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イイノホールの改装中は、浜離宮朝日ホールでやっていた“にっかん飛切落語会”
ようやく、ホールの回収が終わったので、ココ、イイノホールでの開催になりました。
次回は、志の輔が出るみたいですね、10月8日祝日です。せいこさん!要チェックですね。
発売は8月25日(土)、チケットびあで10時です。
 

 


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さて、久しぶりのにっかん飛切落語会! こんな出演者&演目でした。

1.転失気/春風亭昇也
昇太の弟子ですが、この子は上手いです、筋がいいと思います。
師匠と違って古典口調ですから、小柳枝師匠や鯉昇師匠に稽古してもらってるのでしょう。
芸協も、楽しみな若手が出てこないと、落語協会に置いて行かれます。

 

 

 

2.火焔太鼓/花緑
花緑をえらい久しぶりに聞いたが、相変わらずマクラは面白いのに…
感性が我々と、お坊ちゃまは少し違うと本当に感じる。
三遊亭白鳥ですら、もう少し面白い『火焔太鼓』をやる。
純粋に、人のいい甚兵衛さんが、演じ切れないのがダメなのだ。
意欲や野心など、微塵もないのが甚兵衛であり、
別に、与太郎みたいに知恵遅れな訳ではない。

そして、甚兵衛さんのお上さんが、またまた、少し違うと思う。
何でこんな宿六と一緒に成ったんだろうか?と、思いながらも、
心のそこでは、甚兵衛を愛している。でないと夫婦は続かない。
そんな嫁の心が分からない野郎なので、こぶ平のお下がり=きく姫に惚れ、
婚約までしておきながら、西武のカルチャースクールの年増の先生と、
電撃結婚したりするのだと思います。ファンとは結婚せんぞ普通。
 

 


3.仲入りでの抽選会
この会は、仲入りでプレゼント抽選会があります。
入場した際の半券を抽選箱に入れて、出演した若手が抽選者となり、
出演した師匠たちのオリジナルグッズや、DVD・CD、そしてサインが当たる、
ファンには嬉しいプレゼントを、仲入りの時間を利用して行われます。

この日は、3人の真打が出たので、花緑・三三・昇太、それぞれのサイン色紙と、
もう1枚は、三人の寄書きになったサインの4つが当たる抽選会でした。
その抽選で、花緑のサインが当たった女性が、花緑の大ファンだったんでしょうね?
ありえないような大絶叫で喜びを表現したのです。人生最大級の喜び様でした。

 

 

 

4.不孝者/三三
マクラでは、抽選会で花緑の色紙が当たった客の喜び方と、
自分の色紙の時の無反応の落差で、少しやる気を削がれてしまった、
なんぞと言って笑いにしていました。
まのじさんみたいな、三三大ファンも居たろうに…

そう思うと、この会は花緑/三三/昇太のファンが、
おそらくほぼ均等に入場していると思われるので、
欲しいサインの出演者を、入場の際に確認してからやれば?
そんな事を思いましたネ。半券をそれぞれのBOXに分けて入れて、
三三の色紙は、三三BOXの中から選ばれるみたいな仕組みですよね。
そうでないなら、寄書きを最初から4枚用意するのが良いと思います。

この抽選会の話から、サイン繋がりで生まれて初めてサインをした時の話へ
二つ目に成り立ての時、先輩咄家の勉強会にゲストで呼ばれて、
寿司屋の二階でやるような会だったそうです。会の後の懇親会で、
客の一人に、「おい、兄チャン、気に入ったからサインくれ!!」
そう言われ色紙を渡されたので、硯で墨を摺って丁寧に書いて渡したら、
「あんがとうよ!」と、受け取った人が、色紙を真っ二つに折って、
手提げポーチに仕舞ったのには、唖然としたそうです。

この後は、何度も聞いた小三治・歌丸・三三で正月明けに九州を遠征した話。
ここから、落語家に前座・二つ目・真打・ご臨終と階級があるように、
みたいな振りをして、特に昔は人間、生まれながらに人生のレールが敷かれていた。
大店の若旦那なんていうのに生まれると、苦労もしらずできの悪いのが多かった。
と、言って、それは江戸時代も今日も同じで、咄家の二代目・三代目なんてのにも、
ろくなのはおりません!と三三が言うと、客はドカン!と受けました。そして、
「今、“正蔵”って名前を頭に思い浮かべた人は、私と同罪です」
と、言うお決まりのマクラから『不孝者』へ。

