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今年の初笑いの落語会です。新作でスタートするのは久しぶりです。
2009:柳家花緑の紀伊国屋ホール
2010:落語教育委員会の東京芸術劇場
2011:柳家三三の小田原市民会館
2012:柳家三三の小田原市民会館
このように、新春落語は、古典落語の会で例年始まっていて、
今年も、三年連続「柳家三三の小田原市民会館」かな?
そんな予感だったのですが、今年はプーク人形劇場。

そうです!知る人ぞ知る、新作落語の聖地であり、
椅子が長椅子、しかも子供が座る事を前提にした、
ありえない狭い椅子で有名な、2時間座り続けると、
腰を痛めてしまうという、不吉な座席の会場なのです。

初日・三日目は、三遊亭圓丈師匠の会だったのですが、
今回は、喬太郎と百栄の会の方を選びました。
あまり深い意味はありません、私個人のスケジュールの関係です。
予約電話の際に、16時に整理券を配ります、と言われたので、
とりあえず、15:40に行ってみたら、既に30数人の大行列。
場所は、西新宿のハズレにあるので交通の妨げとかにはなりませんが、
流石、正月に喬太郎が出ると、満員御礼ですね。

そんなプーク人形劇場での会、こんな内容でした!!


1.ガラポン/わん丈
マクラを少し振ってから、自作の『ガラポン』という噺に。
このタイトルは、志の輔と同じですよね。内容は勿論違うけど。
所謂、関西の“おばちゃん”が、抽選券を手に入れてガラポンする噺。
このわん丈くんは、新作を作る能力、なかなか高いです。
構成力は、既に、たん丈・玉々丈、いやいやぬう生を抜いているかも?
マクラでは、前座として迎えた初めての正月いろいろを紹介しました。
圓丈師匠宅の大掃除は、結構過酷みたいですね、睡眠不足だ!と言っておりました。
また、林家ペー先生に名前と生年月日を教えたが、名前は忘れられたのに、
生年月日だけは、12月1日と覚えられてしまったそうです。林家ペー恐そるべし!!
 
2.恩師の家庭訪問/ぬう生
マクラで、正月の過酷噺といえば、林家ペー&林家パー子夫妻と、
横浜・桜木町から赤羽まで京浜東北線で一緒だったエピソードを紹介。
これは、なかなかの試練だったようですね、ギャラリーがどんどん増えて。
そんなマクラも早々に、自作の『恩師の家庭訪問』へ。
ぬう生くんの、ホストシリーズ以外を聴くのは、かなり久しぶりでした。
前回聴いたホスト以外の噺も、学校もので競輪選手の同窓会の噺でした。

この噺、産休先生のピンチヒッターで担任になった臨時の老先生。
この人が受け持つクラスの生徒、そこには、昔の教え子の息子・娘が居る。
あまりに懐かしくなった先生が、家庭訪問に出かけて、昔の教え子に再会する噺。

所々に挟んで来るギャグは、なかなかいいセンスなんですよ、ぬう生。
ただし、展開、人物設定、ストーリーの構成が雑というかバラバラなのです。
この目の付け所とギャグがあれば、あとは展開と構成さえ良ければ、
かなりお客を惹き付けられるのに、残念です。

それでも、父親似の娘が、あまりにブスで可哀相だと言って、
主人公の老先生が、父である元教え子に向かって、
「この子は、レスリングの選手にでもしないと、嫁には行けんぞ」
と、言う場面は笑いました。

3.宇宙修学旅行/今輔
芸協の噺家さんなので、殆ど聴いたことがありません。
4年くらい前に、今輔に成ったばかりの頃聴いて以来でした。
マクラは、そこそこ面白かったです。特に群馬出身なので、
地元の温泉街での余興に呼ばれて、温泉会館での落語会でのこと、
客の老人がボケていて、さんまのからくりテレビに登場する、
ご長寿クイズの回答者みたいな老人ばかりなので、
オーソドックスな古典落語をやっても、一向に反応がない!!

