今年最後のアナザーワールドでした。
今年は、この会を通して談志師匠への追悼、
その思いを込めた一席が毎回演じられて来ました。
今回も、どんなレクイエムが刻まれるのか?興味がありました。
 

 


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その前に、腹ごしらえですよ。成城学園前に行くと、
私はこの居酒屋「こじま」で、一杯やることが多いです。
まずまず、安くてボリューム満点、味も悪くないので好きです。
この日は、大生ビールとお通し(シロのモツ煮)、黒ホッピー2杯、
そして秋刀魚の塩焼と、アサリの酒蒸です。〆て三千円ちょっとです。
 


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さて、談春アナザーワールド18の演目はこんな感じでした。

 

 

 

 

1.不動坊/談春
マクラは、いきなり「ご来場賜りまして、誠に有難う御座います」
この挨拶を、何の疑問も持たずに言い続けて来たが、
落語会に初めて来た人の中には、「賜りまして、誠に有難う」って何?
そんなご意見があるそうで、談春自身は『そんなの放っておけばよい』
そう思っていたけど、自分がそんな“初めての客”に成ってみると、
落語会のしきたりが、分からない人にもちょっとだけ配慮してみようと思ったそうです。

さて、その“初めての客”体験というのが、AKBの東京ドーム公演の初日。
アナザーワールドも、AKBの東京ドーム公演も、サインライズプロが仕切っているので、
AKBの東京ドーム公演を是非観たいと、プロデューサーに強請って実現したそうです。
さだまさしのコンサートしかしらない談春には、かなりのカルチャーショックだったみたいで、
大好きな曲「ヘビーローテーション」が、東京ドームで聞けなかったそうで残念がってましたね。
帰りに混むのが嫌で、アンコールで帰ったそうなんですよね、
アンコールの後のラストソングだったらしいです。

そんなAKBネタで笑ったのがAKB48東京ドーム“1,830m”というコンサートのタイトル、
この“1,830m”が、秋葉原(AKB劇場)から水道橋(東京ドーム)までの距離で、
AKB48結成の時の第一目標が、この東京ドームでの単独ライブだったそうです。
ちなみに、秋葉原でのAKB劇場:初ライブの有料入場者数が7名だったとか。
歴史はそんな第一歩から始まるもんなんでしょうねぇー
その7人は、ただで東京ドームにご招待しろよと思ったね。

その“1,830m”と聞いて、博打打談春は、1,800mのレースで
これが2,000mだったなぁー差したのに!!と何回悔やんだことかと言ってました。
談春は、差し/追い込み党なんですね、俺は逆だなぁー逃げ/先行派です。
だから、1,600mだったらなぁーですね。

このAKBの話から次に、阿波踊りの話をしました。
初めて、徳島の阿波踊りを観たそうです、談春。
談志の精霊流しを断って、この徳島に行くと言っておりましたから、
初めて、たっぷり阿波踊りを観察した結果、談春の結論が面白かったです。
女性は、夜目 遠目 笠の内が美しいとされるが、これを実感したと言うのです。
阿波踊りの“女踊り”は、全員美人に見えると談春が申しておりました。
そんな20分くらいのマクラを振って、『不動坊』へと入りました。

焼き餅は遠火に焼けよ焼く人の胸も焦がさず味わいもよし

悋気/焼餅が筋に関係する落語の本編へ入る常套句ですね。
で、そんなのみんな知っているのだから、サッと本筋を進めればいいのに、
この「焼き餅は遠火に焼けよ焼く人の胸も焦がさず味わいもよし」を、
少し解説し出すのです。要りますか?それ。AKB48の影響か?
噺が長くなるだけだぞ、と感じていたら案の定!長いのです。
ここから、ダラダラと『不動坊』を50分やりました。

まず、大家さんが縁談話を利吉に持って来たところから長い!!
全部やるんです、いろんな人がやったクスグリを丁寧に。
「この長屋で、一人もんの女は、海苔やの婆さんだ」から、
「お滝さんは、俺の女房なんです、不動坊に貸してただけ」まで。
湯屋に行く前から長くて、当然、湯屋の妄想一人芝居も長い。
ここで、一箇所間違うですよ、段取りを。
最初は、熱い!熱い! おい熱いとよ、水でうめろ!!
水臭い!水臭い! おいうめ過ぎ、水臭いとよ。
なのに、先に水臭い!と言ってしまったから、誤魔化すので、
ここが輪をかけて長くなりました。

また、談春らくごは長いんだから、長屋のヤモメ三人集。
この三人の悪口を、湯屋と三人の談合の場で二回やるのを止めるべきです。
あれを二回聞くので、更に長く感じました、俺は。
そして、とどめが屋根の幽霊の場面、ここも長い。
もう、この辺りになると聴き疲れた私が居ました。

笑っている客が大半で、談春ファンばかりですけど、
もう少し、昇太師匠を参考にしては?と思います。
ちなみに、昇太の『不動坊』は25分、談春の半分で終わります。
 

 

 

 

2.小猿七之助/談春
文化文政の時代、歌川広重という絵師が、三千両と言う絵を描いた。
これは、三千両の値が付いた絵というわけじゃなくて、題でして、
三枚絵になっておりまして、1枚が團十郎 暫を描いて芝居町、
もう一枚が花魁の道中を描いた吉原、
最後が鰹を描き上げまして魚河岸でございます。
これをなぜ三千両と言うかといいますと、この三場所、
これらは、いずれも日に千両を稼いだという江戸の盛り場でございます。

これに一場所、夏場になると両国の夕涼み、あの界隈の賑わいを加えまして、
こいつも大変なもんで、夏の涼みは両国の、出船、入船、屋形船、
上がる流星、星くだり、玉やがとりもつ縁 かいな

談志そっくりの入りで、『小猿七之助』が、今年のアナザーワールドの〆でした。
談志がやったように、ハメものが入る一席で、こちらは25分でまずまず満足でしたね。

ただ、この台詞ですよ。芝居の『小猿七之助』の名台詞ですよ。

いくら泣いてもわめいても  町と違って洲崎の土手、湿りがちなる潮風に
途切れた雲の星明り 微かに聞こえる弁天の 茶屋の端唄や本木場の
木遣の声を寝耳にし 厭でもあろうが滝川さん 飛蝗や蝗と割り床に
丁と半との向こう芸 一番受けてぇ、おくんなぁせー
 
講談の伯龍先生みたいにとは言わないけど、談志師匠くらいはやれて欲しいですね。
本編は、談春らいい懐の深い『小猿七之助』で好きなんだ
けどなぁー