朝太と菊六の同門二人会はよく開催されていますが、
一之輔と菊六というのは、私は初めてでした。
今回は、三鷹で一人でお昼となったので、駅からホールまでの道を、
ブラブラ散策しながら歩いて、一軒のラーメン屋さんを見付けた!!
らーめん・大
体育会系の大学生に超人気です。
野菜・にんにく・背油・タレの四つを、
好みで“増し”にできるのが特徴です。
そして、この店は、野菜が四段階に“増し”できました。
「普通」「多め」「増し」「増し増し」の四段階で、
私が頼んだのは、「多め」です。
もやしが1/2袋と玉ねぎが1/4個くらい盛られました。
隣の若いお兄ちゃんは、にんにく以外、全部「増し増し」でした。
野菜を「増し増し」にすると、皿が別に1枚付いてきて、
ここに一旦、カキ氷みたいに盛られた野菜を移しておいて、
スープに滲んだ野菜から食べるのが、二郎系です。
なんせ食べるのに時間が掛かるので、太く伸びない麺です。
1杯食べると、暫く動くのも嫌になるくらいの満腹です。
皆さんも、三鷹にお越しの際は、「らーめん・大」で、
満腹を味わって下さい。
さて、落語会の演目は、こんな感じでした。
※薮さんに叱られる字だ!!
1.たらちね/春風亭一力
『小粒』と『子ほめ』じゃないのを頼む!と念じたら、『たらちね』でした。
眠くなりますね、『たらちね』 一力くんは悪くないけど退屈しました。
勿論、大のラーメンでお腹が張っているのも、眠い要因です。
2.初天神/春風亭一之輔
三鷹のこのホールは、ちょうどいい大きさだと言いながら、
駅から1.2kmの微妙な距離で、ステージが横に無駄に広い!!
と、毒も吐く一之輔でした。
そして、何度も聞いた家族五人で朝食の味噌汁を食べるマクラへ。
途中で、最近よく喋る東武・野田線の自虐ネタをやりました。
この時点で60%くらい『初天神』かな?と思う展開です。
いきなり『子別れ』はやらないだろうから…
冒頭の家族三人のやり取りはカットで、いきなり金坊と八五郎で初天神に向かう場面から。
“よいよい、よいとせ”と親子で遊びながらの場面は、ないのですが、
金坊が、完全に親:八五郎をナメているのです。もしかすると、妾馬のお殿様のように、
金坊が、「八五郎、そちは笹は食べるか?」と、言い出すんじゃないかと思う程。
そして、飴屋、団子屋と、やりとりがどんどん加速して、テンポを大切にサゲまで向かいます。
遊雀くんの『初天神』だと、金坊が泣く場面で、タメができますよね、あいうのは無いのです。
そうそう、今回、八五郎が金坊の団子、蜜を舐めるだけでなく、1個食べちゃいました。
日々、進化する一之輔落語です。前回、恵比寿で聴いた時より、更に強くなった金坊でした。
3.稽古屋/古今亭菊六
初めて、この星のホールに呼ばれたそうです。
菊六くんもちょうどいい大きさだと言っておりました。
そして、自身が現在、東横線沿線、自由が丘に住んでいることを自慢、
本当は、上野・浅草に近い古民家の一軒家に住みたいという菊六さん。
粋な年増と暮らしてみたいなどと言って、『稽古屋』へ。
確か、この『稽古屋』でNHKコンクールを優勝していますよね。
勿論、その時のバージョンよりも長いタップリやりましたけどね。
この噺の最初に、八五郎が岩田の隠居に紹介されて、
五目稽古場の年増の師匠の所に行きます。
隠居から、月謝1円と膝突き1円の計2円借金して出かけます。
隠居に「あの師匠は、膝突きなんざ取らないから」と言われますが、
師匠の気まぐれで、この1円も取られてしまう。
そして、最初に習うのが、清元の「喜撰」です。
世辞で丸〔まろ〕めて浮気でこねて
小町桜の眺めに飽かぬ
彼奴〔きゃつ〕にうっかり眉毛を読まれ
ほうしほうしはきつつきの
素見ぞめきで帰らりょか
わしは瓢箪浮く身じゃけれど
主は鯰〔なまず〕のとり所
ぬらりくらりと今日もまた
浮かれ浮かれて来たりける
この唄は、落語には他にも関係する唄でして、
『二階ぞめき』のマクラで、談志師匠がよくこの唄の、
“素見ぞめき”を引き合いに出して、廓でひやかす事を、
昔は、“素見ぞめき”と言ったんだと引用しておりました。
弟子も、この“素見ぞめき”をマクラで言うけど、
元が、清元の「喜撰」でと言って唄ってみせることはありません。
ちょっと残念な、気がします。
この後、八五郎の調子ハズレの「喜撰」に、
仕舞いには、師匠が釣られて調子が狂います。
そこで、師匠に「あんたはもういい、脇で見てなさい!」
と、言われて見学にまわる八五郎ですが…
この後の娘道成寺で、幼い弟子の娘が踊の稽古を付けてもらうのですが、
八五郎が脇からちゃちゃを入れて、稽古はさんざんな展開になります。
ここまでは、上方落語も江戸落語も同じ展開ですが、江戸はサゲが違いますね。
最後に、八五郎が師匠から小唄の宿題をもらう。
海山越えて~「煙が立つ」のところを調子が上がると教えられ、
帰ったら高い所で稽古しなさいと、言われたもんだから火の見櫓で、
「煙が立つ」を絶叫するもんだから、近所が火事だ!と騒ぎ出して、
「火事はどこだ!?」
と、火の見櫓の八五郎に訊ねるが、海山越えて~と平然答えるというオチ。
上方では、文枝師匠がハメモノを入れて、この噺をよくやりました。
江戸では、私は志ん朝師匠でしたね。東は粋(いき)で、西は粋(すい)な噺です。
私の記憶が正しければ、志ん朝が真打成り立ての若い頃、
東横落語会に呼ばれて、この『稽古屋』を掛けた時、
「喜撰」を唄う志ん朝の調子が、清元ではなく新内調だったそうです。
これを舞台袖で聴いていたのが、六代目・圓生で、
「おい、お前さん、喜撰ってぇーもんはですね、
これは清元であって、お前さんのは新内だよ
それではいけません。」と言って、志ん朝の喜撰を直したって逸話があります。
それ以来、志ん朝師匠は東横落語会に出ると、
袖で圓生師匠に観られている事を意識して毎回演じたそうです。
気迫=良い芸とは言いませんが、
東横の録音を聴くと、そんな志ん朝の緊張感が伝わるモノが少なくありません。
菊六くんも、古今亭であり圓菊師匠から、艶やかな部分を上手に受け継いでます。
4.壷算/古今亭菊六
こいう滑稽噺を、菊六くんは真打に向けて増やして欲しいです。
音曲噺や廓噺は、菊六くんの代名詞ですが、滑稽噺や地噺などもやって、
幅を広げて欲しいと思います。『野ざらし』とか『らくだ』とか聴いてみたいです。
5.青菜/春風亭一之輔
今年、三回目の一之輔くんの『青菜』でした。
もう言うことありません。楽しいのですが… 腹一杯です。