なんか、この老人の例えも、クイズマニアの今輔さんらしく、
“ご長寿クイズ”みたいなというのが、個人的には面白かったです。
地元群馬の落語ファンであり、温泉協会の方から
「今輔師匠も、五代目の十八番『塩原多助一代記』やられるんですか?」
と、質問されたそうです。 地方では古典ばかりを演じるらしいですね六代。
塩原多助は、群馬の偉人ですからねぇー でも、残念!!
落語の符丁である“北山”すらつい最近知った今輔さん、
『塩原多助一代記』なんてやりません。

この後、中学時代、家人にTVの深夜番組を見ていると気付かれない為に、
居間のテレビに毛布を被せて、音量を“小さく”して楽しんだ思い出を語り、
ここから、今時の中学生の修学旅行は豪華だという話に持って行って、
そんなマクラから、自作の『宇宙修学旅行』へ
細かいクスグリは入りますが、基本的に展開に乏しい一席でした。
もっと、宇宙船のディテールな描写とか、せっかく火星に行くのだから、
この星の歴史など、クイズマニアらしい薀蓄があればと思いました。

4.1パーミルの恋人/丈二
マクラでは、浅草演芸ホールの初席に出ている話をしました。
丈二くんは、第二部のサラつき(11時半)に出ているけども、
めったに寄席に来ない客ばかりなので、まったく聴いてくれないそうです。
しかも、昔みたいに詰め込みじゃないので、(ヤクザな詰め込みは止めたのか?)
客に無駄に動くスペースを与えたもんだから、客が動き廻って困るそうです。
寄席の初席は、学級崩壊状態のようですね。

また、一方ではマニアな客ばかりの会も困ると言う丈二くん。
黒門亭とかであるそうです、20人・30人が殆どマニアの場合。
そうなると、マクラから話に変わるとその瞬間、
客が一斉に何やら書き始めるそうです。特に古典落語の場合は顕著らしい。
それと、新作でタイトルが分からない場合、マニアは勝手にタイトルを作る。
適当にタイトル付けるのはいいけど、それをウィキペディアに書くな!!と力説。

丈二くんは“ガラスの心”なので、おみくじすら引けないそうです。
そんな小心者なので、占いとか手相・人相など触れないようにしている。
そう語ってから血液型占いの話にもって行く。
丈二くんは、AB型だそうで、AB型に多い職業はお笑い芸人とオカマだそうです。

最後に、違う血液型だったのに、ある日突然AB型に成った少し先輩の咄家の話をしました。
この人は、幸せな結婚をして、二児の父親なんですが、奥さんと子供の血液型を鑑みて、
ある日突然、自分はAB型だ!と、言い出したそうです。 ここから『1パーミルの恋人』へ。

“パーミル”というのは、プロミルとも言いますが、1/1000、つまり0.1%の事。
ppmと%だけだと、単位が離れ過ぎているので、使われる場合がありますが、
かなりマイナーな単位だと思います。
『0.1%の恋人』とか、『1,000ppmの恋人』にしないのが丈二くんらしいです。

5.時の過ぎ行くままに/清麿
久しぶりに聴いた清麿でした。マクラは、いきなり正月が長すぎる!!と言う師匠。
前座は、正月は忙しかったのに、清麿ぐらいになると正月は暇だそうで、
延々、正月番組を見ていたらしい。箱根駅伝の魅力を見付けよう!と観察したが…

自分には理解できないと諦めたが、それが正月なんだ!?と感じたそうです。
そんなマクラから、自作の『時の過ぎ行くままに』

ハードボイルドに憧れる主人公の噺なのですが、『猫の皿』みたいな噺でね。
峠の茶屋が、横浜の場末のBarに変わったのと、“皿”→“女”なので、
アプローチして来る客=カモの種類が、主人公を入れて3パターン在ります。
良い声で、喋りもまずまずなんですけどね、笑いが薄いよなぁー毎度。

6.天使と悪魔
登場するなり、百栄くんが「喬太郎兄さん、まだ来てません!!」
携帯も電源が入ってなくて連絡が取れず、とりあえず留守電にメッセージを残したらしい。
可能な限り長いマクラとネタをやります!! そう宣言したものの・・・

