どちらも、のげシャーレでの開催でした。対照的な二人が30日と31日、
二日連続で、独演会がありました。会自身のかなり対照的でした。

 
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【三遊亭兼好独演会】
1.元犬/兼好
兼好さんの十八番です。広瀬和生氏が、兼好さんの『元犬』を絶賛しています。
まず、マクラでアンパンマンの作者・やなせさんが亡くなった話から入りました。
アンパンマンは、本当に人気者であるという話を、珍しく熱く語る兼好さん。
愛されるキャラクターと、そのストーリーのほんわか加減が老若男女の心を掴みます。
ウルトラマンなら男の子、プリキュアなら女の子になってしまいますが、
アンパンマンは、両方に人気ですよね。あの丸くてふっくらの容姿がいいんですかねぇー
そんなマクラから、『元犬』へ。今年二回目の兼好さんの『元犬』
前回は、中野小劇場だったけど、あの時よりも、更に良かった!!
犬から人間に変わるところが、いいんですよねぇー 
更に、犬から人間になった“シロ”と口入屋の上総屋さんとのやり取りが面白い。
人間になったシロが、四つん這いで高速雑巾掛けする場面を、
目の動きで、いかに俊敏に動いているかを表現する兼好さん!!
これは、実に見事だと思います。


2.黄金の大黒/音助
宮治くんの会で聴いたのと、全く同じでした。
上手い前座さんです。しかし、二回は聴かなくて良かったね。


3.時そば/兼好
今度は、マクラで大阪でのホテルのレストランの偽装のお話を振りました。
“和食”が、無形文化財になった事にも触れて、それよりも、この偽装の技を、
もっと良い方向に広めては?と、兼好さんらしい視点の提言がありました。
つまり、偽装して商売するから社会からバッシングを受けるのであって、
この偽装する技を、一般の主婦に教える、そんなお料理教室を開いたら?と、言うのです。

安い赤身の牛肉を、どうやって柔らかく脂の乗った偽造肉へと変えるのか?
えっ!これがロブスター?伊勢海老じゃないの?
これは、大間のマグロじゃないの?スペイン産???
えっ、キャビアじゃないくて、とんぶり???
そんな技の数々を、家庭で主婦が家族に振舞う分には、
まったく問題にならないし、良い経済効果が生まれます。
貧乏人の知恵みたいなものが、見直される時代が来るはずです。

そんなマクラから、『時そば』へ。これが実にまた素晴らしいのです。
テンポがいいんですよね。普通の『時そば』なんですけどね。
生兵法は怪我の元。そんな滑稽をやらせると、本当に上手い!!


4.宿屋の仇討/兼好
マクラでは、最近の自動車は、色んなアシスト機能が付いている。
障害物を感知してブレーキや減速を車自身が掛けてくれる。
また、バック動作、特に縦列駐車などを勝手にやってくれたりします。
これは、これで便利だけど… 貧乏でバカだけど車の運転だけはできる!!
そんな男子の女性へのアピールが、また一つ奪われてしまうと嘆く兼好さん。
確かにそうですね、何のとりえもないけど、車の運転だけできる奴、
そんなのが私たち世代には、結構居ました。

ここから旅のマクラを少し振って『宿屋の仇討』へ。
元々、よくできた噺ですが、大笑いさせてもらいました。

江戸の河岸の三人組の会話が、上方落語の『宿屋仇』通りなのです。 
枝雀さん程ではありませんが、伊八に宴会を指図するセリフが、 
なかなか高速で、気の短い江戸っ子らしいと感じました。 
  
この日の三席は、兼好さんの良さが満載で大満足でした。 
  

【古今亭文菊独演会】
1.寄合酒/ゆう京

前座さんの間で流行っているんですかね?今年は、この噺をよく聞きます。

ちゃんとやると、前座噺にしては長くなりますよね、上手いなら文句ないけど、 
これをダラダラやられると、聴いていて結構辛いです。 
この日のゆう京さんは、一生懸命なんだけど、一本調子であきがきました。 
飽きさせずに、アクセントを付けてくれると、20分でも耐えられるんだけどね。 
  
 
2.幇間腹/文菊
真打に成って1年。アッという間だったと1年を振り返る文菊さんでした。

芸人とは、みたいな話をしながら、師匠・円菊さんの思い出を少し語って、 
そこから男芸者と呼ばれる幇間は、とお決まりの旦那の指図には逆らえず、 
旦那が言えば、カラスだって白くなり、雪は反対に黒くもなる。 
そう振って、野幇間の一八が出てくる『幇間腹』へと入りました。 
文菊さん、なぜか語る時に、鼻の下が長くなる癖があります。 
あれをやらないと喋られないのかな? この日は少し気になりました。 
  
一方、文菊さんの体全体を使うアクションが入る噺というのを、 
ほとんど聴いてないので、一八の腹に、若旦那が鍼を打つ仕草が、 
実に新鮮に見えるのでした。やり過ぎないのが文菊さんらしかったです。 
喬太郎の『幇間腹』とは、両極の芸でした。 控え目です。 
  
 
3.千早振る/文菊

これも初めてでした文菊さんでは。面白い演出でした。 
細かい部分が丁寧で、文菊さんらしいと感じました。 
また、普通の噺家が長くやるところが、サラッと終わるのです。 
乞食になった千早太夫と竜田川の再会の場面がそうなんです。 
みなさん、ここをタップリ目にやるんだけど、文菊さんはアッサリなんですよね。 
  
 
4.お見立て/文菊

喜瀬川花魁が絶品です。この花魁だから牛太郎の喜助が、 
無理難題言われても、“イヤ”とは言えないんだと説得力があります。

文菊さんは、やっぱり女の出る噺が似合います。 
  
  
次回、兼好さんは4月に、また、のげシャーレで、 
一方の文菊さんは、12月に、今度は三階・四階の芸能ホールです。