親子会って事になっていますが、実質上は一朝一門会でした。
出演と演目は、こんな感じでした。
・幇間腹 … 朝呂久
・やかんなめ … 朝也
・妾馬 … 一朝
仲入り
・鼎談/吉川潮・一朝・一之輔
・子別れ下 … 一之輔
1.幇間腹/朝呂久
秋には二つ目になる朝呂久くん。備えてネタ増やししていますネ。
許される勉強会の開口一番は、前座噺じゃないネタを掛けています。
いきなり、携帯電話が鳴りました。しかも、遅れて入って来たオジサンのが。
私の斜め横の席で、鳴ってポケットから出すからMAXで音が出て、
すまなそうに電話に出るオジサン!! すかさず、朝呂久くんこれを触ります。
「携帯電話、PHS、時計のアラーム、シンバル、銅鑼など音の出るモノをお持ちの方は、
電源を切るか、音の出ない設定にして下さい」と言って、笑いに変えて『幇間腹』へ。
15分に仕上げる『幇間腹』でした。朝呂久くんだけじゃないけど、
最近の若い咄家は、どこの一門も、江戸弁というよりも漫談みたいな語りをします。
そんな江戸の風が吹かない『幇間腹』でした。伝わるし笑いは起きるけど、
私は、一朝師匠のように江戸弁でやって欲しいと思いました。
できる子なので、是非、古典口調でお願いしたい。
2.やかんなめ/朝也
一朝師匠の三番弟子です。寄席の一之輔真打披露の番頭役で、
裏方をがんばったと、かなり良い評判を聴きました。
マクラで寄席の披露目で疲れたって話から、昔の医者にはかなりいい加減なの居て、
藪医者、カンコントウ医者の話をして、疝気とシャクの話へ。
そして、あい薬の話にもって行って、『やかんなめ』
ちゃんと古典口調で、侍と女中の掛け合いで笑いを十分取っていました。
朝呂久くん!朝也兄さんを見習いましょう。やかん頭の侍が最高でした。
3.妾馬/一朝
談春がやる「お泣きなせぇー」って『妾馬』より、一朝師匠のは硬派です。
市馬、三三の硬派とは、また一つ味違うんですよね、小さんと柳朝の違い?
というより、目白と稲荷町の違いかな?
談春のは、八五郎が徐々に酔う過程とか、細かく描写してリアリズムなのですが、
落語なんだから、いきなりベロベロでもいいじゃないか?!って気もします。
その方が面白い場合だってあろうと思う。そんな一朝師匠の八五郎です。
談志師匠が好む演出なんですよね。『らくだ』の屑屋だってそうですけどね。
飲む度に、少しづつ壊れて行くのです。一朝師匠の八五郎は、
一杯で泣き上戸になり、湿っぽくなったと都々逸を披露します。
♪あざな立膝 ビンかき上げて 忘れしゃんすな 今のこと
♪明けの鐘 ゴン鳴るころ 櫛が落ちてる 四畳半
♪別れがつらいと 小声で言えば 〆る博多の 帯が泣く
4.鼎談/吉川潮・一朝・一之輔
寄席で口上は、イヤという程やったから鼎談になったそうです。
まず、「一朝師匠、寄席での50日間のお披露目で、
『一朝さん、良いお弟子さんを持ちましたネ』って言われたでしょう?」
と、質問する潮さん。一朝師匠が「ハイ!たんと言われました」と返すと、
「昔、まだ家元が元気だった頃に聞いた話なんですが、
永六輔の野郎が、俺に『志の輔さん!素晴らしいですね、
談志さん、貴方は良いお弟子さんを持ちましたネ』って言いやがるのよ。
俺は怒ったネ。志の輔が偉いじゃねぇー バカ言うな俺が育てたから、
今の志の輔があるんじゃねぇーか、志の輔に言ってやれつぅんだよ、
貴方は良い師匠に入門しましたネって。」
実際に、談志のオールナイト日本でこの話を談志は喋っていて、
最新号の「落語ファン倶楽部」の付録にもなっているからご通可かと思います。
ちょっと照れる一朝師匠に、一之輔が「そうです!その通り」と言う姿に、
あぁーいい子弟愛だなぁーと思いました。
そこから寄席での真打披露興行の根多の話になりました。
最初の鈴本の10日間は、ご存知の通り、一之輔も一朝師匠も、
同じ根多はやらずに、10日間根多を全て変えました。
そして、迎えた末広亭の初日も師弟で又別の根多を掛けたので、
「この師弟は、50日間違う根多を披露する気だ!」
という噂が、ネット上で囁かれるようになりました。
すると、流石に、一之輔がプレッシャーになって、
12日目にして、鈴本と同じ根多をやり「師匠、すいませんお先に一抜けたです」
と言ってこの呪縛から自由に成ったのですが、一朝師匠はガンコというのか、
