正保四年三月下旬、ある一夜、正雪は天文運気を観て、天下に変事有ると読んでいた。張孔堂の一味にそれぞれ指図する事があり、由廻状を持って集合を掛けた。

由廻状で呼び出されたのは、柴田三郎兵衛、丸橋忠彌、佐原十兵衛、永山兵左衛門、鵜野九郎右衛門、坪内左司馬、金井半兵衛、熊谷三郎兵衛、

有竹作右衛門、加藤市右衛門、吉田初右衛門、松田彌五七、平見次郎右衛門、本吉新八、有竹八蔵の精鋭十五名だった。


十五名は、張孔堂の奥にある正雪邸の広い客間に集められた。開口一番!正雪は、「お前はギレン・ザビか?!」と思わせる調子で、十五人に向かって演説をぶつ!!


PS2「機動戦士ガンダム ギレンの野望 ジオン独立戦争記」Vol.5 『ギレン演説』 https://youtu.be/nYRxiNAz5nw @YouTubeより


「我々は、十数年の歳月を掛けて、国家転覆を謀り、政を我々の手中にし、豊臣・徳川に関係なく平等な社会の実現に同士を集め、軍資金、武器を集める努力をして来た。

そして、天下が揺れる決起の時を、首を長くして、今か!今か!と待ちわびている。

集いし諸君!!我々にその時が来たと思われるか?答えは、残念ながら、『否』である。徳川家の世は、益々、平穏で盤石なモノとなり、

他方、我々に組する、入魂する旗本・大名は、今だに一人も現れておらぬのが現実だ。

そこで、私は、この大望の首謀者として、ここに諸君の日々の働きと、天下の時政を見るにつけ、もしかすると、ここらが潮目で、陰謀を諦めて、各人の将来の為に、君たちの諸侯への仕官の道を模索しては?とも思っている。諸君のご意見や如何に?!」


一同、顔を見合わせて、絶句。二の句が継げずにいた。その重い空気を、柴田三郎兵衛と丸橋忠彌が口を開いた。

我々は、既に正雪殿に命を預けし者なれば、前に進む道、つまり大望に向かって突き進む道しか御座らむ。また五年、十年では、この大望難しい事も知っているし、

例えそれが、十五年、三十年、いや!例え五十年の歳月だったとしても、命有らん限り大望の為に、正雪殿に付いて行く所存です。

また、確かに諸侯や旗本、幕閣の中からは、我々の陰謀に加わる同士はありませんが、連判状に血判した仲間は、既に、五千八百人です。これだけの勢力を一気に動かせば、この大望は達成できるはずです。

ですから、何卒、大望を捨てて道を変えるなどと、仰らないで下さい。すると、その意見に十五名は皆賛成し、それを見た張孔堂正雪は、涙を流して喜んだ。そして。。。


命有らん限りと申すならば、その血判状の五千八百人を同時に動かして、如何せんや?!実は、天文運気を見る中で、近日中に、天下に大きな異変ありと出ている。それはこの秋にも大望の機会が巡って来るかもしれない。

そこで、五千八百人の兵を動かし、江戸、駿府、京都、大坂の四箇所で、同時に決起するには、どのような作戦を持って臨むのが良いか?

各自それぞれの考えを述べよ!と、正雪は十五人に迫った。十五人は熟慮した。そんな十五人に各自の軍略・作戦を書き物にして本日中の提出を命じた。


つづく