春風亭一之輔師匠が、鈴本代替に続き今月も、十日間、浅草の夜の下席のトリが中止になった代替公演を、YouTubeの一之輔チャンネルで生配信する事になりました。
その初日。膝にゲストとして、紙切りの林家正楽師匠を迎えてのより寄席に近い公演でした。
正楽師匠は、約一ヶ月半ぶりの高座でやや硬いご様子でしたが、
ハサミ試しの跳ぶ馬と、相合傘で、手応えを掴まれた様でしたが、一発目のチャットからのリクエストが『アマビエ』。
ご存知、コロナ禍に話題になった江戸後期の妖怪ですね。三本足で鱗の在る妖怪!正楽版のアマビエが誕生しました。
身体を動かしながら切る理由の説明を、お馴染みの調子で、ネタ振りしてやりましたが、まだ、やや硬い感じなのと無観客なので、喋りの間が定まらず、やや硬く感じました。
次のリクエストは、『鯉のぼり』。正楽師匠は、毎年何十回と切っているテーマですが、今年は『鯉のぼり』初めてだと言っておられました。
ここらで、寄席ではお馴染み「取り敢えず、ビール」のネタ。この辺りから、流石に、喋る調子が上がり本来の正楽節炸裂!!続けて、お煎餅の袋を切って!のネタへ。
三つ目のお題は『甲子園』。栄冠は君に輝くが、お囃子さんのナイスチョイスでBGMとして流れて、高校球児の悔しさを正楽師匠が代弁するかの様な、ハツラツとした作品が切られました。
更に、「何でも切りますよ!爪切り」のエピソードを語る正楽師匠。もう、完全に寄席の膝ん時のペースになりました。
そして、最後のリクエストは、『團十郎襲名』で、正楽師匠は、勧進帳の弁慶の六方を切って、お後と交代!!いやぁ〜、流石です、正楽師匠。国宝級!
トリの高座に一之輔師匠が登場。やはり、膝の芸が有ると上がりやすそうに座布団に座り、高校野球から、朝ドラ『エール』の話題に、スッと入り、
旬な話題の黒川さんの賭け麻雀について弄り始めたんだけど、前回に比べると一切空回りせず、適度な笑いで、本当に寄席の高座らしい。
更に、話題は各寄席には、個性があり、お客様のカラーがそれぞれ異なると力説して、浅草演芸ホールの特徴を語るが、単にdisっているだけになる。
しかし、嘘や誇張ではなく、それが浅草だから仕方ない。
更にマクラは、春日部高校時代に、落研を同級生の高木くんと復活させた思い出話を語り、そこから、元落研の定年後の一般人から頼まれて、稽古を付ける話をし、
自らが踊りに通っていた前座、二つ目時代の話にはり、お稽古事繋がりで、いい感じに『欠伸指南』へと繋げて行きました。
此れは、先の十日間の鈴本代替の時には無かった流れる様な展開!!間違いなく、正楽師匠の膝効果と、流石に無観客生配信に慣れて来ましたね!!流石、二十一人抜きは伊達じゃない。
さて一方本編の『欠伸指南』。私は2009年だとと思いますが、池袋の「新文芸坐落語会」で、初めて一之輔さんの『欠伸指南』を聞いたと思います。
何かぁ、別の大きな会で掛ける為の練習で、この頃、矢鱈掛けていましたが、欠伸指南の先生が大して夏の欠伸が上手くないんで、何かぁ締まらなくてね。
苦労してやっていた記憶がありますが、もう10年以上経った今では、一之輔色に完全に染まり切った『欠伸指南』になっておりました。
◇初日のアーカイブ
残念ながら、正楽師匠の高座は生のみ