1.牛丼晴舞台/白鳥
10/1に内幸町ホールで開催されるWoman's落語会で、
小朝師匠の弟子のぴっかりチャンに提供する噺の根多卸しでした。
ただし、全く新規に起こしたのではなく、
以前作った『牛丼晴舞台』という噺のリニューアルでした。
あらすじは、
アイドルユニット、RKB48のセンターを務める権俵優子は、
チームの総合プロデューサー・秋本氏から、
浅草の牛丼屋“牛野屋”で働くようにと命令される。
総選挙で1位に成った私がという不満はあるものの、
秋本Pの命令には“ノー”とは言えず、仕方なく牛丼屋さんへ。
そこで優子は、女将から牛丼道ともいうべき厳しい掟の洗礼を受けるのだった。
やがて、牛野屋での修行から、アイドルチームにおけるセンターの役割を教えられる。
牛丼は、牛肉の味だけでは完全なものにはならず、
甘辛い出汁、玉ねぎ、紅生姜、そしてサイドメニューのお新香やサラダによって、
それぞれの良さが融合されて、初めて美味しい牛丼が生まれるのだった。
まぁ、手探りな根多卸しでした。最初に仕込まれたくすぐり、ギャグがダダ滑り。
しかも、稽古不足でカミカミの白鳥さん。どんどん客が引く中、ようやくギャグがヒットします。
それは、主人公の優子が、客にお新香を注文されて、隠し味に唐辛子を入れる。
それを見ていた女将が、「こんな主張する隠し味は、隠し味じゃない」と怒るのです。
そして女将は、「隠し味の極意は、山村紅葉にあり!」と言い切るのです。
山村美紗の実の娘として、山村美紗原作、及び、山村美紗の親友・西村京太郎が原作の、
二時間ドラマには必ずと言っていいぐらいに脇役で出演する山村紅葉。
彼女は、あんなに存在感があり、小太りで暑苦しい顔で、化粧もハデなのに、
二時間ドラマの中では、どこに出ていたのやら?と思うくらい、薄い存在感で主張しない。
これこそが、隠し味の極意なのよ!と、牛野屋の女将が優子に教える場面があります。
私も、ここだけ笑いました。白鳥くんらしいギャグだと思います。
あと、女将が優子の切った玉ねぎにダメ出しする場面で、
座布団を“ちゃぶ台返し”風に飛ばしましたが、
高座に座布団が無くなり、膝の痛みに耐えかねて、
自分で座布団を拾いに行く白鳥くんも笑えました。
2.火焔太鼓/白酒
いきなり、前座さん(わん丈くんだと思いますが)があろうことか、座布団の縫い目を前で高座返し。
座った瞬間に、白酒くんが気付いて、これを直しました。それが原因なのか?
次の高座返しから、林家扇ちゃんに高座返しが変わってしまいました。
そうは言っても、白酒くんによりますと、圓丈一門で数少ない普通会話ができる弟子:わん丈くん。
「おはよう!」と言うと、ちゃんと「おはよう御座います」と言うのに関心していました。
圓丈師匠の弟子は、「おはよう!」と言うと、「何がですか?」と疑問形が返ってくるそうです。
そんなわん丈くんが、気を利かせて「師匠、鎮痛剤をどうぞ」と薦めると、
白鳥くんは、真っ赤に成って「バカ!医者が処方していない薬なんて恐くて飲めるか!!」
と、一括したそうです。妙なところだけ真面目で恐いと白酒くんは言っていました。
確かに、池袋の清流みたいな店で、平気で飲み食いできる人が、鎮静剤を断るとは…
白酒くんも言ってましたね、圓丈一門なんだから、その鎮静剤をありがとう!と言って飲んでから、
先のセリフを言えばらしいのにと。
ここから、先のトークショーでの「権太楼、さん喬の悪口炸裂!」の件は、
あまり口外しないで欲しいと言ってましたが、書くよねぇー世間は。
そして、ここから縁日のテキヤの話へとなり、見世物小屋の話へ。
小三治師匠だと、このマクラは、『一眼国』なんですけどねぇー
狼女の話を面白おかしく展開し、5年も6年も同じネタでは狼女も食えないと思ったのか、
ある日“地球人と宇宙人の合いの子”という不思議な見世物になって出て来たそうです。
そんな話から、見世物小屋に負けないくらい怪しいのが道具屋と言いつつ『火焔太鼓』へ。
年に、必ず1回聴いています、白酒くんの『火焔太鼓』
彼にしてはオーソドックスな爆笑型の『火焔太鼓』です。
次回、白酒くんは、土曜日の白酒&甚語楼の会になりますが、
この二席は、かぶりそうで恐いです。
3.水屋の富/白酒
いきなり出囃子が“木賊刈り”でした。談志のネタか?と思ったら志ん朝のネタでしたね。
白酒くんでは初めて聴きました。マクラで志ん朝師匠の話をしました。
小里ん師匠と『大工調べ』について、年齢が逝ってからなかなかやれないネタだけど、
小満ん師匠が、工夫して『大工調べ』を掛けているって話をしたそうです。
そして、『大工調べ』といえば志ん朝師匠で、晩年60歳を過ぎた師匠が、
若手に囲まれての打ち上げの席などで、「俺の○○どう思う?」とか、
「このまま俺が老けて、志ん生みたいな喋りになったら、どうすりゃいいと思う?」
とか、本気なのか?冗談なのか?分からない質問を一門の若衆に投げかけていたそうです。
でも、流石に、それには「そうですねぇー難しい質問ですねぇー」みたいな、
当たり障りの無い生返事しか出来なかったと白酒くんは言いました。
また、言わなければいいのに、「これが権太楼師匠なら、ズバッ!と言えますけどね」と云って、
『水屋の富』を始めました。まずまず、彼らしくて面白い『水屋の富』でした。
ちょうど水不足の時期に、タイムリーな根多だと思いました。
4.船徳/白鳥
夏にしかできない根多で、早くやっておかないとと言いながら始めたのは『船徳』
これを『船徳』と呼ぶのに私はいささか抵抗がある。白鳥版『船徳』です。
以前、文化放送での馬石くんとの会でも、馬石が『お初徳兵衛』をやった後に、
この白鳥版『船徳』をやったけど、馬石の兄弟子・白酒くんとの会でもやりました。
そして、大熱演で、膝の痛みも忘れて座布団ローリングしました。
膝は、もう大丈夫な感じですね。次は、10/01 Woman's落語会での高座が楽しみです。