恋愛をテーマにした落語会だったんですが、
テーマが恋愛で、白鳥と馬石というのがユニークというか、
冒険するなぁー文化放送!と思いました。
とりあえず、面白かった二人会、こんな番組でした。
1.道灌/立川こはる
かもめ亭では、これが前座最後の仕事になります。
このかもめ亭が始まって、5年が経過していて、
その最初から会を支えて来た“こはる”
彼女も、めでたく来月からは二つ目!ここも卒業です。
こはるの代わりは、誰がやるのか?やっぱり談春の弟子なのか?
さて、『道灌』 柳家の弟子はみんな最初に習う演目が『道灌』
意味は分からなくていいから、師匠がやる通りに覚えて、
この『道灌』で、落語のリズムと間を覚えるのです。
談志一門:立川流も、柳家なので、『道灌』からです。
かもめ亭・前座最後、だから『道灌』にしたのでしょうね、こはる。
ただ、できは不出来でした。談春に聞かれたら…
「あと、三ヶ月前座!!」と、言われそうな『道灌』でした。
間違うし、噛むし、詰まるし、それでも、成長したなぁーこはる。
メガネを取ると、名探偵コナンが、小学6年生の女子に変身します。
2.鮑のし/隅田川馬石
二人会なのに、“ABAB”の順番というのも変でしたね。
普通は、“ABBA”の順番なのに、上野のヤングファッション専門店か?!
さて、馬石くんの『鮑のし』ですが、何か違う感じがするのです。
まず、甚兵衛さんが、お人よしだが間抜けって感じが出ていません。
もっと変だったのが、そのお上さん。もっと、カカぁ殿下の女房のはずです。
それが、妙に優しいので、拍子抜けします。
それと、尺が短か過ぎます。寄席でやっても“?”の『鮑のし』
前半のご近所の山田さんから甚兵衛さんが50銭借りてくる部分がカットされていて、
しかも、女房が借りて来た帰りから始まります。甚兵衛さんが魚屋に行って、
「尾頭付き」のはずが鮑を仕入れて、婚礼のある大家さんの家へ持っていく。
その口上を女房に習う場面と、大家の家で喋るまでで終わります。
中途半端でしょう。これなら、『お初徳兵衛』をタップリにして欲しかったです。
3.ある愛の詩/三遊亭白鳥
ライアン・オニールとアリ・マックグローの名作とは何も関係ありません!
ある下手糞の前座/“焼肉亭こぶくろ”が主人公なのですが、
この下手糞前座の『時そば』が、本当に下手に演じるのが上手い白鳥さんです。
そして、下手糞前座に、白鳥自身が蕎麦を食べる仕草を教える場面があり、
ここで、普通の蕎麦、うどん、富士そば、そしてカレーうどんの食べ分けをやります。
これは、白鳥くんにしては上手くできていました。
特に、蕎麦がボソボソで食べていると切れる“富士そば”は受けておりました。
噺は、この焼肉亭こぶくろに、ストーカーの女性ファンが付いて、
毎度おなじみの白鳥式ドタバタ喜劇へと展開します。
そして、どんでん返しのオチが付いて、めでたし!めでたし!
白鳥好きには、まずまず、満足な一席でした。
4.お初徳兵衛浮名桟橋/隅田川馬石
『お初徳兵衛浮名桟橋』を、古今亭・金原亭の流れを汲み、
志ん生が、名乗ったことのある“隅田川馬石”を襲名した、
4代・隅田川馬石が、どんな風にやるのか?!と興味津々で聴きました。
尚、『お初徳兵衛浮名桟橋』の詳しい解説は、薮井竹庵先生のブログを参照下さい。
まず、『船徳』の部分が長過ぎ!ここを20分近くタップリやると・・・
あと、櫓も、竿も、もう少し練習した方がいいですね。
特に、川が流れていて、上手に船を回す場面と、
流に乗って下る場面では、明らかに漕ぎ方が違います。
ちゃんと演じている時代劇だと、映像で観察できるし、
実際に、隅田川で漕いでみるくらいしたらいいのにと思います。
名前が、隅田川なんだぞ!と、思うのは俺くらいかな?
船頭の噺なので、この竿と櫓の使い方が“違うなぁ”と感じてしまうと、
後半のしっとりする場面に入り込めません。粋な船頭って設定だからね、徳さん。
師匠雲助の技を、まずは模倣するところから入って、
是非、竿と櫓で船を漕いで欲しいです。
雲助師匠も時々やるでしょう、それを真似て欲しい。
まぁ、一人船頭一人芸者で、お初が徳に屋形船の中で告白する場面、
ここは、それなりにできていました。流石、元役者さんです。
5.船徳/三遊亭白鳥
これを『船徳』と言うのか?は、かなり疑問です。
『お初徳兵衛』の浮名桟橋よりも、更に序章部分を自分で作ってしまう白鳥。
なぜ、徳兵衛が船頭になったのか?芸者遊びが過ぎて勘当になり、
居候した先がたまたま船宿だったから、船頭になったのではなく、
初恋の相手・お珠ちゃんに、いいところを見せたい!と船頭になる展開。
まぁ、最後は、得意の座布団ローリングストーンもあって大うけでした。
実に下らないナンセンスの極みですが、白鳥らしい作品でした。
おそらく、夏の間、いろんな会や寄席でやると思います。
なぜなら、高座を自分で録音してましたからね。
多分、文化放送も録音しているから、「下さい!」と言えば貰えるけど、
自分で録音して、すぐ修正するんでしょうね、ああ見えて研究熱心です。
直ぐに改善して、次に掛けて、トライ&エラーを繰り返して仕上げる白鳥。
このでき上がる過程も面白いと、私は思います。
最後に、この会は太鼓を前座さんだけでなく、演者が交互に叩くのですが、
白鳥くんの太鼓も、かなりひどいけど、馬石の太鼓はありえないくらい酷い
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