昨年1年間出演の無かった横浜にぎわい座で、柳家三三くんが、
二月・三月・四月の三ヶ月間、二夜連続の独演会を開催します。
まず、二月は若手二人をゲストに迎えての独演会です。
落語協会から一之輔、そして、芸術協会からは宮治くんです。
どういう基準で選んだのか?それは不明なのですが、
三三くん本人が選んで出演交渉し、この二人に決まったようです。

  
  
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【第一夜】
1.不精床/わん丈

古典もちゃんとできるわん丈さんです。圓丈師匠の一門は、
ふう丈・わん丈の前座二人は、本当によくできる期待の弟子です。
これは、たん丈と玉々丈で少し苦労したご褒美なのでしょうか?
二つ目になったら、ふう丈・わん丈で勉強会やるかな?
そしたら絶対に聴きに行くと思います。

 

2.普段の袴/一之輔
マクラで、自分の三人の子供の躾について語る一之輔でした。
師匠・一朝さんの家に、年始の挨拶に連れて行くと、
一朝師匠がくれたお年玉を、目の前で開封するという失礼ぶりなんだとか。
それで、今年は家に帰るまで封を切ってはダメ!!と釘を刺したら、
お年玉袋を蛍光灯に透かして中を確認し出したそうです。
また、8歳の長男が、なぜか立川談志を気に入っていて、
NHKの談志イリュージョン落語の録画を食い入るように見ているそうです。
そして、談志師匠の『やかん』がお気に入りで、
「お父さんはできるの?『やかん』?!」と言うので、
さわりだけ息子の前でやったら、「談志と違う?!ダメ」と、
ダメ出しされて、我子に対して大人気なくムッとしたそうです。
更に、後日、長男が学校から帰って宿題をやりながら、
「ねぇー お父さん、努力って何だか知ってる?」と言うから、
一之輔が「コツコツ努力すると、人間必ず夢が叶う、そんな事じゃないか?」
と答えると、「違うよ、努力は貧乏人に与えた夢なんだよ」
「でね、勉強(学問)は貧乏人の暇つぶし」と、ニコニコして喋るそうです。
完全に談志ナイズされていますね、一之輔の息子。

一之輔曰く「はだしのゲンより、よっぽど立川談志の方が有害」
立川流の誰かに弟子入りさせようか?とも言ってましたね。
談春とかね。ちょうど前座が居なくなっているから、
8歳で入門できたら、かなりのエリートですよね。
そんなマクラから、『普段の袴』へ。寄席で1回聴いたかな?
タップリやったのは、これが初めてです。侍の真似をする男、
この粗忽ぶりが、落語の国に住んでます!って感じでいいです。

 
3.金明竹/三三
ちょうど節分だったので、最近は寄席で豆撒きしていないという話から。
最近は違いますが、以前の寄席の豆撒き用の裃が、本当に小さいサイズでね。
昔の咄家サイズなんですよね。黒門町の師匠ならぴったりでしょうが、
そんな裃を三三くんみたいなのが付けると… 悪ふざけに見えるのです。
そんな話からアッサリと『金明竹』へ入りました。最近やり捲くっているから、
かなり軽妙に言い立ては出るし、女将さんのあわてぶりが三三くんらしくて良かった。
本当に女性を演じさせると、現役では1・2だと思います。

そして、『金明竹』の後、一之輔を迎え入れて、豆撒きしました。
残念ながらマメはゲットできず。かなり撒きました。5~60袋まいたように思います。

 
4.三軒長屋/三三
この噺を三三くんで聴くの、多分、初めてです。これも女性が登場するんですが、
この噺の頭の女将さんは、ちょっと違う感じですね。サバサバはいいんですけどね。
そして、真ん中の家に住んでいる妾との対比も、上手くできてるけど、
もっと鉄火な感じですよね、この女将さんは。女性なのに押し出しが深い感じで。
後半の盛り上げも悪くはないのですが、二階の仲直りでの喧嘩がもう少しハデにして欲しかった。

  
  
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【第二夜】
1.道具屋/小かじ
上手くなりましたね。デビューの谷津公民館の『道灌』を聴いた私としては、
本当に我子のように応援している、三三くんの一番弟子・小かじくんです。
ハッキリした滑舌で、ゆっくり大きい声で演じているのが好感です。
もう1年がんばると、二つ目になれるかな?大きく育って欲しいです。

 
2.転宅/三三
この日のマクラは、宮中歌会はじめを初めてTVで見た話をしました。
いろんな所で使っているんでしょうね、このマクラ。入選作を覚えてて、
ちゃんと三段オチにしていました。三三くんらしい上品なマクラでイイね。
この日は、前日の節分から1日で10℃以上も気温が下がり、雪まで降った。
だから、そんなお天気の話もしのの、『転宅』へ。得意ネタ十八番ですね。
泥棒が、旦那の食べ残しを漁るところから、三三くんらしい飲み食いの所作が入ります。
そして、お菊という妾が、また色っぽい!!こいうのは得意ですね三三くん。

 

3.宿屋の仇討/宮治
会場の空気が重くて、三三ファンのプレッシャーが高座を覆っておりました。
だから、開口一番、「そんな難しい顔しないで下さい!」と客ほぐしからスタート。
これは、セールスマン時代から鍛えられている技ですね、宮治くん。
5分も掛からず、客席の空気を自分色にして、『宿屋の仇討』へ。
30分の持ち時間をフルに使って、三三ファンを爆笑の渦に叩き込みました。
この子を、芸協は早く真打にしてやってください。お願いします!歌丸師匠。

今は勢いでなんとか成ってますが、壁にブチ当たって更に大きくなった宮治がみたい。 
そうなったら、躊躇せず真打にしてやって下さいね、芸協のみなさん!! 
 

4.富久/三三
これも聴いていそうで、三三くんで聴くのは初めてでした。
いいですね、久蔵の人間模様が。そして火事のお手伝いで酔う場面。
ここでの管の巻き方が、三三くんらしいなぁー お手柔らかでね。
湯島の富くじから、町内の頭の家で神棚を見付ける場面の盛り上がりも、
申し分なくて、飽きさせないで30分みっちりやってくれました。
そうそう、二日目は、三三くんの父上が会場に見えておりました。

さて、次回は、三月三日と四日の二夜。
次回の趣向は、大ネタ二席のネタ卸しです。
『百年目』と『居残り』です。勿論、行きますチケット買いました!!