この会も、2年が経過して成城の名物になりました。
特に、今年は談春のアナザーワールドが無かったのでね。
この白酒さんが、ここのメイン的な存在でもあります。
国立での“白酒ひとり”、にぎわい座での“白酒ばなし”と並んでの会。
そして、ここ成城では、ネタ卸し、または蔵出しに近い話をやっています。
今回は、こんな内容でした。

・小粒 … 春風亭一力

・不動坊 … 桃月庵白酒

仲入り

・居残り佐平次 … 桃月庵白酒

 
1.小粒/春風亭一力
好きですね、『小粒』を、一力くん。
もう通算で、6回か7回は聴いています、一力くんの『小粒』
本人も、小粒だから、好きなのか?似合ってはいます。


2.不動坊/桃月庵白酒
マクラで、芸能人や俳優の浮いた噂や、結婚話を聞いて、
その映画やドラマのファンは、少なからず嫉妬を覚えると言う話を振って、
カク言う自分、桃月庵白酒師匠も、水谷豊と伊藤蘭の結婚に嫉妬したそうです。
そんな嫉妬のマクラから、『不動坊』へと入りました。

まず、未亡人のお滝さんが嫁に来ることになった吉公のはしゃぎぶりが白酒らしい。
「お滝さんが好き過ぎて、自分がお滝さんに成った心持がする!!」などは、
白酒師匠ならではで、更に妙な節を付けて「♪お滝さんが、来ぅ~る!!」とやります。
この辺りは、白酒らくご独特の展開ですね、そして完全にてんぱった吉公が、
お滝さんを迎えるシュミレーションを始めるのです。完全にアホです。
そして、湯屋に行くのですが、お約束ののぼせ上がりようです。
勿論、手ぬぐいを土瓶と間違えて、湯屋に行くのですが、
始終「♪上さんが来る、お滝さんが、来ぅ~る!!」と歌います。

また、湯の中で、普通はノロケる程度ですが、白酒さんのは違います。
もう湯から上がって、帰りかけの客を捕まえて、お滝さんとの初夜をシュミレーションします。
で、最初はイヤイヤ付き合っていた、その気の毒な客が、だんだん馴染んで、
最後は、本息でお滝さん役をやってしまうのですが、吉公はお約束で、湯に笑いながら潜ります。
この場面が、もう異様に面白くて… 2年前にも白酒さんの『不動坊』聴いていますが、
この部分が、こんなに面白かった記憶が、残ってなくてね、それにしても笑いました。

鉄さん、万さん、徳さんがバカにされたのと、お滝さんを取られた腹いせに、
幽霊を出す算段をする場面も、スキ返し屋の徳さんは、“ちり紙に目鼻”のフレーズが、
あまりにも有名で、隣町の盆踊りの歌詞になっているというのも、白酒さんらしいギャグです。
そこから屋根の上に行ってからも大爆笑の30分でした。

 
3.居残り佐平次/桃月庵白酒
出囃子が、「中の舞」でした。普通の真打なら当たり前なんだけど、
白酒さんは、いつも面白い変わった出囃子で出る方が多いので、ちょっと気になりました。
マクラは、浅草演芸ホールの客は、本当に手ごわい!!という話から。
観光客、修学旅行生や、読売新聞のタダ券のお客さんまで、千差万別。
だから、客の空気が定まらないそうです。用意しているネタがヒットしないと辛いらしいですね。
つい最近も、正蔵→正楽の後という出があって、「こぶ平漫談」と「紙切り」の後、
子ほめをやるのは、本当に辛いそうです。紋之助やロケット団でも辛いと言うらしい。

そんなマクラから、郭遊びのマクラへ変わって、“居残り”が嫌われたと振って『居残り』へ。
初めて聴きました、白酒さんの『居残り』 40分やりました。「ちょいと居のドン~」入り。
本当に普通に、普通に流れる『居残り』 あんまりハメごと無しの本寸法でした。
押し出しのいい噺っぷりで、「一膳飯屋でも」からの「一杯食わされた」がサケでした。
このパターンは、初めて聴いた。白酒オリジナルか?
何度も掛けて行くと、白酒さんらしい部分が増えるに違いない予感の一席でした。