石、三鷹落語会!!会員数が増えに増えて、 
自治体も、止められない規模になり、嬉しい悲鳴というのは本当です。 
会場もリニューアルして、お客様本位の運営をなさっております。


さて、そんな出足でちょっとトラブルを経験した三鷹での談春独演会。 
このような演目になりました!!


・宮戸川(上)

お仲入り

・包丁


1.宮戸川(上) 
開口一番の弟子の登場は無く、いきなり談春本人の出囃子「鞍馬」が流れる。 
そして、今日はバスで会場に入りましたと言う、談春。前座さんが居ないのです、立川流は。 
本人が3人居た前座と、1人居た見習いを纏めて頚にした結果なので仕方ない。 
また、志らくから前座を借りるって訳にもいかないのだろうねぇー。志らくには言えませんよ、 
前座を貸してくれないか?とは。仲の良い市馬、花緑、三三とて前座は大して抱えていない。 
ナリフリ構わず、文左衛門師とこの“かな文くん”、白酒師匠の“はまぐりさん”を、 
まだ見習いだけど借りるというのもアリか?と考えましたが、師匠に耐えて半年くらい頑張っているのに、 
談春師から恫喝されて止めたりすると、それはそれで問題なので、借りないのかな?

さて、その道中のバスで車窓を眺めていると、ツツジやサツキが咲き乱れる様子が目に飛び込んで来て、 
根津神社のツツジ祭を思い出したそうです。根津神社のツツジ祭については、藪さんのブログに、 
それはそれは丁寧に、動画付きで紹介されていますから、是非、そちらも見てください。 
根津神社と言えば、談志師匠との思い出ですね。感傷に耽る訳じゃないと言いながら、 
少し遠い昔を見るような目で語る談春師匠。内容は、爆笑の銀杏を談志が根津神社へ取りに行った話でね。 
なんでも、大雨の嵐の日に行くそうです。沢山落ちていて、誰も取りに来ない日だからと。 
スーパーのレジ袋を下げて行くのですが、ドブネズミのように濡れながら、服なんて着てても濡れるだけ!! 
と、言って猿股一丁で、談志は、ゲリラ豪雨で膝まで水に浸かって、銀杏を必死に取るらしい。 
何よりタダが大好きでしたからね。芸人の格好としては、必ずしも綺麗ではありませんが、 
実に、談志師匠らしいと私も思いました。 そんな思い出話から、話題は、「咄家が闇夜にコソコソ」へ。

この番組の番宣を最近マクラで必ずしますが、毎回新しい情報が飛び出します。 
この日の新情報は、壇蜜さんは、日本舞踊の名取で、師範の免状も持っているらしいです。 
しかも、それが坂東流。というのも、談春師匠が三津五郎丈とお会いして話した時に、 
三津五郎丈が、「“闇夜にコソコソ”見てますよ、ところで、私は二回壇蜜さんに会っているはずなんだが、 
不覚にも覚えてないのです、彼女を。まぁ、名前が本名ですからね、試験の時は」と云われたそうです。 
そんな話で、壇蜜さんの話題で盛り上がり、その後は、亡くなった勘三郎丈の話になったそうです。

更に、マクラは続いて、最近ドラマ「ルーズヴェルト・ゲーム」の影響で、色んな俳優さんに会うのだが、 
少なからず、昔から落語ファンです、と言うらしい。本当か?と思って、探りを入れると、 
これが結構、社交辞令ではなく本当らしい。何でも、幼い頃から家族の影響で好きに成った人以外は、 
殆どの場合、入院中に落語にハマるらしい。これは、真実かもしれないと思いました。 
大病をして長期入院すると、テレビのような煩く俗的なものよりも、読書やCD鑑賞の方が良いらしい。 
そんな中で、落語を選び、その良さはを病院のベッドで知る人が少なくないそうだ。 
例えば、桑田啓祐さん、あと、北野武氏も原付き事故の後、落語三昧だったらしい。


長いマクラは、最後、この三鷹公会堂というのは、師匠談志が高座に上がる所で、 
自分は袖から師匠を見ているもんだと思っていたので、この高座に自身が上がると違和感を感じるらしい。 
そして、この三鷹公会堂が、ドリフターズの「全員集合」の第一回収録が行われた会場であることを紹介。 
更に、三鷹市のイベント会員の集め方は上手い!!と、言いながら、それでも人気イベントは抽選になる。 
だから、志の輔と小三治と談春の3つとも見に来た!!と言う会員は、まず居ないと指摘する。 
確かに、そうだろうね。どんなに籤運が良くても厳しいのでしょう。 
そう考えると、小三治と談春の両方に来れた、私は、実に幸せ者だ!

チケットを取って下さったNさん!感謝します。


そんなマクラから、『宮戸川』へ。その前に、最後は『包丁』をやる!と、ここで予告しました。 
さて、『宮戸川』ですが、去年は、談春で二回聴いています。日本青年館と鎌倉芸術館です。 
過去5年間では、合計4回聴いているので、だいたい年1くらいは聴いている噺という事になります。 
談春師の『宮戸川』は、もうここ五年くらいは、同じやり方ですね。 
半七とお花が前半は主役なのですが、霊岸島の叔父さん夫婦が登場すると、後半はこちらが主役になります。 
特に談春師匠の御婆さんは、何とも言えない可愛らしい存在で、この噺の笑いをリードします。


2.包丁 
マクラでは、今度はTBS日曜劇場「ルーズヴェルト・ゲーム」の話題というか、番宣をやりました。 
ちょうどこの日は、第三話のオンエアー日でもあり、ドラマに出演するキッカケの話から、 
製作発表での江口洋介との会話、なかなか面白いエピソードを紹介してくれましたね。 
このドラマへの談春師の思い入れ、気合というものを感じましたね。なんだかんだ言って気に入ってますよ役者。 
志ん朝のように、落語から長期に離れて、「落語がしたい!!」と、自身を枯渇させて落語に向かう為だとか言ってるけど、 
そうじゃなくて、役者・立川談春が、それなりにお気に入りのようである。

そんな「ルーズヴェルト・ゲーム」から、『包丁』へ。久しぶりに聴いた談春の『包丁』でした。 
2011年に、新文芸坐で立川流の若手と談春の会でやって以来、私は聴きました。 
確かデリバリー談春、サンパール荒川で、去年やっているかと思いますが、それは聴いておりません。 
さて、今回の『包丁』 なんと本編だけで1時間を要しました。理由は2つ。 
まず、大きい会場なので、客の反応に合わせるのに間が長いのです。 
更に、おそらくこの日の客の90%以上がこの演目を知りません。だから、説明っぽいのです。 
六代目圓生のラジオの録音は、24分でやっているのがあります。CDだって35分です。 
それを1時間掛けてしまうと、もうそれは『包丁』ではありません。

そして、この噺の見せ場、寅が、常の女房・清元の師匠を、小唄「八重一重」で口説く場面。 
ここのスロー過ぎる動きと、談春師が唄う小唄が、「八重一重」じゃないのです。 
何んだったのか?知らない小唄です。富士も化粧も出てこないので… 何って唄だったのやら?


今年は、デビュー30周年の談春師匠、地方から精力的に廻るようですが、 
首都圏は、横浜NHKに隣接するKAATホールで年末にやるまで会の予定がありません。 
横浜にぎわい座も、いまだに一回も会をやっていない。 
今年は、次は、もしかすると、KAATホールになるのか?談春が枯渇しそうな私です。