まず、正月の栄枝一門の事情について語る百栄さん。
一門ったてねぇ、師匠と弟子二人である。なのに、
あんまり会わないのだとか。特に正月は親戚筋との挨拶で、
栄枝師匠が忙しくて、弟子に構えないらしいです。

次に、去年のエポックとして髪型を変えた話へ。
気分転換にトレードマークのおかっぱ頭から現在のパーマの髪型へ。
おかっぱ、マッシュルームカット、バナナマン日村風ヘアーを止めて、
現在のパーマの頭にしたのですが、本人の弁によるともう戻れないそうです。
理由は、気持ち悪いからだそうです。こんなに気持ち悪いのかと驚いたそうです。
なんでも、文左衛門プロデュースの鹿芝居で見せた、
入船亭扇辰さんのバナナマン日村カツラ姿の写真を見て、
「なんじゃこりゃーーー」の衝撃を受けたそうです。

ただし、現在のパーマに関しても、一之輔から言われた、
「兄さん!なに調子こいてるんですかぁー、芸術家気取りですかぁ」
には、少しだけまじに、ムッとしたそうです。
思わず、「お前だって売れっ子気取りじゃねぇーか」と、
返そうとしたそうですが、その言葉を飲み込んだそうです。
よーく冷静に考えたら、売れっ子に売れっ子気取りは、自分が惨めになるからねぇ。

ここから本題の『天使と悪魔』へ

このネタは、昨年10月の横浜にぎわい座:のげシャーレでの百栄師匠の会で聴いています。
その時と、全く同じでしたね。落語家が寄席で口座に上がる前のネタ選びを題材にした新作です。
新作にするか?古典にするか?心の天使と悪魔が戦う、心の葛藤を描きます。
舞台が、鈴本というのもいいですね。また一之輔の代演というのもリアルです。

7.繋ぎのトーク/百栄&丈二&今輔+ぬう生
結局、百栄くんの35分の熱演もむなしく、喬太郎が現れず、
仕方なく、3人のトークで繋ぎました。

喬太郎目当てで、明らかに満員になっているのでね、
どうする、どうすると、特にプランも無く話し始める三人。
来るまで繋ぐの、とかなり不安になった三人の元へ、
「師匠、お見えになりました!」と、ぬう生登場!!
今、着替えますから、あと5分繋いで下さいと言う、ぬう生。

プークの椅子は、本当に小さいって話をして、
常連さんは、My座布団を持っているという話題になり、
この日に来ている客のMy座布団いじり出す。
初めて来た客が、意外と多くてMy座布団に関心しきりでした。

8.諜報員メアリー/喬太郎
まず遅刻の謝罪から。入りの時間を完全に勘違いしていたそうです。
トリの芸人が遅れて、必死で前の芸人が繋いだなんて話が、
古谷三敏の「寄席芸人伝」とかによく出てきますが、
それと同じ様子が、正月早々、ここで見られるなんて?!
皆さん、運がいいですよ、と、言う喬太郎。

確かにありますね、トリが来ないので膝代わりの師匠が必死に繋いだ話。
私は、談志師匠が寄席のトリに来ないので、紙切りの師匠、先代の正楽師匠が、
持ってきた紙を切り尽くして、更に客席から貰ったチラシの紙も切り尽くして、
それでも時間を繋ごうと、稲荷町の正蔵から習ったお噺をと、
30数年ぶりに落語をやったって、話を聴いたことがありますねぇ。

この日、一日の流れを説明し出す喬太郎。
まず朝、浅草の東洋館で短く一席やって、下にある演芸ホールに出演。
昼過ぎに、お江戸日本橋亭で開催されていた「さん喬一門会」に顔を出す。
出番は決まっていなかったが、プークへは20時入りだからと、
弟弟子と、わいわい無駄話をしていたそうです。
そして、今年真打が決まっている喬四郎が高座に上がったのですが、
まぁーーーー訳の分からない妙な新作落語をやって、客がドン引き。

