イメージ 1
一昨日、仕事の関係で三三くんの会に来れなかったにぎわい座。
昨日は、1階席が70%くらいの入りで、2階席は客を入れてませんでした。
少し残念ですね。落語ブームも確実に斜陽なのか?
そんな事を感じた、雲助独演会は、こんな演目でした!!

 

 

 

 

 

1.のめる/古今亭半輔
志ん輔師匠のお弟子さんで、半輔さんが開口一番でした。
しっかりした喋りで、師匠の仕込み方が想像できる良いお弟子さんです。
三年目の前座の中では、群を抜いて上手いと思います。
私の周囲の仲間からの評判も良いし、寄席で一度見て欲しい前座さんです。
師匠の志ん輔師匠も、しっかりとした古今亭の芸を伝承されているし、
半輔さんも、ウナギの頭から、胴や肝へと成長して欲しいです。
半輔の次は、“白焼”で二つ目、最後は“蒲焼”で真打なのか?
汚いうなぎ屋の二階で、『鰻の幇間』をやって欲しいです。
あと、『らくだ』も、是非、十八番にして欲しい。

この秋に二つ目になる、朝呂久くんも『のめる』をやりますが、
それと比べても、遜色ないデキでした。期待しています判輔さん。

 

 

 

2.汲みたて/五街道雲助
この噺を生で聴いたのは、雲助師匠と志らくの二人です。
圓生師匠は、端唄を綺麗にやっている録音を残していますね。
この日、雲助師匠は、“粋な木遣りくずし”がタップリ聴けました。

あらすじは、こんな感じです。

稽古事の師匠は年増の女性に限ります。
暑いさなか当然男連中のお弟子さんが付きます。
町内には一人ぐらい、ばかに艶っぽい女師匠がいるもので、
つられてさかりの付いた男連中は”藪っ蚊”のように集まってきます。
好きです、この“藪っ蚊”のように集まりますって表現。

唄の稽古は難しく進まないので、三味線に切り替えた。
唄の稽古は見台が間にあるが、三味線稽古はそれが無く、
師匠が指を触って教えてくれるから。同じ月謝なら三味線だ!!
てんですねぇー、まぁ、という程度の習い事です。

こないだはバチで殴られた。
「ヒドい事する師匠だね」、師匠は洗い髪で粋な着物で立て膝ついて、
風が吹くと裾がヒラヒラ動いた。中の腰巻が見えるじゃないか!?
一生懸命下からフウフウ吹いたがダメだったので、
力任せに吹いたらバチが頭に飛んできた。
「まいった!」と言ったが、「まじめにやれ!」と怒られた。
観音様を拝む前に、バチが当たったっていうのが洒落ています。
 

ここの女師匠はもう艶(イロ)の対象としてはダメだと御注進。
それは建具屋の半公がイロだという。
師匠の家に行ったら、二人が差し向かいになっていたと、仲間が吐き捨てた。
 

師匠の所に手伝いに上がっていた与太郎に、
夜尋ねてくる男はいるか聞くと、
「いるよ。・・・あたい」と与太さん。半公が来るだろう。
こないだ髪をつかんで喧嘩していたので「およしよ」と、
止めたが横腹を蹴られて目を回してしまった。

夕方半さんは師匠に謝っていたが
「気が短いのを分かっていて、したので私が悪い。
嫌な人に親切にされるより、好きな人にぶたれた方が私はイイ」。
聞いている若者達が歯ぎしりする事、悔しがる事。

夜になったら半さんが「寝ろ」と言ったが眠くないと答えると、
師匠が「半さんがかんしゃくを起こす前に、
イイ子だから寝ておくれ」と言うので布団に入った。
眠くはなかったので、大きな目を開けていた。
「そうだ、いいぞ」。でも、本当に寝てしまった。

夜中、目を覚ますとまた喧嘩してたよ。
「布団の中で、取っ組み合っていた」。
聞いている若者達が歯ぎしりする事、悔しがる事。
この与太郎登場の場面は、落語らしく落とし噺で笑いが豊富です。
 

これから、柳橋から船で3人涼みに行くんだ。
有象無象に知れるとウルサイから、
与太さん内証だよと言われているんだ。
稽古に通っている有象無象の怒る事!
 

有象無象は、船に乗って楽しんでいるところを、ジャマしてやろうと言う事になる。
師匠の三味線で半さんが唄い出すと、(雲助師匠は“木遣りくずし”でした)

「スケテンテンテン、スケテンテンとまず太鼓、
ピーピィピーと、笛が続いて、カンカンカンと鐘が鳴ります」

凄まじい鳴り物がなって騒々しくて船を移動させた。
また唄い出すと同じように鳴り物がなって騒々しい。
与太郎が隣の船をのぞき込むと、有象無象がいた。

半公と有象無象が喧嘩になって、口汚くののしって、
「クソでも食らえ!」、「クソを食らうから持って来い!」。

喧嘩をしている2艘の船の間に、おわい屋の肥船がスッ~と入ってきて
「汲みたて、一杯上がるかえ」がサゲになります。
粋な展開なのに、最後は、汚いオチが付く一席ですが、
実に、落語エッセンスが詰まった一席で、咄家の技量が問われます。
雲助師匠にしかできない一席のひとつだと思います。

 

 

 

3.鰻の幇間/五街道雲助
夏の定番ネタで、仲〆となりました。二席続けての熱演でした。
ゲストの馬石くんも言ってましたが、雲助師匠が連続二席、
高座を下りずに続けるなって、初めてでした。

幇間の一八に強くスポットを当てて、臭くしつこくならないように演じる雲助師匠。
末広でえび助くんと聴いた、笑遊師匠の『鰻の幇間』と対極的な演技ですね。
古今亭らしい雲助師匠の芸も、粋で私は大好きです。
こいう芸を見せるから、雲助師匠や小満ん師匠には、コアなファンが付いております。

 

 

 

4.金明竹/隅田川馬石
“喰い付き”にゲストで登場は、雲助師匠の弟子・隅田川馬石くんでした。
兵庫県出身なので、加賀屋佐吉方からの使者の口上は、
実に流暢に加速する関西弁でした。最初ゆっくりで、どんどん速くなるのが素晴らしい。
留守番の奥さんが、この部分だけ聞き取ったな?ってのを分かり易く演じる馬石くん。
なんとも、彼の性格がよく現れた、客に優しい演出でした。

また、一席終わった後で、かっぽれを踊りました。
流石、習い事マニアと噂される馬石くん。腰が安定した、
月謝の甲斐のある踊りを見せてくれました。
 

 

 

 

5.もう半分/五街道雲助
五街道雲助この雲助師匠の素晴らしい『もう半分』を舞台袖で聴いた、
三遊亭白鳥師は、インスパイヤされ『メルヘンもう半分』を作ったらしい。
両者は、全くの別物に感じますが、白鳥さんは「雲助直伝」と言います。
どこが?と思うのは、私だけでしょうか???

さて、雲助師匠の『もう半分』 五十両を取られた爺さんが自殺するのではなく、
酒屋の立呑み屋の主人に、出刃包丁で無残に刺し殺されて、大川に捨てられます。
この殺人の場面を、雲助師匠お特異の芝居仕立で演じるのです。
“怪談の雲助”の面目躍如です。素晴らしいこの芸を、馬石か龍玉に継いで欲しい。
夢に、爺顔の赤ん坊が出て、「もう半分、下さいなぁ」と言い出しそうな熱演でした。

いやぁー この日の三席は、大満足でした。
ここまでで、ちょうど500席に到達したのですが、
この「五街道雲助独演会」は、BEST3に入るクウォリティーでした