三日間、連続公演の最終日、8月10日土曜日。年末カウントダウン寄席以来の志の輔師匠の独演会に行きました。
勿論、前売りは完売。ただ、当日券が19枚出ていた立川志の輔独演会、こんな内容でした。
1.手紙無筆/志の大
八番弟子なんだそうです。しっかりした前座さん、間の取り方、リズムも落語にちゃんと成っています。
既に、二つ目・真打に成っている兄弟子たちの前座時代よりは、技術的には完成された落語になっています。
最近の落研や、他の芸人経験者からの入門して来る皆さんは、下地が出来ていて、レベルが高い傾向ですよね。
まぁ、どう個性を出すか?これからが勝負です。
2.千両みかん/志の輔
マクラでは、地方の仕事へ飛行機を利用する際に羽田空港では、搭乗ロビーにあるマッサージチェアーを利用すると言う志の輔師匠。
わざわざ、マッサージ機に係る為に、百円玉を二枚だけ、財布に入れておくという。羽田空港のマッサージチェアーは、二百円で10分揉んでくれるのだ。
ある日、行きの羽田空港ではフライトまでの時間がギリギリでマッサージチェアーを利用できず、長崎大村空港に到着。
タクシーで、大村から長崎市内に二時間移動。仕事を済ませて、軽く乾き物でのビールの打上げをやり、やや余裕を持って大村空港へと移動した志の輔師匠。
鞄持ちの弟子には、レストランで飲んでいろと言って、志の輔師匠自身は、搭乗ゲート近くのソファーでテレビを見ながらビールを飲んでいたが、
ふと、ココ大村にもマッサージチェアーが在るのを発見する。そうだ!羽田で使わずに来た二百円が在る!そう思ってマッサージチェアーに座り、二百円を投入。
そして、操作パネルを見ると羽田空港とは、若干仕様が違う。それでも、マッサージチェアーなんて似てるから、「全身」「ふつう」「手揉み」「自動」とメニューを入力して、スタートを押す。
アレ?動かない。
何度もメニューをやり直してみるが、全く揉み動作が始まらない。次第にイライラする志の輔師匠。
側に、JALとANAのカウンターは在るが、マッサージ機は、航空会社とは関係なさそうで、金入れたのに動かないとクレームを付けても。。。
そして意を決して志の輔師匠が、少し離れたお土産物売場の店員さんに、聞いてみよう?!と、マッサージチェアーを立って愕然とするのです。
三百円!!
そうなんです。大村空港のマッサージチェアーは三百円入れないと動かなかったのです。思い込みは怖いですね、羽田空港と同じ二百円だとばかり思っていた志の輔師匠。
結局、百円を持っていないので、マッサージ機に二百円取られて東京へ帰る事に、更に、フライト中に思ったそうです。
次にあのマッサージチェアーを使う人は百円で使えるぞ!!と。そんな悔しい思いを語り、人間の思い込みは怖いと言うマクラから、『千両みかん』本編へ。
久しぶりに聴いた師匠の『千両みかん』でしたが、かなり印象が変わっていました。番頭さんの濃いキャラクターが、更にパワーアップ。
主殺しで獄門!と、親旦那に言われて、必死にみかんを求める番頭さんが、だんだん可愛く見えてしまうのが、志の輔マジックだと思います。
3.地べたの二人シリーズ『銭湯の二人』/太福
工場で働く二人の路地裏の哀愁!初めて聞いた銭湯の二人でした。イボが。。。笑いました。
それにしても、曲師のみね子先生は、本当によくこのネタに合わせられるなぁ〜!!
4.徂徠豆腐
マクラでは、相模原の病院で、胃カメラと腸カメラを飲んで検査して貰っているって話をしました。
一日で、両方やってくれる病院だと言っておられましたね、忙しい志の輔師匠には、嬉しい病院。同時には入れませんよ?!って笑いにするのは、志の輔流です。
さて、本編の『徂徠豆腐』。こちらは、PARCOで根多卸しした時と、ギャグを含めて殆ど変わっていないのですが、安定感抜群の根多です。
志の輔師匠の荻生徂徠は、豆腐屋である上総屋七兵衛さんから、「学者先生は、四角四面のベキ論で頭が支配されている!」と、
握り飯は施しになるから、豆腐屋の商売物の豆腐しか恵んで貰えないと主張する自分を否定されて、生きた学問は本からだけでは学べないと悟ります。
この関係が、情けは人の為ならずを実践する展開になり、上総屋は貰い火で失った店を徂徠から立て直してもらう事になります。
元の講釈では、徂徠が四十七士の切腹を、徂徠が幕府に進言する事で、江戸っ子から嫌われる。
その四十七士を殺した徂徠との関係に悩む上総屋七兵衛を、講釈では描かれたりしますが、志の輔師匠の『徂徠豆腐』は、赤穂事件の7年前として描かれます。
それでも、終盤に学者先生が荻生徂徠だと紹介する部分では、所謂、忠臣蔵のあらすじも、かなりガッつり紹介されます。
終演後に、年末の豊島区が池袋に作った新ホールの杮落としと、来年新春の渋谷PARCOリニューアルの杮落としの宣伝で終わりました。