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いよいよ、最後の天どん真打披露。ここには、兄弟子・白鳥、人気の喬太郎・一之輔。
それに加えて、現在注目度No.1ドラマ「半沢直樹」にも出た、モロ師岡が出演する。
モロさんを選んだのは、本当に天どんさんの強運ぶりに驚く!!
こんな所で運を使わずに、もっと使う場面がありそうだが、それでも凄いメンバーだ。
大トリの天どんさんにも、期待が高まる、最終、新作の夜の部、こんな感じでした。


1.子役の旬/玉々丈
たまたま、圓丈師匠の弟子になったから、玉々丈なのかと思ったら、
二子玉川出身なので、玉々丈なのだとか。マクラは何度も聞いた、
圓丈入門秘話と、与論島での落語会、及び、NHKの若手落語会の収録の話。
もうそろそろ、違うマクラを振って欲しいです。
『子役の旬』は、平凡だけど玉々丈なりに頑張っていた。
開口一番なので、こんなもんか?
  
 
2.らくだの発端/一之輔
一之輔が新作をやりました。噂に聞いていた“らくだの子ほめ”です。
メイン展開は、完全に『子ほめ』です。ただし、主人公がらくだなので…
いきなり、赤子が生まれたばかりの竹さん家にらくだがやって来て、
ここで暴れて、弾みでおじいちゃんを殺してしまうところから始まります。

そして、丁目の半次=兄貴分の家で、「お前なぁ、乱暴ばかりでなく、世辞の一つも覚えろ!」と、
商用で遠出した商人の褒め方と、年齢を若く言って世辞で褒める方法を伝授されます。
まずは、道で発見した伊勢屋の番頭を拉致、「お黒いですねぇー」と言って褒めるというより、
いつもの調子でカツアゲする。更に、年を若く言う世辞を長屋で試そうとするらくだ。
らくだの乱暴な世辞で長屋の45歳の住人が、大家さんに集合を掛けられて酷い目に合う。
更に更に、子供も褒めよう!!と、言って再度竹さんの家へ向かうのだが…

なぜ、らくだが河豚に当たって死んだのか?その理由が分かる一席でした。

 
3.一日署長/喬太郎
久しぶりに聴きました、この演目。色々とギャグが盛られていて良かったけど、
持ち時間でサゲまで行けず、途中で切って高座を降りました。
それでも、楽しい演目です。アイドルが墨田警察の一日署長をする噺。
確か、前回聴いたのが朝日いつかは名人会で、天どんと百栄(当時は栄助)、
あと、市朗!現在の市楽くんがゲストだったはずです。
その三人の時は、市朗が屋形船シージャック犯人だった。
勿論今回は、シージャック犯は、天どんさんで、雲助師匠と圓丈師匠が説得役です。
『鸚鵡の徳利』みたいに、喬太郎の雲助師匠のモノマネは笑えます。
雲助ファンは怒るかも?ですが、普通の落語ファンにはたまりません。
そして、勿論、お約束の「東京ホテトル音頭」の熱唱もあり、
大いに受けまくって、ドヤ顔で下りる喬太郎でした。


4.豆腐屋ジョニー/白鳥
凄く落ち込んで、ショボンとしている白鳥師匠の登場。圓丈師匠に説教されたそうです。
それは、天どんくんの真打昇進パーティーに、新潟でTV収録があるから行けないからと、
今日、事前にご祝儀渡しておくからなぁ、と、祝儀袋を渡そうとしたら、烈火の如く圓丈大噴火!!
「おい!白鳥、弟弟子の門出に、なぜ、お前は来ないんだ!」
「それだから、お前がダメなんだ、人望も信頼もないんだ!」
「それからなぁ、お前、弟子のめんどうは、ちゃんと見てるのか?」 「ハイ、指導しています」
「嘘をつけ! お前、弟子を1ヶ月半も放置しているそうじゃないか?」「イエ、そんな事はありません」
「ありませんじゃない!! 弟子のブログに書いてあるぞ!」 「………」

結局、圓丈師匠の小言が30分楽屋で続き、周囲も楽屋に居辛くなってサシで説教されたようです。
白鳥さんは、天どんは横でゲラゲラ笑っていたと言っておりましたが、そんな事はないようです。
それでも、愚痴をマクラで話しているうちに復活する白鳥師匠。この日は、『豆腐屋ジョニー』でした。
本当に、喬太郎もそうですが、三題噺から誕生した噺を、高座に掛けながら十八番にして行きます。
最初は、荒削りでも光る感じの新作が徐々に完成度が上がり、短くスマートな噺へと進化します。
この話も、公家のマロニーなど、後から足したキャラで噺の完成度がUpしてますよね。
それと、白鳥らくごの真骨頂!わざと間違えてボケる、あざとい演出が光ります。
ドン・カマンベールを、カルボナーラと間違えるのです。
『砂漠のバー・止まり木』で、フェルゼン伯爵の手袋を手拭と間違えるのと同じ手法ですね。