大人気ないというのか、16日目まで根多を変え続けたそうです。
落語家の師匠は、本当に負けず嫌いというのか、弟子に花を持たせないですね。
談志師匠も、親子会とかだと、ありえないくらいに張り切っていました。
伝説の志の輔が初めて紀伊国屋で独演会をやった時、ゲストの談志師匠、
トリで志の輔が『文七元結』をやるのを知っていて、仲トリに『芝濱』を掛けました。
志の輔は『文七元結』できなくなって、『らくだ』に変えたのでした。
円朝と、師匠の円生のいやがらせみたいな世界ですよ。
寄席に、一之輔目当てで行った女性ファンの中に、
一朝師匠のファンになりました!一朝さん可愛いと言う人が居ましたよと言う潮さん。
照れるもまんざらでもない一朝師匠。また、一朝師匠は柳朝師匠が真打披露前に倒れたので、
高座で口上を言ってもらえなかったのが、本当に残念だと言ってましたね。
だから、病院に師匠に「無事、披露目が終わりました」と報告すると、
泣き顔を見せたくないので、師匠が一朝師匠に顔を見せないようにしていたそうです。
それを、「師匠!泣いてるのねぇ」と冷やかしたそうです、若い日の一朝師匠。
一番弟子の出世ですからね、柳朝師匠も嬉しかったと思います。
最後、一之輔にどんな師匠ですか?と潮さんが聞くと、
本当に、このまんまの師匠です。裏表がなくてというのが面白かったです。
居ますからね、外づらだけ良い師匠って、誰とはいいませんけど、
弟子に殴られて、殴った弟子を破門にした。あの師匠なんか細かいそうですからねぇー
高座を見ていると、そんな細かい人にはみえないけど…
口数も少なく自由に育てる一朝師匠が一之輔には合っていたんだと思います。
5.子別れ・下/一之輔
初めて、一之輔の人情噺を聴きました。まずまずでしたね。
よくある「亀ちゃん目線」で展開する『子別れ・下』でした。
随所にらしいセリフがありましたネ、一之輔の『子別れ』
亀吉が、熊さんに「おっとうは、バカだ!!バカだ!!」と言うのですが、
久しぶりに会って鰻をご馳走すると熊さんが亀ちゃんに言う場面。
お前、鰻好きだったよなぁ、食べてるか?鰻と熊さんが言うと、
「本と、バカだなぁーおっとうは、おっかーと二人で貧乏してるのに、
鰻なんて贅沢できるわけねぇーだろう、バカ!」には笑いました。
まだ、まだ、試運転みたいな『子別れ』でしたが、だんだん良くなると思います。
出演と演目は、こんな感じでした。
・幇間腹 … 朝呂久
・やかんなめ … 朝也
・妾馬 … 一朝
仲入り
・鼎談/吉川潮・一朝・一之輔
・子別れ下 … 一之輔
1.幇間腹/朝呂久
秋には二つ目になる朝呂久くん。備えてネタ増やししていますネ。
許される勉強会の開口一番は、前座噺じゃないネタを掛けています。
いきなり、携帯電話が鳴りました。しかも、遅れて入って来たオジサンのが。
私の斜め横の席で、鳴ってポケットから出すからMAXで音が出て、
すまなそうに電話に出るオジサン!! すかさず、朝呂久くんこれを触ります。
「携帯電話、PHS、時計のアラーム、シンバル、銅鑼など音の出るモノをお持ちの方は、
電源を切るか、音の出ない設定にして下さい」と言って、笑いに変えて『幇間腹』へ。
15分に仕上げる『幇間腹』でした。朝呂久くんだけじゃないけど、
最近の若い咄家は、どこの一門も、江戸弁というよりも漫談みたいな語りをします。
そんな江戸の風が吹かない『幇間腹』でした。伝わるし笑いは起きるけど、
私は、一朝師匠のように江戸弁でやって欲しいと思いました。
できる子なので、是非、古典口調でお願いしたい。
2.やかんなめ/朝也
一朝師匠の三番弟子です。寄席の一之輔真打披露の番頭役で、
裏方をがんばったと、かなり良い評判を聴きました。
マクラで寄席の披露目で疲れたって話から、昔の医者にはかなりいい加減なの居て、
藪医者、カンコントウ医者の話をして、疝気とシャクの話へ。
そして、あい薬の話にもって行って、『やかんなめ』
ちゃんと古典口調で、侍と女中の掛け合いで笑いを十分取っていました。
朝呂久くん!朝也兄さんを見習いましょう。やかん頭の侍が最高でした。
3.妾馬/一朝
談春がやる「お泣きなせぇー」って『妾馬』より、一朝師匠のは硬派です。
市馬、三三の硬派とは、また一つ味違うんですよね、小さんと柳朝の違い?
というより、目白と稲荷町の違いかな?
