今回は、こんな三席をやりました。
1.つる/こはる
マクラで、今日が師匠の戸田での独演会と知らずに、
この日に根多卸しの会を入れてしまった!!と言って、
いつもより、かなり短目のマクラから1席目『つる』をやりました。
こはるの『つる』は実に久しぶり、2007年に聴いて以来。
凄く上達していたというより、退屈しない『つる』を久しぶりに聴いた。
勢いを付けて、リズミカルな『つる』だから飽きずに聴いてられます。
良かったぞ、こはる。
2.黄金の大黒/こはる
何度も書いてますが、この根多は、談志が真打に昇進した際に、
披露目に選んだ1席です。もう一席が『源平盛衰記』
つまり、寄席の披露目を、この2席だけでやった談志です。
その『黄金の大黒』をやるからには… もっと練習しようぜ。
まず、登場人物が少なすぎ。長屋から最低8人は出して欲しい。
借金の言い訳に4人、羽織の口上に4人は出て、
それなりに、8人の個性を演じてこそ、この噺の価値があると思います。
こはるの師匠の談春は、二つ目時代、何も考えず談志の前でやって、
楽屋で、「誰にでもできそうに思える噺なんだ、コレなぁ」
「でもね、人物一人一人の描写と、出す順番への工夫ねぇ、
真打と認められる技、技量がねぇーと、あんなモンだ」と言われたそうです。
以来、この根多を談春はやらなかった。つい最近まで。
談志が亡くなる前に、1回だけ、この逸話をマクラで喋ってからやって、
今年のアナザーワールド・談志追悼のシリーズでもやりましたネ。
まぁ、それに比べると、何も考えてないぞ!こはる。
考えてはいるだろうけど、その結果が見えませんでした。
3.井戸の茶碗/こはる
お楽しみ抽選会も巻きに巻いてやり、速攻で『井戸の茶碗』へ。
根多卸しなんで、スジを追っているだけで、間違いだらけの噛み捲り。
余裕が全く無くて、超ーーー早口。“間”も何もあったもんじゃありません。
先に、にぎわい座でやった『小言幸兵衛』の方が数段良かったです。
本人は、女が侍をやるのが… などと言っておりましたが、
侍の前に、屑屋が全くできておりません。屑屋が魚屋に思える威勢の良さです。
そもそも、屑屋に成っているけど、清兵衛さん。万止むお得ずの屑屋のはずです。
だから、人生の機微とか、屑屋の哀愁というのか、いくら正直でも、屑屋らしくないと、
この噺は、そもそもが始まりません。『芝浜』の勝公みたいな屑屋でした。
ここができないと、清兵衛さんというキャラができないと『井戸の茶碗』になりません。
こはるの挑戦を見守りたいです
。