イメージ 1
春の日本庭園は、本当に美しいですね。肌寒いけど、木々は初夏に向かう彩りです。
この会場は、本当に風情が在って、小満ん師匠に似合ってます。
これもオフィスM'sの加藤さん、席亭の石井さんの尽力なんでしょう。
そんな“和の美”を感じる「赤鳥庵」で、こんな演目が並びました。

  
イメージ 2イメージ 3イメージ 4 
  
  
イメージ 5イメージ 6イメージ 7 
  
  
・やかん  … 林家なな子

・蜘蛛籠  … 柳家小満ん

・五人廻し … 柳家喜多八

仲入り

・愛宕山  … 柳家小満ん


1.やかん/なな子
稽古で声が枯れたのか?かなりハスキーな声のなな子さんでした。
「川中島」の講談調になる部分のリズムが良かったです。
ただ、全体的に息が続かないのが気になります。
息が続くと、落語にもっといい“テンポ”が生まれるように感じます。
言い間違えても、動じず切り返せたり、機転も度胸も満点だから、
息が続くと、本当によくなると思います。

 
2.蜘蛛籠/小満ん
マクラで、関東18檀林を家康が作ったのに興味を持ち、
これを毎月1箇所ずつ、小満ん師匠は廻ったことがあるという話をされました。

◇武蔵国
増上寺(東京都港区) 
伝通院(東京都文京区) 
霊巌寺(東京都江東区) 
霊山寺(東京都墨田区) 
幡随院(東京都小金井市) 
蓮馨寺(埼玉県川越市) 
勝願寺(埼玉県鴻巣市) 
大善寺(東京都八王子市) 
浄国寺(埼玉県さいたま市岩槻区) 
◇相模国
光明寺(神奈川県鎌倉市) 
◇下総国
弘経寺(茨城県結城市) 
東漸寺(千葉県松戸市) 
大巌寺(千葉県千葉市) 
弘経寺(茨城県常総市) 
◇上野国
大光院(群馬県太田市) 
善導寺(群馬県館林市) 
◇常陸国
常福寺(茨城県那珂市) 
大念寺(茨城県稲敷市) 

そんな月一の旅を共にしてくれた寄席文字の右乃香さんがプログラムに短い文を書いていて、
粋で美食家の小満ん師匠は、食べる場所にも困るような田舎でも、
不思議と美味い物に出くわす、そんな選ばれし運を持っていると言っておられました。
そんな文章を引用して、小満ん師匠のマクラでも、群馬のどちらかの寺なんでしょうか?
美味しい蕎麦に出会った話をされました。小満ん師匠らしい語りで、そこから旅と駕籠について、
そして、『蜘蛛駕籠』に入ったんですけど、これがまた絶妙なのです。

江戸の風情満点の『蜘蛛駕籠』でしてね、途中に出て来る酔っぱらいがいい感じなのです。
『うどん屋』にも同じような、リピート酔っぱらいが出ますが、小満ん師匠らしい可愛い酔っぱらいでした。


3.五人廻し/喜多八
マクラでは、学習院時代の下宿がこの目白に近かった思い出と、
前座時代も、ここ目白で遊んだ思い出を懐かしそうに語る喜多八師匠。
いつも飲みに行っていた出世払いのバーで、まだ前座なのに、
「ママ、とりあえずビール」と云ったら、BOX席から声が掛かる!!
それが、剣道の稽古帰りに、警察関係者と飲んでいた目白の小さん師匠、
バッタリ鉢合わせになり、これこそ“百年目”ですよ。
もう少しで破門になるところだったと、苦笑いの喜多八師匠でした。

そして、学習院、目白繋がりで、馴染みの寿司屋で、小さん師匠が皇太子殿下に遭遇した話を。
これがまたおかしくてね。
馴染みの寿司屋に小さん師匠が行くと、なにやらスーツ姿の屈強な野郎が座敷入り口に居るのを目撃!!
なんだろう?と思っていると、寿司屋の大将から「浩宮様がいらっしゃる」と聴いた小さん師、
おもわず「それなら、俺からだと、調子を2本ばかりやっつくれ!」と、江戸弁で指図。
当然、皇太子はそのまま、師匠に礼を言うこともなく寿司屋を出る。すると・・・
これに烈火の如く怒った小さん師匠。「野郎、どういう料簡なんだ!!」 「親の教育が良くねぇーんだなぁ」
と、云ったそうです。おいおい、天皇批判かよです。そんな話から、寄席の客層が変わって女性が増えた話をしつつ、
吉原、廓噺がなかなか寄席ではやられなくなったと云いながら『五人廻し』へ。
喜多八師匠の『五人廻し』は、最近5年間で三回目ですが、何度聴いても面白いですね。

 
4.愛宕山/小満ん
奥様と京都の愛宕山に登山した話をマクラで振って、『愛宕山』へ。黒門町譲りの『愛宕山』です。
ただ、意外とアクションがダイナミックな小満ん師匠の『愛宕山』です。
そして、大きな会場ではできない、高座から乗り出して、旦那と谷底の一八の会話が面白かったです。
あと、坂を登るときの一八の唄も良かった。これが若い咄家との決定的な差だと思いました。