談春のは、八五郎が徐々に酔う過程とか、細かく描写してリアリズムなのですが、
落語なんだから、いきなりベロベロでもいいじゃないか?!って気もします。
その方が面白い場合だってあろうと思う。そんな一朝師匠の八五郎です。
談志師匠が好む演出なんですよね。『らくだ』の屑屋だってそうですけどね。
飲む度に、少しづつ壊れて行くのです。一朝師匠の八五郎は、
一杯で泣き上戸になり、湿っぽくなったと都々逸を披露します。
♪あざな立膝 ビンかき上げて 忘れしゃんすな 今のこと
♪明けの鐘 ゴン鳴るころ 櫛が落ちてる 四畳半
♪別れがつらいと 小声で言えば 〆る博多の 帯が泣く
4.鼎談/吉川潮・一朝・一之輔
寄席で口上は、イヤという程やったから鼎談になったそうです。
まず、「一朝師匠、寄席での50日間のお披露目で、
『一朝さん、良いお弟子さんを持ちましたネ』って言われたでしょう?」
と、質問する潮さん。一朝師匠が「ハイ!たんと言われました」と返すと、
「昔、まだ家元が元気だった頃に聞いた話なんですが、
永六輔の野郎が、俺に『志の輔さん!素晴らしいですね、
談志さん、貴方は良いお弟子さんを持ちましたネ』って言いやがるのよ。
俺は怒ったネ。志の輔が偉いじゃねぇー バカ言うな俺が育てたから、
今の志の輔があるんじゃねぇーか、志の輔に言ってやれつぅんだよ、
貴方は良い師匠に入門しましたネって。」
実際に、談志のオールナイト日本でこの話を談志は喋っていて、
最新号の「落語ファン倶楽部」の付録にもなっているからご通可かと思います。
ちょっと照れる一朝師匠に、一之輔が「そうです!その通り」と言う姿に、
あぁーいい子弟愛だなぁーと思いました。
そこから寄席での真打披露興行の根多の話になりました。
最初の鈴本の10日間は、ご存知の通り、一之輔も一朝師匠も、
同じ根多はやらずに、10日間根多を全て変えました。
そして、迎えた末広亭の初日も師弟で又別の根多を掛けたので、
「この師弟は、50日間違う根多を披露する気だ!」
という噂が、ネット上で囁かれるようになりました。
すると、流石に、一之輔がプレッシャーになって、
12日目にして、鈴本と同じ根多をやり「師匠、すいませんお先に一抜けたです」
と言ってこの呪縛から自由に成ったのですが、一朝師匠はガンコというのか、
大人気ないというのか、16日目まで根多を変え続けたそうです。
落語家の師匠は、本当に負けず嫌いというのか、弟子に花を持たせないですね。
談志師匠も、親子会とかだと、ありえないくらいに張り切っていました。
伝説の志の輔が初めて紀伊国屋で独演会をやった時、ゲストの談志師匠、
トリで志の輔が『文七元結』をやるのを知っていて、仲トリに『芝濱』を掛けました。
志の輔は『文七元結』できなくなって、『らくだ』に変えたのでした。
円朝と、師匠の円生のいやがらせみたいな世界ですよ。
寄席に、一之輔目当てで行った女性ファンの中に、
一朝師匠のファンになりました!一朝さん可愛いと言う人が居ましたよと言う潮さん。
照れるもまんざらでもない一朝師匠。また、一朝師匠は柳朝師匠が真打披露前に倒れたので、
高座で口上を言ってもらえなかったのが、本当に残念だと言ってましたね。
だから、病院に師匠に「無事、披露目が終わりました」と報告すると、
泣き顔を見せたくないので、師匠が一朝師匠に顔を見せないようにしていたそうです。
それを、「師匠!泣いてるのねぇ」と冷やかしたそうです、若い日の一朝師匠。
一番弟子の出世ですからね、柳朝師匠も嬉しかったと思います。
最後、一之輔にどんな師匠ですか?と潮さんが聞くと、
本当に、このまんまの師匠です。裏表がなくてというのが面白かったです。
居ますからね、外づらだけ良い師匠って、誰とはいいませんけど、
弟子に殴られて、殴った弟子を破門にした。あの師匠なんか細かいそうですからねぇー
高座を見ていると、そんな細かい人にはみえないけど…
口数も少なく自由に育てる一朝師匠が一之輔には合っていたんだと思います。
5.子別れ・下/一之輔
初めて、一之輔の人情噺を聴きました。まずまずでしたね。
よくある「亀ちゃん目線」で展開する『子別れ・下』でした。
随所にらしいセリフがありましたネ、一之輔の『子別れ』
亀吉が、熊さんに「おっとうは、バカだ!!バカだ!!」と言うのですが、
久しぶりに会って鰻をご馳走すると熊さんが亀ちゃんに言う場面。
お前、鰻好きだったよなぁ、食べてるか?鰻と熊さんが言うと、
「本と、バカだなぁーおっとうは、おっかーと二人で貧乏してるのに、
鰻なんて贅沢できるわけねぇーだろう、バカ!」には笑いました。
まだ、まだ、試運転みたいな『子別れ』でしたが、だんだん良くなると思います。