にぎわい座で市馬師匠を聴くのは、2月以来です。

客の入りが淋しかったです、2階は客が入っていないし、

1階も75%くらいの入りです。250人ぐらいか?


さて、少数精鋭の市馬独演会!こんな内容でした。

 

 


イメージ 1
 

 

 

1.子ほめ/市也

今年、既に7回目の『子ほめ』です。馬桜師匠の二回以外は、

全部前座さんがやる『子ほめ』でした、きょう介、まめ平、さん坊、志の太郎、

そして、この市也くんの五人。この中では、さん坊と市也が上手いですね。

『子ほめ』とか『道灌』をやっている段階で、ある程度分かります、

できるようになるのか?暫くダメか?予想できます。

ここ三年では、今月二つ目に昇進した宮治くんが1番か?

 

 

 


2.唖の釣り/市楽

柳亭市馬一門の総領弟子です。少し頼りない感じもするけど、

徐々に良くはなっております。この『唖の釣り』はまずまずでした。

与太郎と七兵衛さんのやり取り、そして、殺生禁断の上野の池、

不忍池を見回る役人と二人のやりとりが、ちゃんとできていました。

この噺は、目白の小さん師匠でよく聴きました。

あの丸い顔を、人面相みたいに変えて見せる芸が傑作でした。

 

 

 


3.おばけ長屋/市馬

マクラで、稲荷町の正蔵師匠の話をしました。

市馬師匠が入門した頃は、もう、かなりヨイヨイだった正蔵師匠。

既に、彦六になっていたと思います。三平さんが亡くなって彦六なんで、

入門当初は、まだ正蔵だったのか?!いずれにしても微妙。


その彦六師匠が、鈴本の楽屋口から高座まで、

5分くらい掛けて、足袋を擦るように進むんだそうですよ。

それでも、客はじーーーっと稲荷町が高座の座布団に着くのを、

文句も言わず、というより、それを楽しむかのように見届ける。


で、師匠が何か喋ると食い入るように聞き耳を立てる。

そして、彦六師匠は、元々笑いを取るなんて欲がない人だから、

自分の芸を坦々と披露して、そして、おじぎしてユックリ立とうとする。

その時、テタ前座が師匠の様子を見ていて、今日は踊るぞ!と思うと。

「オイ、小幸、師匠に手をお貸ししろ!」と言われて、前座時代に、

彦六師匠を立たせる為に、何度か手を貸したそうです。


すると、彦六師匠「あんちゃん、すまないねぇー」と声を震わせて、

そこで、見合す顔と顔、じっと目と目が合う。

そうしたら、師匠が前座・小幸の手をギュっと握って、

「こうやって、手を握り合いながら、見つめ合うと、妙な心持になるじゃねぇーか」

と、更に震える声で言ったんだそうです。


逆に、前座小幸だった市馬師匠は、何て恐ろしい顔なんだ!

怪談ばっかり、やると顔も怪談か?と思ったそうです。

そんな稲荷町の思い出噺から、『おばけ長屋』へ。


空き家を訪ねて来た、新しい店子候補を、

古株の杢兵衛さんが“後家の幽霊が出る”と、

怪談噺を聞かせて追い返す、おなじみの噺です。


市馬師匠のは、一人目の恐がりがいいんですよねぇー

こいつが実に臆病に演じるから、二人目に来る職人の江戸っ子が引き立ちます。

トントントンと加速しながら、「掃除して待ってろ!すぐ戻るから、」

と、最後に啖呵を切って去っていく職人。いいです、誠に本寸法で。

 

 

 

 

4.ジャグリング芸/ストレート松浦

大道芸のお祭で二回くらい観た経験あるけど、

20分たっぷり観たのは始めてです。

市馬師匠が言っていましたが、東富士夫師匠を思わせる芸なのです。

知ってますよネ、東富士夫師匠。足で樽を回す太神楽の師匠でした。

一言も声を発せず、黙々と芸を見せて、寄席で喝采を受ける。


この松浦さんは、落語協会所属なんだそうです。寄席で見られます。

赤いスーツで、お手玉や、3つの箱を使ったジャグリングで小手調べ。

中国独楽を、サーカスか?雑技団のように操り客を魅了した後、

棒を二本使って色んなものを、空中遊泳させるのが得意技!!

ビニール傘、箒、ここまでは見たことがありますが、なんと!!

あの工事現場や教習場で見かけるパイロン!これを空中遊泳させるのです。


是非、寄席で見てください。感動しますよ。

 

 


5.抜け雀/市馬

今年は、本当によく聴きます『抜け雀』、既に6回目です。

市馬師匠の『抜け雀』は、かなり忠実に志ん朝を踏襲しています。

勿論、歌は歌いません。本寸法の『抜け雀』

白酒、喬太郎の『抜け雀』を聴きすぎたせいか?物足りなく感じます。

あんまり市馬師匠やりませんよね、『抜け雀』。

前半だけですが、少し硬い気がしました