こはるが二つ目に成って、やっている横浜にぎわい座以外の、
もう一つの会がここ高円寺の“ギャラリー工”でした。
40人で一杯の狭い会場で、若い人から高齢者まで、
バラエティー豊かな客層で、こはるを支えるファン層の幅を感じます。
しかし、場所が分かりにくい!! 秘密基地か?!

それに、円朝祭と重なっていて、マニアはそっちに行くのか?
なんて思っていたが、杞憂でした、42名で超満員。
良かった、補欠で俺も“こはる”が見られて!!

 

 

 

1.寄合酒/こはる
まくらでは、二つ目から真打昇進になるのに、百席の持ち根多というのが、
立川流の場合、最低ノルマなので、それに向けて勉強会を続ける所存と言うこはる。
偶数月は、ここ高円寺ギャラリー工、奇数月は、横浜にぎわい座で各1席の根多卸し。
年間12席、既に56席は持っているので、4年でノルマは達成できるようです。
そして、それなりのクオリティーになれば、40前に真打になれるのか?こはる。
俺は、とりあえず、応援するぞ!! 生意気には成っていないみたいだし。


さて、今回マクラでは、四畳半一間の家に、知り合いから薄型テレビが送られて来た話から始まりました。
何でも知り合いが、使わない液晶テレビがあるので、欲しければやると言うので、考えておきます!
と、答えたら、ある日送りつけられて、クロネコやまとのお兄さんが3人で運んで来たそうです。
四畳半にどうにか置いて、宅急便屋が帰ったので、とりあえず、PC繋いで落語のDVDを観てみたら…

あまりに画面がデカくて、3mしか離れない環境では、とても鑑賞できないというので、
それを同じ四畳半1間住まいの、貧乏でテレビのない前座に送り付けたんだそうです。
送った後から電話して、「テレビをあげる」って事でね。この不幸なテレビが、
最近は、噺家の前座の間で、行ったり来たりして、芸人を苦しめているらしいです。

ここで、こはるも、オリンピックのバドミントンの無気力試合に触れて、
昇太が、最近方々で、この試合に触れて無気力で失格ならば、
寄席芸人の半分は失格だ!と言っていることにも、触れました。
その上で、自分も池袋の余一会に出た経験があるが、あの楽屋は、
本当に無気力の塊、無気力オーラ全開なので、この空気に染まるとヤバい!!
そう思ったので、楽屋には居ないように心がけて、出番の通路で根多をたぐって居たそうです。
流石、師匠と同じことを言っていると関心しました。

そんな話の後、最近の二つ目ライフについて、こはるが語りました。
なんでも、兄弟子の勉強会巡りをしながら、そこから会の運営や、
根多選びなどを勉強しよう!と、まず、吉幸&錦魚二人会に行ったそうです。
まぁ、なぜこんなマイナーな会に?と思ったんですが、客は少ないけど面白いとこはるの弁。
本当かよ!いくらか貰って宣伝か?とも思ったけど、シビアに寸評するのです、こはるが。

次に、ライブハウス・レフカダで開催された「古典みたいな新作を作る会」へ行ったそうです。
志ら乃、吉笑、談吉の三人でやったらしいが、会のデキの前に、三人ともに化繊の着物を着ていて、
まぁ、二つ目なんでポリでも仕方ないとは思うが、着物が皺だらけで、あまりに汚いと言うのです。
談春一門で、こんな皺だらけを着ていたら、師匠に半殺しだというくらいに汚い着物に、
流石に、ダメを出して、帰って来たこはるだったそうです。

とめどない話は、ここから靴を居酒屋に忘れて帰って、着物姿で池袋の余一会に行った話へ。
何でも、小三治師匠が決めた、短パンサンダル禁止令があるので、雪駄でジーパンは失礼だから、
着物姿で雪駄履きで池袋演芸場へ行ったら、同じ着流しの平治師匠に驚きの目を向けられたそうです。

ここから、着物が増えて、化繊ばかりじゃなく正絹の着物もあるので、箪笥を買おう!としたけど、
箪笥は高いので、いろいろと物色していたら、骨董屋風の和洋扱うアンティークショップに、
欲しかった三段の箪笥が1竿置かれていて、しかも、それがなんと!六千円。
すぐに、それを購入して、後日家に届いたら、薄型テレビ同様に四畳半の部屋の1/3を箪笥に占領されたそうです。
そんな超~長いマクラから、『寄合酒』へ。登場人物への工夫がまだまだですが、
全体の噺のテンポや流れは、まずまずですね、人物描写のディテールができるようになったらと思います。
 

 

 

 

2.締め込み/こはる
マクラで、過去覚えた根多の浚い方について語り出したこはる。
何でも、先月は頭に“て”の付く根多を浚ったそうです。
『天災』『手紙無筆』『転宅』とかやっていたそうです。
その流れで、にぎわい座では、何の付く噺を次回根多卸ししますか?
と、会場に訊ねて、客の“こ”というリクエストで、

「“こ”の付く根多?何がいいですか?」

この問いに私が『小言幸兵衛』と言ったら、それをやりましょうに成っています。
この日も、こはる忘れておらず、難しいけど『子別れ』とか言われるよりマシなので、
次回は、『小言幸兵衛』を頑張るそうです。ちなみに、今月は“ふ”の付く噺だそうです。
あんまりないですね、“ふ” 『船徳』『不孝者』『双蝶々』『不動坊』『ふぐ鍋』
『舟弁慶』『風呂敷』『ふたなり』このくらいしか思い出せません。

こんな噺から『締め込み』へ
女房の方が、徐々に怒って早口になる場面と、
止めに入る泥棒はまずまずなのですが、
勘違いして怒る旦那さんの演技がダメなのと、
泥棒との酒盛の場面が、まったくダメですね。
客前でやるレベルじゃないと思います。
頑張ってください!期待していますよ、こはるチャン。
 

 

 

 

3.抽選会
40人の客に、団扇が4つと、扇子が1つ、一之輔のCD(茶の湯・粗忽の釘)が当たる抽選会。
団扇の1つはこはるのサイン、扇子もサインだけですが、団扇3つはこはるの似顔絵入り、
しかも、洒落た一言付き「私はコナンじゃありません」とか「YMOが節電だって」、
そして「そこの君、浴衣が左前」と書かれていました。

 

 

 

4.武助馬/こはる
マクラで、学生時代の思い出と古谷三敏作の漫画「寄席芸人伝」に感動した話をしました。
そして、学生時代、こはるは新作作っていて、「寄席芸人伝」に触発されて、
鳥芸人の話を作ったそうです。これがよくできていて、三遊亭白鳥に教えたら喜びそうな作品でした。
これが凄く面白かったのに、根多卸しは、『武助馬』でした。
俺は、三遊亭圓窓、窓輝親子以外で、生の『武助馬』を聴いたことがなかったのですが、
窓輝くんよりは、明るくてこはるの方が良かった。それでも、なぜ?と思ったら、
亡くなった談大が、この噺が好きで持ち根多だったそうで、こはるは談大と仲が良くて、
それで、出囃子も、談大を受け継いで“不思議なポケット”にしたそうです。

次回、ここの会は、10月8日の祝日、14時からです。