5.口上
司会が、一之輔でした。年上の天どんさんに対して、「ここに控えし若者が、新真打の天どんです」が受けました。
そして、割りと有名な天どんさんと最初の出会いを語る一之輔。まだ、一之輔が入門1週間の見習いだった頃、
天どんさんは、ちょうど5年目を迎えて、二つ目に昇進したばかりで、その披露目をしていたそうです。
5年も差があるので、一之輔は慣れない楽屋に緊張していると、気さくに天どんさんが話し掛けてくれたそうです。
なんてフランクで優しい先輩なんだ?!と思ったそうですが、天どんさんが言うことが酷いのです。
「おい、朝作(一之輔の前座名) お前もいいちょうけんめいに落語すんのか?」と言うらしいのです、天どんさん。
更に「お前の師匠、犬顔だよなぁ、朝作。パグみたいな顔、パグそっくりだよなぁー」と、続けたそうです。
ぶん殴って辞めてやろうか?と思うぐらい血が騒いだと、別の会で言ってました。
この口上でも、この最初の出会いを語り、口上を終えました。

次に、一之輔が古典の名人・さん喬師匠の総領弟子、柳家喬太郎からの口上です!!と紹介。
喬太郎も、天どんとの最初の出会いについて語りました。それは…
今でも続いている浦和落語会。これは圓丈師匠の音頭で始まった会なんだそうです。
そこの事務局の女性からある日留守電が入っていた。「喬太郎さん、折り入てお話があります」と、
美しい妙齢の女性から、ちょっと思いつめた感じの録音に胸躍ったそうです。
そう喬太郎がニヤケ顔で語ると、鼻が「んがぁ」って鳴ったのです。
勇んで、その事務局の女性に電話する喬太郎、すると…
「私の落研の後輩に、咄家になりたいとう青年がいるので、喬太郎さんに逢ってもらいたいんです!!」
そう言われて、がっかりしたけど、上野の喫茶店で逢って話を聞いた相手が天どんさんだったのです。
その時の印象は、何か勘違いしている自惚れ屋さんで、好印象は無かったとか。

後日入門して、三鷹の喬太郎の会に天どんさんを呼んだら、『引越しの夢(口入屋)』をやったそうです。
なぜ、それを喬太郎が覚えているかというと、マクラで天どんさんが江戸時代は男女の人口比が、
たいそう偏っていたそうで、分かりやすく言うと、江戸時代は男子校みたいだった、と言ったそうです。
コレを聞いた喬太郎は、実に面白い独特な表現をする奴だなぁーと、印象付けられたそうです。
ここで、喬太郎が、天どんさんがバンドエイドして高座に上がっているのを見付けダメ出しして終わる。

 

続いて、モロ師岡さんが、半沢直樹にも出ている性格俳優!!名バイプレイヤーと紹介され口上を。
スーツ姿に、システム手帳と万年筆。これがサラリーマン落語のアイテムだと胸を張るモロさん。
白鳥師匠から、この万年筆を、扇子じゃなくペン置いてる、この人と珍しがられるも、
モロさん全然動じず、これが私にとっての扇子なんだ!と、言い放ちました。
天どんさんとは、そんなに仲いいわけじゃないけど、今日はおめでとう!と〆て。
半沢は、五話で栄転になり、後半は全くお呼びが掛からないと少し愚痴って終わりました。

 
最後に白鳥師匠が一門を代表して口上を。黒紋付ではなくいつものジャージみたいな着物だ。
この人は、真打披露口上で着た、黒紋付、どうしたんだろう??? アレはレンタル?と思ってしまう。
天どんについて、陰気で取っ付きにくい感じだから、殆ど口をきかなかったそうです。
そんなある日、横目屋助平(現在の柳家一琴)が、兄さん!兄さんとこの天どんは偉いネ。
と、云うので話を聞くと、天どんさんに仕事をやったら、律儀に、家までお中元を持って来たそうなのです。
それに助平が感動して、白鳥さんに天どんさんの律儀さを伝えたそうなのです。
それ以来、白鳥師匠も天どんさんに仕事を廻しているそうで、だからなつく!なつく!と言っておりました。
更に、ある落語会で天どんさんが『火焔太鼓』を覚えたんだが、白鳥兄さんから上げてもらった事にして!!
と、依頼された話を始めようとしたが、おれはまずい!と思った喬太郎が、「兄さん、その話止めた方がいい」と止めました。
すると、白鳥師も空気を読んで、その話を途中で止めて、自身のDVDの宣伝でお茶を濁して口上を切り上げました。

最後は、モロさんの音頭で、四回目の三本〆で口上は終わりました。


6.新幹線の仇討/モロ師岡
『宿屋の仇討』の現代版です。二度目でしたが、本当によくできている話です。
新幹線のグリーン車で騒ぐサラリーマン。実際に、クサヤをあぶったりはしないけど、
かなり我が物顔で勘違いして騒いでいる輩は居ますし、ヤクザ者の乗車率も高いです。
はっきり言って、モロさんの方が、天どんさんより腕があります。芸は上。


7.ひと夏の経験/天どん
また、最後の最後になぜ、このネタでトリを取るのでしょう?今から寄席の披露目が心配です。
この話も二回目ですが、締まりのないダラサラ噺です。天どんさんらしいちゃらしいけど…
潜在能力を発揮して、化ける日は、まだまだ遠いと思いました。