この噺に登場する、芸者の“琴弥”が、実に、三三がやると色気があります。
私は、手先、指の使い方が綺麗で艶っぽいと毎度感じるのです。
そして、会場の大きさで、微妙に声の高さを気にして選んでいる感じがします。
旦那と再会して、分かれた後の身の上話の部分に入るまでの導入で、
探るような声使いに毎回なるように思うのです。徐々に単なる女から、
いや、オカマみたいな女から、芸者へと喋り方が仕上がる感じがするのです。
考え過ぎかな?俺の。
 

 

 

5.不動坊/昇太
こちらも、マクラで触れました、サイン色紙の件に。
昇太曰く、「最初に三枚色紙を書かせて欲しかった、
そして、当選者に選ばせて、残った色紙は捨てて貰って結構!」
だいたい、欲しくもないサインなんて迷惑なんですよ!と本音とひがみを語る昇太でした。

そこから、亭号の話へ。春風亭も末席だが柳派だ!と言いながら、
自身が“うすっぺらい”芸人なので、年をとっても重厚にならないと嘆いてました。
だから、自身が提供したDVDが当たったのに、客は「へー」みたいな反応で、
かたや単に色紙が当たっただけなのに、悲鳴に近い感動を与える。
この差が、芸風であり、自身のキャラクターのうすっぺらさだ!と重ねて嘆いておりました。

ここから五輪ネタへ、なんと言っても面白かったのが、中国VS韓国のバドミントンの無気力事件
あの2組のペアは、無気力だからという理由で、失格になりました。それなら?
新宿末広亭の早い時間の芸協の寄席に出ている落語家は、殆ど無気力ですよ。
誰も熱演なんてしていません! でも、彼らは失格にならず、次の日も寄席に出ています。
ここがスポーツと、落語の違いなんだなぁーと、しみじみじ思いましたと言って、大うけの昇太。

そして、落語のような無気力がはびこるオリンピックを見ると、
オリンピックにも、もはや昔、始まった頃のスポーツマン精神なんて、
もはや無くなっていて、単にメダルが欲しい、有名になって銭儲けしたい!
つまり、煩悩の塊、銭!銭!銭!の商業主義がオリンピックなんですね。
私も思います、民度の低い国の連中は、実際そうなんだと思います。
国の期待、国民の期待なんてもんじゃなく、個人の儲けなんだろうと。

メダル欲しさに手段を選ばないなんて事は、日本人はあまりしない。
国民性、国民の気質として“ずるしてまで勝とうとは思わない”のです。
そして、自分に厳しく、一生懸命に努力する姿が好きな国民なんです。
だから、高校野球に人気があるのです。そして高校生も諦めず頑張るのです。

そんなことを語りつつ、五輪の話に戻して、地方出身者が五輪代表になったら、
地方の役所は、大変で、「祝・○○選手、ロンドン五輪出場!」の大段幕を役所の建物に掛けて、
隣接する公民館で、どこから調達して来たのか、大型モニタでそのライブ中継をするのです。
そして、ご両親、兄弟親戚、恩師などを特観席に座らせて、地元のみんなで応援する。
それなのに、落語家は、売れるまで両親兄弟からは秘密にされると言うのです。

そんな話から、選手の寿命は短いって話に持って行き、相撲の話から『花筏』に入ろうとしたのですが、
一番前のオバさんが、凄くいいタイミングで、「またぁー」と言ったもんだから、
「提灯屋さん! 居るかい、提灯屋さん」「アレ、親方じゃないですか」までやって、
『花筏』へは入らず、少し考えて『不動坊』にしました。
あのリアクションを見てしまうと、『花筏』はできません!と苦笑しました。
なかなかありませんよ、大笑いですね。

その『不動坊』ですが、私は2年か3年前に、『不動坊』のネタ卸しを観たんですけど、
その頃よりは、数段よくなっていましたが、あくまでも、昇太落語なので、
本寸法を期待してはいけません、ドタバタ加減と、お滝さんが来るので狂喜乱舞する利吉。
この風呂屋での喜びようは、昇太らしくて最高に笑えま
す。