久しぶりに行きました今松師匠の独演会!!
春は、日程調整が合わずに行けませんでした。
今回は、『三軒長屋』『大阪屋花鳥』の長講二席!!
何をしても行こうと決めて、聴いて参りました。
ただ、時間を30分勘違いしていて、
前座の半輔さんは途中からになりました。

さて、今松師匠の独演会! こんな内容でした。
 

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1.元犬/半輔
はきはきして基本に忠実な半輔さん。
志ん輔師匠の弟子らしく、しっかりした芸を吸収しています。
『元犬』のちょうど真ん中辺りからになりました。
ただ、半輔さんを、日曜日の日本橋亭で3席聴くからネ。
また、『元犬』は聴けるかもしれないと思っています。
 

 

 

 

2.金明竹/小辰
辰じんくんが二つ目:小辰に改名して、初めて高座を観ました。
いやー活き活きしていました。前座のくすぶり感が抜けて弾けてました。
いつもより、道具七品の関西弁での早口が、工夫されていて良かったです。
まず、最初は超高速の道具七品、次に、少しゆっくりの道具七品。
女将さんが登場して、のりのり口調の道具七品、
そして最後は非常に丁寧な道具七品を披露しました。

小辰くん!勉強を始めたら聴きに行くからねぇー

 

 

 

3.三軒長屋/今松
「待ってました!」「たっぷり!」の掛け声に乗って登場の今松師匠。
喋り方、仕草、外見雰囲気、全てが馬生師匠にそっくりに成って来ましたね。
前回2年前より、ますます、師匠にそっくりで恐いくらいでした。

さて、『三軒長屋』です。この根多を私は、談志/談春/志らくでしか聴いておりません。
それに比べると、あっさり味の『三軒長屋』でした。筋がすーーっと入る感じで、
余計な力みが無くて、実に落語らしい雰囲気で、癒しの落語でありました。
特に、談春の『三軒長屋』とは対極です。志らくはこの感じでやりたいのだろうけど、
この今松師匠のようにはできません。やっぱり、鳶の若衆と女将さんには力が入りますからね。
疲れずに、肩の力を抜いて楽しめる『三軒長屋』でした。

 

 

 

4.漫才/ゆめじ・うたじ
寄席でもおなじみの、ゆめじ・うたじ師匠の漫才。
得意の“箸”の根多ですたが、寄席よりも長いバージョンでした。
食いつきとしては、客の受けがよくて、ベテランらしいステージでした。
 

 

 

 

5.大阪屋花鳥(嶋衛沖白浪)/今松
再び「たっぷり」の声を受けて、今松師匠が登場。
本日、もう一つの楽しみだった『大阪屋花鳥』の口演です。
時計で最初と最後を確認しましたが、1時間12分でした。
長いと思うでしょう? そんなことないのです、手に汗握る物語に、
時の経つのを忘れて聴き入ってしまいました。 今年聴いた700席の中でも、
3本の指に入るいいデキの一席でした。

あの柳家三三が、6日間、12回で口演した『嶋衛沖白波』を、
今松師匠は、たった1時間12分に纏めたのです。凄いでしょう。
そして、詰める事で筋が濃くなってました。喜怒哀楽が3倍か4倍に濃い感じですね。
また、先の『三軒長屋』でも申したように、優しい語りなので疲れません。
無駄な力が抜けてやり過ぎないのが素晴らしいのです。
上手く表現できないのですが、聴き手の頭でイメージが広がる語りなのです。
余計な修飾詞が付いてないので、客の頭中で想像が膨らむ!膨らむ!

人物描写のある種のやり方です。妙な先入観を与えないキャラクター造りです。
本来の落語という芸の真髄だと思います。師匠馬生から良い技を伝承されています。
三三くんの『嶋衛沖白浪』も好評価でしたが、これを聴いてしまうとまだまだと感じます。
他方、表現だけに目を奪われがちですが、今松師匠の構成能力にも関心させられます。
主人公のおとら=大阪屋花鳥目線でのストーリー展開に無駄がないのです。
そして、二つの山場、吉原への火付けと八丈からの島抜け、
この二つの山を、上手く盛り上げる噺の流れが素晴らしかったです。

ただ、一つだけあえて言うと、梅津長門を花鳥が恨むようになる理由は入れた方がいいと思います。
確か花鳥が牢名主に成って嶋へ流されるのを牢で待っていた時に、
長門の現女房が、盗みの罪で受牢となり、花鳥の前に現れる。
その女の口から長門との仲を聞かされた花鳥が嫉妬して、
この女を殺して長戸を強く恨むのですが、これには触れず島抜けすると、
再開した長門を花鳥が強請る場面が、初めて聴く人には伝わらないように感じました。

それでも、素晴らしい『大阪屋花鳥』でした。
是非、次は佐原の喜三郎目線での『嶋衛沖白浪』をお願いしたいです。