オープニングで芸術選・文部大臣賞を受賞された雲助師匠へ、にぎわい座から花束の贈呈がありました。
そんな記念イベントみたいな雰囲気で始まった、五街道雲助一門会、こんな内容でした。

  
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1.牛ほめ/さん坊
さん喬師匠のところの前座さんです。北海道は別開町出身、特技・牛の乳搾りの三代・さん坊くん。
町の人口よりも牛の方が多い別開町出身なだけあって、よく演じますね『牛ほめ』
独特のフラを持っていて、かなり上達しましたが、似たようなキャラが落語協会には多いので、
これから個性を出すのに少し苦労するのでは?と、思ったりします。

 
2.王子の狐/馬石
マクラでは、この一門会は誰がトリを取るか?で、毎回もめるという話をしました。
まず、師匠・雲助さんが楽屋入りするやいなや、「俺は、今日、仲トリなぁ」と、言い出したそうです。
弟子一同、エッ!受賞直後なのに?トリを取らないの?と思ったそうですが、師匠の言う事には逆らえないので、
三人で出番調整、まず、国立の銀賞を取った事を理由に、龍玉くんがトリに決定。
そして、残り二人の話し合いで、馬石、白酒の順に出番が決まったそうです。
そんな楽屋事情を喋ってから、『王子の狐』へ。馬石くんの落語を聴くのは、かなり久しぶり。
この噺は、彼の口調に合いますね。侍の出る噺は、どーもいけませんが、これは良かったです。


3.禁酒番屋/雲助
定番のお酒の噺をやる時のマクラを振る雲助師匠。このあたりは小三治師匠などと同じですね。王道です。
そして、『禁酒番屋』へ。番屋の役人が徐々に酔いが増す演技、酒屋の店員との攻防、どれも王道!本寸法です。

  
4.義眼
上方では、よく演じられますが、東京だと意外と聴かないネタですね。私は過去5年間で南光師匠で二回と、
2011年に喬太郎で1回聴いただけでした。そのくらい珍しいです、東京では、『義眼』
前の三席が、全部下ネタだから、自分もそういうネタをやりますと言ってやりました『義眼』最初『尿瓶』か?と思った。
そして、白酒さんの『義眼』 一番受けたのがさん坊くんの『牛ほめ』に掛けてアドリブで加えたクスグリです。
義眼を飲み込んだ男が、医者に掛かった時に、医者が内視鏡をお尻から入れる前に、「秋葉様のお札を剥がして」と言いました。
このアドリブは、ドッカン!と受けました。実に白酒くんらしいアドリブです。


5.大坂屋花鳥/龍玉
イタチ屋さんの「殺人研究会」でのネタ卸しを聴いた、龍玉師匠の『大坂屋花鳥』 驚く程に良くなっていました。
まず、セリフとト書きの切り替えが凄く“敏”なのです。特に、セリフの感情の入り方が良く、情景が浮かびます。
そして、得意の人が殺される場面の描写が、芝居仕立てで、師匠雲助さんは歌舞伎調なのに対して、
龍玉くんのは必殺シリーズの時代劇みたいな感じがするのです。好きです、私は、このテースト。
来月、道楽亭で『札所の霊験』を再演するそうですが、可能だったら聴いてみたいと思っています。

この日は、本当にさん坊くんから龍玉師匠まで、寄席のような良い番組だったと思います。
一本芯の入ったような会でした。次回、この一門会は七月です。