今回は、ゲストが秘密でした、シークレットゲスト。
考えられる理由は、案内を出した時にゲストが決っていないから、
または、事前に発表すると客が集まり過ぎて困る場合です。
ついに、この谷津公民館に、小三治師匠が来るのか?!!
当然、小三治師がゲストだと前泊、しかも箱根だろう。
マネージャーと下座さん(お気に入りの太田そのさんだろう)も一緒で、
あの谷津の会に生お囃子まで付くのか???
なんて、勝手に想像を膨らませておりました。

例によって、三三くんは子供落語会を午前10時からやっています。
11時15分くらいに、この子供落語会が終わって、子供達が三々五々、
母親に手を引かれて谷津公民館から帰るのに混ざって、三三くん登場。
私服姿で、ゲストを小田原駅まで迎えに行くらしいのです。

「あぁー これで小三治師匠ではない」と確信。
だって、小三治師匠なら当然車だよね、箱根から谷津まで。
それでも淡い期待。迎えに行くんだからそれなりの先輩?

But!!

来たのは、誰れなんだお前、このハゲという風貌の明らかに二つ目。
そうだ!! 柳家さん弥くんでした。小三治師か?と思っていた所に、
さん弥くんですからねぇー 落胆が大きかったです。あぁー妄想でした。

  
  
 
◇12時の部
・道具や    … 三三
・宿屋の仇討 … さん弥

お仲入り

・木乃伊取り … 三三

 
◇15時の部
・金明竹   … 三三
・ちりとてちん… さん弥

お仲入り

・寝床    … 三三

 
1.道具や/三三
本日のゲスト、柳家さん弥さんは、それはそれは珍しいエピソードをお持ちです。
その中から1つ紹介すると… 逆お焼香事件を披露しました。
これは有名ですね、さん喬師匠の知り合いと言うかオダンの方の葬式で、
さん喬師に続いて、さん弥くんも焼香するように言われたが、生まれて初めてだったらしい。
周囲の作法を見て、見よう見まねで焼香したのだが…
焼香を済ませたさん喬師匠が、異様な叫び声に気付いて振り向くと、
さん弥くんが、指を突き立てて悶絶している後継が目に飛び込んで来たそうです。
そうです、さん弥くんは火の点いた方の香を摘まんで、
周囲に捲いて、焼香台がモクモクと、お寺の境内みたいな状態になっていたそうです。
そんな、さん弥エピソードで笑いを取って、『道具や』へ。

三三くんの『道具や』は、久しぶりでした。5年間で146席三三くんの落語を聴いて、
これが二回目ですからね。ちなみに、三三くんのBEST15は、こんな話です。

たらちね
妾馬
不孝者/茶屋迎い
締め込み
のめる(二人癖)
花見の仇討
錦の袈裟
権助提灯
口入屋(引越しの夢)
高砂や
小間物屋政談(万両婿)
湯屋番
明烏
薮入り
鮑のし

全部、5年間で3回以上聴いています。

 
2.宿屋の仇討/さん弥
初めて、じっくり長い本格的な噺をさん弥くんで聴きました。
まったくダメなのか?と、思っていたら、天どんくんぐらいはできました。
元々、よくできている噺ではありますが、妙なクスグリは入れず、
さん喬師匠の教えを守った感じで、良かったと思います。
 

3.木乃伊取り/三三
三三くんで、この噺を聴いたの初めてかも?です。
清蔵が、意外とコロリと篭絡されたのが残念でした。
もっと、徐々に花魁に懐柔される方が私は好きです。

 
4.金明竹/三三
これまた、かなり久しぶりに三三くんの『金明竹』を聴きました。
前座か二つ目になって間もない頃に聴いていると思うのですが、
タップリ25分掛けた通しの『金明竹』は、初めてかもしれません。
さて、これが15時からの第二部の幕開けだったんですが、
この日、最前列の下手の席に居たお婆ちゃんが、家でテレビを観ている感じで、
三三くんの落語に呟くのです。突っ込みを入れたり、次の展開を口にします。
「水捲くよ二階でも」「傘を貸すの、叔父さんがお気に入りの」「猫も貸してやらない!!」
と、妙な間でかなりデカい声で喋るのです。耳障りでした、3人離れた私ですら。
隣や後ろの人は、いい迷惑でしょうね。三三くんも無視して頑張りましたが…
黙れ!といえません。80歳は軽く越えた地元のファンですからね。
一之輔、文左衛門、白酒あたりだと、
「首絞めるぞ、ババァ」と言い出しそうなくらい煩いお客さんでした。


5.ちりとてちん/さん弥
くだんのお婆さんですが、さん弥くんの時は煩くありません。
『ちりとてちん』は、知っていると思うのですが、笑いもしない感じでした。
休憩していたんでしょうか? さん弥くんの六さんが腐った豆腐を食べる様が印象的でした。


6.寝床/三三
これまた、初めてじゃないのか?三三くんの『寝床』
こいうネタはあまり得意じゃないと思うのです。基本、唄を避けて通る芸風ですからね。
それでも、義太夫好きの主人がよく演じられていて、楽しい一席でした。
そうそう!あのお婆さんが、笑い過ぎてパイプ椅子から途中で落ちたのです。
物凄い音がして、落語が止まりました。本当にお騒がせなお婆さんです。
それでも、なんとなく憎めないキャラではありました。
漫画ですよね、笑いコケて椅子から落ちるなんて、そのまま死んだりしたら、
多分、公演は中止だったんだろうねぇ、そのくらいの勢いで落ちました。
ちょうど、茂蔵の報告が終わって、旦那様がへそを曲げたトバ口で落ちたんですよ。
慌てたスタッフさんが、お婆さんを抱き起こして、無事を確認しました。
そのタイミングで、「まだ、義太夫やってないのに、当たったか?」と弄る三三くん。
笑いが起きて、場が和んで、後半の『寝床』盛り上がりました。流石、プロです。