13:30に日本橋亭に到着、会が始まるのが18:30なのにである。
自分のいつもの席欲しさとはいえ、6時間前は早すぎで、
2番目の人が来たのは、1時間後。この方はご両親の為に、
毎回一番前の中央の席を確保するのに、早く来られる親孝行者。
そこから2時間、誰も来ませんでしたネ。三番目は16時ですよ。
皆様のブログを読んだりして過ごしていたのですが、この日は、
U-20女子サッカー世界選手権の三位決定戦が中継されていたので、
日本が、ヘロヘロになりながらも2-1でナイジェリアに勝ちました。
それにしても、ナイジェリアの選手のお顔は凄かった!!
あと、猶本光選手! 今時の女子にしては古風ですよねぇー
宮本武蔵のお通さんのようで、この大会を通してファンになりました。
二年くらい前に比べると、大人の女性に成りました。
そんな6時間待ちで始まった白酒&甚語楼の会は、こんな演目でした。
・平林 … 柳家いっぽん
・花色木綿 … 桃月庵白酒
・浜野矩随 … 柳家甚語楼
お仲入り
・悋気の独楽 … 柳家甚語楼
・酢豆腐 … 桃月庵白酒
1.平林/柳家いっぽん
マクラで、9/9深夜にテレビに出る話をしました。
色んな業界の事情を紹介する番組なんだとかで、
前座代表で、いっぽんくんも出演。師匠の獅堂や三三も出たそうです。
そして、いっぽんくん、あのハデな蛍光色の着物を持って行って、
紋が“ドラゴンボール”の亀千人の「亀」になっているやつに着替えたら、
周囲から、なんでお前は、こんな真打より目立つ着物を前座の分際で…
と、全員から総すかんを喰らって、結局、着物の丈が同じだからと、
三三くんが持ってきた、地味な着物を着せられたそうです。
私は、本番を見なかったのですが、丈は同じでもいっぽんは強烈なデブで、
三三はガリガリ君。だから三三の着物を着たら前が合わせにできなくて、
非常に困ったといっぽんは言っておりました。
さて、そんなマクラから『平林』に入ったのですが、
日本橋亭に、最近行った人はお分かりかと思いますが、
あそこの高座、最近演者が動くと、ギシギシと板の軋む音が出ます。
そんなの知っているであろうはずなのに、いっぽんくん、
この音に、小学生のように喜んで、わざとか?!と突っ込みたくなるぐらい、
『平林』をやる間中、ギシギシいわせて笑いを取ろうとするのです。
また、そんないっぽんの芸に笑う客も居るもんだから、
調子にのって、ずーーっとギシギシ『平林』を披露するいっぽんでした。
2.花色木綿/桃月庵白酒
いっぽんの汚れ芸を、お前は小学生か?!と一括して話を始める白酒くん。
そして、この日はなぜか?三遊亭たん丈くんが手伝いに来ていたのです。
それもいじりましたね、白酒くん。リストラされたサラリーマンじゃありませんとか言って。
ああ見えて、地元秋田に帰るとCM俳優をやっている話もしました。
そのCMが、さて今のCMのどこにたん丈くんが出ていたでしょう?
みたいなCMらしいのです。この日の打ち上げは、間違いなくたん丈を囲んで、
彼の話を肴にして盛り上がったに違いないです。
そうそう、白酒師匠といえば、Wホワイトの会で足をくじいてましたが、
この日は、全くそれを気にするような仕草はありませんでした。
もう、完全復活していますね、心配ないと思います。
さて、『花色木綿』ですが、割と白酒くんにしては普通でした。
あんまりやらないからでしょうね。これも掛け続けると、
『だくだく』のように、白酒オリジナルギャグが入るかもしれません。
次の甚語楼さんの『浜野矩随』との時間配分なのか?
