三遊亭白鳥師匠の勉強会「ヨチヨチSWAN」 今年のファイナルでした。
今年は、三部作だった“流の豚次伝”を、全十話作って完結させる事を目標に、
年間6回だった予定を、8月に池袋演芸場で1回増やし合計7回にして、
この日、12月08日に完結することができました。その軌跡は、こんな感じです。

◇元々完成していた三部作
・上野掛取り動物園
・任侠流山動物園
・雨のベルサイユ動物園

◆ヨチヨチSWANで作った七作
・天王寺代官斬り
・豚次出生伝
・蹄の牛太郎の旅立ち
・悲恋!カミナリ山
・チャボ子!絶唱
・人生鳴門劇場
・金毘羅ワンニャン獣の花道

さて、今年の「ヨチヨチSWAN」は、スタンプラリーが開催されていて、
全七回中5回以上参加すると、素敵な商品が白鳥師匠から進呈されました。

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それは、流山の三匹のキャラクターバッチ、オリジナル缶バッチです。
白鳥師匠の手による、三匹のキャラクターを描いた、こんな感じのバッチです。
5回参加の銅賞は、チャボ子バッチ、六回参加の銀賞はチャボ子+牛太郎。
そして、7回パーフェクトに参加すると、金賞で豚次を含む三キャラクタ全部が貰えました。
なんとなく、子供じみていますが、白鳥ファンには宝物です。

  
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さて、そんな最終話「金毘羅ワンニャン獣の花道」を披露した今回は、こんな内容でした。

  
  
  
・平林/あひる

・金毘羅ワンニャン獣の花道/白鳥

お仲入り

・流の豚次伝を振り返って/白鳥&ぬう生

  
 
1.平林/あひる
白鳥師匠の一番弟子・あひるくん。まだまだ、慣れない感じのオドオドした様子が初々しいです。
既に入門から半年ぐらいは経過していると思いますが、ふう丈・わん丈にくらべると慣れておりません。
それだけ純粋なイメージですね。三三くんの弟子の小かじくんが、こんな感じでしたね。似ています。
さて、この日の『平林』も白鳥師匠に稽古してもらったらしいですが、タイトルを嘘教えられて登場。
“ひらばやし”と言わずに、“たいらばやし”と言うのです。実は、白鳥さんが間違えて覚えてたんですね。
でも、流石に“ひらりん”とか“いちはちじゅうのもーくもく”や“ひとつとやっつで、トッキッキ!”じゃありませんでした。
また、“たーいらばやしか、ひらりんか?”の節を付けて歌う場面、ここも白鳥師のいい加減な歌を覚えてましたね。
やっぱり、古典は、せめて圓丈師匠に習った方が良いと思います。天どんくんだって、白鳥さんよりはマシかな?


2.金毘羅ワンニャン獣の花道/白鳥
あひるくんの『平林』に、ちょっと苦笑いしていましたが、にいがた時代の白鳥さんも、似たようなレベルでした。
定吉の声が異常に高いのは、師匠に似たのかな?必至で、師匠を模倣する弟子なんだからねぇ。
結構、白鳥師匠厳しいですね、これは圓丈師匠譲りですね。妥協しません。

さて、稽古の段階ではラストまで辿り着けなかった、と、不安を口にする師匠。
これまでの、どの噺よりも長い長い最終話でした。
“牛太郎の旅立ち”と“カミナリ山”も長講ではありましたが、ここまで長くはなかった。
最終話だけに、ゴールに向かっての盛り上がりが素晴らしかったです。
流石、圓朝直系!と、思わせる、登場人物が膨らむだけ膨らませておいて、
後半の三話ぐらいで、これを関連付けて、グイグイとフィナーレへと向かう展開になります。
この最終話でも、モグラのモグ爺さんが、洞窟の穴堀で活躍するのですが、
元々は、白鳥師匠“ハクビシン”として登場させていたキャラなのです。
ところが、名前が“ハクビシン”というから、見た目は九尾の狐みたいな、
真っ白の動物だろうと思っていたけど、実物を知ってイメージと違うので、
急遽、登場二話目からモグラにチェンジさせたのでした。
そのモグラが瓢箪から独楽で、大活躍するのが白鳥ワールドだと思います。

また、任侠といいながら、殆ど血生臭い展開や、やられたらやり返す!!
みたいなB級Vシネマみたいな展開は、白鳥作品には出て来ないのです。
あくまで、豚次は自力勝負、自らの知恵と度胸で活路を見つけようとします。
無駄な殺生はしない豚次、畜生なのに、獣なのに立派であります。
ネタバレする事は、あまり書きませんが、
目的だった象の政五郎の骨を、ゴリラの次郎長の墓のそばに無事納骨し、
仲間を連れて、流山動物園に凱旋します。めでたし!めでたし!です。

 
3.流の豚次伝を振り返って/白鳥&ぬう生
本当に、1年掛けて10話作ってしまった白鳥師は、アッパレです。
簡単に10話というけど、他の仕事もこなして、他の新作も作って。
ましてや、Woman's落語会も監修して続けながら、弟子の面倒もみつつ、
その合間で10話作り上げる創作力に、私はアッパレをあげたいです。
来年、鈴本か池袋で、この流の豚次伝を寄席で十日間掛けてトリを取るそうです。
そこで、更に噺を練り上げて、完成度の高いものにすると言っておりました。
落語DVDも手掛けるQWESTさんは、この豚次伝のDVDを発売したい!と、言ってました。
おそらく、5枚組くらいのDVDになると思われます。そうなると、池袋なのかな?

  
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更に、物語が固まり、完成されたらゲストを呼んで、演じてもらいたいです。
既に、任侠・流山動物園は、喬太郎が持ちネタにしていて、白鳥さんより高座に掛けているし、
また、流山は、市馬師匠が浪曲にしたい!と、言っております。
一琴の天王寺代官斬りも良かったし、上方の咄家にも演じて欲しい。
あと、国本武春や、神田松之丞などの浪曲・講談師にも演じて欲しいですね。
実に夢の膨らむ、連続モノだと思っています。

最後に、「ヨチヨチSWAN」は、来年も続けると白鳥師匠は宣言しました。
まず、古典への新しい挑戦をするので、やって欲しいネタを言ってくれとリクエスト募集中。
私は、やっぱり圓丈→圓生の流を汲む作品に挑戦して欲しいですね。
『死神』『御神酒徳利』『百川』『淀五郎』『包丁』『らくだ』『栗橋の宿』なんかを。
一方、白鳥さんに合いそうな古典もやって欲しいですね。
『井戸の茶碗』『そば清』『小言幸兵衛』『こぶ弁慶』『代書屋』 などなど。
そうそう、来年は、故桜塚やっくんが漫談でやっていた客席参加型漫談。
あれを踏襲した、客席参加型落語をやってみたいと言っておりました。
客の突っ込みで変わる落語。三題噺の天才・白鳥師匠らしい発想だと思います。