暗く澱んだ客席の高座に、喬太郎は上がって、そこで長い迷走するマクラの末に、
結局、古典の中から、何でこれを掛けたのやら?なエロ噺をやって降りたそうです。
お姫様「誰じゃ、誰じゃ、わらわのアソこに、何やら入れるのは、誰じゃ!」
欣也 「せっしゃでござる、姫様!!」
みたいな噺をやったそうです。

ここから紅白見ましたか?と、振る喬太郎。
喬太郎は、全く見る気が無かったけど、モモクロが気になったので録画したそうです。
喬太郎曰く、40・50のいいオッサンが、モモクロを初めて見て、その衝撃からファンになる。
そんな話を仲間内でも聞いたので、自分で検証してみようと、モモクロの出る辺りを録画したそうです。

そして、

見てみると、モモクロのえび反りジャンプに感動して、いいじゃない?!くらいは思ったそうです。
そこから大はまりして、ウルトラマンと同列になる程ではないが、AKBよりは親近感が在ったらしい。
この後、年忘れ日本の歌について、以前、倖田來未でも言いましたが、
長生きしてAKBを60年後見てみたいそうです。AKBが78歳だと喬太郎は104歳?
AKB48も13人しか生きておりませんとか言っておりましたが、
喬太郎の方がもっと厳しいと思いました。

ここから、御節の話へ。喬太郎が師走に年越し蕎麦の具を買いに街へ。
スーパーの惣菜屋には、掻揚げとエビ天ばかりだと嘆く喬太郎。
喬太郎自身は、芋天が食いたかったそうです。(流石、コロッケ蕎麦通)
よし!こんな時こそ、天やだ!と、天やへ直行、しかし…

「申し訳ありません、大晦日はご予約のお客様のみです」

と、言われてしまったそうです。畜生!!と、思ったけど、
なんとか野菜天を見付けて、これと小柱&海老の掻揚げを買ったとか。
更に御節話は、お重の中の料理の話へ。伊達巻についての喬太郎の思いが炸裂します。
これは、以前聞いたような気もしました。まず、伊達巻!!これはオカズか?
オカズにも、肴にもならず、かといって、お菓子でもない。

つまり、黒豆、きんとんなどと、かまぼこの中間的存在だ!と力説します。
そして、喬太郎が見付けた唯一、この伊達巻の活躍の場が、
黒豆を食べた後に残る“つゆ”この甘いつゆの処理に伊達巻を使うのだと言うのです。
伊達巻は、半端にスポンジ感があるので、少し残る黒豆のつゆを程良く吸う!!
そして、甘味の増した伊達巻を食べるのが、喬太郎は好きなんだとか。

ジェネレーション

20代の人手を挙げて、と、言う喬太郎。
結構、この日は居ました20代。
次に50代の人手を挙げて、と、言う喬太郎。
先の20代の半数くらい居ました。
そして、昔は正月の演芸小屋だと必ず1人は居たんです、
ゲスな事を言う「チ○コ、マ○コ、ウ○コ」を連呼する、
お前は、ワンダー3か?!みたいな芸人が。

普通なら、ぬう生あたりが言わないといけませんよね。
と、言う喬太郎。ここから、何を思ったのか、最近密かに温めている、
『芝浜』の演出が2つあるんですよ、と言って、語り出しました。

1つは、海外映画『芝浜』が、日本で上映された場合に入る、
日本語訳テロップ風の『芝浜』という演出です。
これは、笑います。ビバリーヒルズ高校白書シリーズみたいな感じです。
友近となだぎたけしの『芝浜』みたいなやつです、
でも、多分40分はうざいです。

もう一つは、ホモの『芝浜』です。
これもツボに嵌る場面が多々ありますが、カマ手本の二番煎じ感があります。
そんな話題から『諜報員メアリー』へ。

二年ぶりくらいに聴きました。
金魚売りを“海老”売りにする時の売り声が、
金魚売りというより、竿竹売りに聞こえます。
短い噺ですけど、笑いは満載ですよね。

プーク人形劇場、椅子は辛いけど年に1回なら許せるかな?