マクラも入れて、20分ちょうどくらいで下りました。
3.浜野矩随/柳家甚語楼
咄家の中に急に上手くなる人が居る、俗に“化ける”と言いうやつです。
落語家ってのは、徐々に上手くなってしらないうちに名人になる人はまず居なくて、
なぜか、ある時、あるキッカケで、ポン!と上手くなるようですね。
現役では、歌武蔵師匠がよくそう言われませんネ、二つ目までは並だったのが、
真打が決まって、その披露目に向かう最中、急にポン!と上手くなった。
役者もそうなんですかねぇー 淀五郎なんて噺は、そんな出世噺ですよね。
そんなマクラから『浜野矩随』へ。
この『浜野矩随』は、先の三遊亭圓楽師匠が十八番にしていました。
あの臭い臭い『浜野矩随』を、三回は聴いていますね。
凄いですよ、母親の死の場面で、圓楽師匠自身が号泣します。
それを見て俺は思わず笑ったら、周囲の圓楽ファンのオバ様に睨まれました。
さて、本来は、矩随の母は自殺して亡くなる噺だったのが、
いつの頃からか、矩随の母が九寸五分で喉を突いて倒れているのに、
発見が早くて死ななくなるのです。 ハイ!そうです、志の輔の仕業です。
志の輔が『浜野矩随』をやるようになって、母親が一命を取り留めるパターンが登場します。
皆さん、どう思いますか?矩随の母上は、死なない方がいいですか?
俺は、矩随の母上は死んだの方がいいです。その悲しみも含めて、
矩随は、過保護児童だったんです。自分が過保護児童だったから、
水杯を交わしているにもかかわらず、若狭屋甚兵衛のところに観音様を持って行くんです。
そのくらいの過保護児童は、母親が死ぬくらいのショックを与えないと、
開眼しないと思いませんか? 親の七光りと母親のあまやかしで、
なんとなく生きていたんですよ浜野矩随って野郎は。
それが、若狭屋甚兵衛に言われて事をきっかけに生まれ変わるのです。
母親が生きていたら、また甘やかして、過保護児童に逆戻りでしょう。
そういう親子を、私は山のように知っています。
だから私は、そんな過保護児童を抱える母親から、
「うちの子をどうやったら一人前にできるでしょうか?」と訊ねられたら、
「『浜野矩随』みたいに、俺が意見してやるから、貴方はお子さんと水杯を交わして死になさい!」
と、言いますが死んだ母親まいませんし、だから、過保護児童もまんまです。
甚語楼のも、母親は死にません。短剣で喉すら刺しません。
刺そうとためらっている所に、矩随が間に合って、ことなきをえるのです。
かなり良いデキの『浜野矩随』ですが、最後に母親が助かるのが気に入りません。
4.悋気の独楽/柳家甚語楼
マクラで、この会が50数回続いている話をしました。
そして、少し前に白酒・甚語楼・左龍の三人で人間ドックへ行った話へ。
同じようなぽっちゃり体系の三人なのですが、白酒と左龍は何ともなく、
甚語楼くんだけ、通風/逆流性食道炎/アレルギーを指摘されて、
後日、治療の為のプログラムが言い渡されたそうです。
本人は、どう考えても“あいつ”(白酒)の方が不健康だと思っていたのに…
この会は、いつ止めてもいいんだけど、なぜ続いているかと言うと、
例えばある日楽屋入りすると、いきなり白酒くんの口から、
「実はさぁー、俺、糖尿の疑いがあってさぁー」とか、
成人病の告白を聞くまで、止められません!と言う甚語楼くんでした。
『悋気の独楽』は、定吉ですよね、これが可愛く小生意気にできるか?
甚語楼くんのは、もう少し可愛さも、生意気さも欲しい定吉でした。
5.酢豆腐/桃月庵白酒
マクラでは、二つ目時代の暇していた頃、落語の『寄合酒』じゃないけど、
いい二つ目連中が、誰かのアパートに溜まって、そこで酒飲んでは、
くだらない話をしては、くすぶっていたと思い出を語りつつ『酢豆腐』へ入りました。
この入り方、なかなか上手かったと思います。笑いも取りながら本題に、
スムーズに入って行きました。
『酢豆腐』 腐った豆腐が出てくるのは『ちりとてちん』と同じですが、
噺のテクニック的には、『酢豆腐』の方が遥かに高度なものが要求されます。
こちら『酢豆腐』は、登場人物が多いですからねぇー 冒頭は『寄合酒』ですもの。
現役では、小柳枝師匠と菊之丞、そして左龍のも聴きましたが、
「かくやのこうこ」作りで、誰が糠みそに手を入れるか?の部分。
ここが実にいいのです、白酒くん!だから最後に若旦那が登場すると笑いになる。
多分、『幾代餅』がそうでしたが、ここでネタ卸しして、
『酢豆腐』も方々で聴けるようになるのだろうと思います。