曳舟は、うちから遠い!!「錦糸町からすぐじゃないかぁー」と思ったら甘かったです。
会社の最寄り駅・小田急の開成駅を15:57に出発して、代々木上原で千代田線に乗換。
表参道で更に東武直通の半蔵門線に乗り換える。南栗橋行き。栗橋と言えば牡丹燈籠だ!!
そんな事を思うのは、落語ファンだけなんでしょうねぇー

結局、曳舟駅に着いたのが、予定より2分遅れて18:10ですよ、皆さん!!
2時間以上掛かったぜ。帰りは表参道からロマンスカーを利用。
それでも21:05に乗って、小田原到着は、23:12です。全然早くないぞ!!
もう一生行かないかも?の曳舟文化センターでの“デリ春” こんな内容です。


1.妲己のお百
今回も、弟子のトッピングはなく、出囃子の「鞍馬」に乗って談春登場!!
マクラでは、幽霊/お化けを見た体験について語る。
それは、育った戸田での事。戸田の夏祭に、談春夫婦と実弟にその彼女、
そして両親の計六人で観に行った時の事。
談春弟の運転で、六人が乗れるワンボックスのワゴン車で、
戸田の弟氏のアパートの駐車場に乗り付け、そこで少し休んでから祭を観に行く予定だった。
ワゴンから家族全員が降りて、アパートに入ろうとした時に、彼は訪れました。

「あのう、道を教えて頂きたいのですが、戸田のお祭会場へは、どう行ったら良いでしょうか?」

色の白い、目がクリクリと大きくて、ジャニーズにスカウトされそうな美少年である。
白い上下のスウェットを着て、ラフな格好だが清潔な感じで爽やかな少年。

「ここからだと、バスだなぁ、この通りを真っ直ぐ行って右、それをドン突きまで行って、
そしたら又右だ。道なりに行くとロータリーに出るから、そこで市民グランド方面のバスに乗れば、
そうだなぁ、30分は掛からないけど、20分ぐらいで祭会場には着くけど…」

「今から行っても、祭は9時で終わるぞ、もう8時半だからここから歩いて、
それからバスだろう、9時半にはなるからなぁー、祭なんて見れねぇーぞ、坊主」
と言うと、その美青年が、ニッコリ笑って白い歯を光らせながら、
「友達と約束があるんです。行かなくちゃ、どうも有難うございました、ご親切に」
と、言って去って行ったそうです。
それにしても礼儀正しく、今時の若者にしては好感の持てる青年だ。
しかも、ジャニーズ系の美少年、夏に感じる一厘の風みたいな奴だ。
そんな事を思っていると、談春師の弟さんが、
「何だ、兄貴。送ってやれ!って絶対言うと思ったのに…」と不思議そうに呟いたそうです。

そうだ!車で送ってやればよかった。
「よし、まだ遠くには行ってないと思うから探そう」
そう談春の父が言うと、家族六人で少年が消えた探しが始まった。
近所の病院の中、公園、くまなく探したが少年の姿は見付けられない。

おかしい?

と、家族全員が思い始めた頃、大きなサイレンが鳴り響くのに気付いた。
談春独りが、ぶつぶつと「おかしいよなぁーあんにゃろう何処に消えたんだ」
「幽霊でもあるまいし…」と、か弱い声で呟くと、こんどはガラガラと、
明らかに事故車両を引き摺りながら歩く警官の姿が目に飛びで来た。
単車だった、事故の激しさを物語るように、取れかけた車輪の音がけたたましく、
そして、不規則な雑音として響いている。

「死んだのあいつじゃねぇーよ、俺が喋ったんだぜ、霊感ゼロの」
「服だって、綺麗だったし、見てねぇーけど、多分、足も在った… ハズ」
家族全員が声を聴いた少年は、謎のまま談春たち家族の前から消えた。
翌日の朝刊にも、ニュースでも、これは報道されなかったそうです。

そんな夏の思い出を語ってから『妲己のお百』へ

師匠談志の継承芸です。談志家元とは、やや味は違います。
伯龍先生とも、少し違っていて、どちらかと言うと圓生・志ん朝テーストです。
“妲己”:ダッキとは、主人を取り殺して自分だけ面白おかしく生きる女性です。
毒婦や、悪女よりも、スケールが大きいようです。

この深川は矢倉下の“小さん”、本名がお百。
彼女は、大阪で囲われていた主人を殺して身代を奪い、
更に、身請けされた佐竹様のお家を乗っ取ろうと計画、
しかし、チャンスがないと思うと、ここから千両という銭を盗んで、
悪党の亭主と共にお江戸へ。しかし、“サ”の字の刻印の付いた銭だったので、
これがすぐには使えない。亭主は、ほとぼりが冷めるまでと地方へ旅に出たが、
お百は、芸者をしながら深川へ居ついてしまう。
この“妲己”と、ある親子が出会うのだが…

マクラの夏の思い出込みで90分タップリやりました。

 
2.百川
陽気な噺で客を帰そうと、お仕舞いは『百川』でした。
百兵衛さんが、少しずつ百川に慣れる様子が面白い演出です。
最後、サゲの「かめもじ」「かもじ」の時は、完全に調子に乗っています。