板尾創路監督作品「月光の仮面」の落語の指導を、
馬桜師匠がおやりになって、それを馬るこくんと遊一くんがお手伝いした。
そんな関係で、三人での落語会となったようです。
そして、演目は、その映画に出て来る『粗忽長屋』『子ほめ』
『金明竹』『心眼』『野晒し』の5席。
1.子ほめ/馬桜
これは、2月に蕎麦屋「たびと」で聴いたのを、そのまんまやりました。
サゲが、「竹の子は」の歌で終わるパターンです。
2.金明竹/馬るこ
『阿武松』があんなに良かったのに…
与太郎、おじさん、お上さんの三人が平坦なんですね。
前座の扇ちゃんの方が立体的に感じる程でした。
ただ速いだけでは、この噺は笑えません。
途中、飛んだ部分もあり、稽古不足なのか?
3.心眼/遊一
同門の兄弟子、扇辰さんの『心眼』を聴いているので、
それと比べるとねぇー可哀想でしょうが、
女房”お竹”がダメですね。山の小春はそこそこできているのに、
お竹が、扇辰さんのようにできると、真打かなぁー
4.野晒し/馬桜
サゲまで聴いたのは、何年ぶりやら?
「誰でぇーお前ぇ」
「新町(しんちょう)から来た幇間(たいこ)です。」
「えっ!新町の太鼓だぁー ちくしょう、あの骨は女じゃなくて馬だったかぁ?」
このサケは、今はまず通じないですね。
田原町周辺に新町という太鼓屋さんが密集していた町があり、
太鼓の皮が馬の皮だというの知っていないと、サゲになりません。
まぁ、そんなサゲなんてどうでもよくて、『野晒し』は、サイサイ節です。
『包丁』の八重一重、『三十石』の舟唄がダメだと聴く価値がないのと同じで、
この『野晒し』のサイサイ節は、これらと同じくらいに重要です。
馬桜師匠、志ん朝直伝のサイサイ節で、楽しそうに竿を振っていました。
私もかなり昔ですが、夜釣りで橋の上からサイサイ節を歌ってテグスを垂れていたら、
なぜか、ゴンズイばかり釣れて困った事があります。
現役では、小三治師匠が『野晒し』のイメージですが、
実は、小三治に『野晒し』を教えたのは、弟弟子の“さん喬”師匠なんですよ。
遠慮してなのか?さん喬師匠は、めったに『野晒し』やりません。
小三治のマネしてる!って言われるのが嫌なんですかねぇー
本当は、小三治の方がマネなんですけどね。
5.粗忽長屋/馬るこ
この方がかなり良かったです。だいぶん落語になっていました。
それでも、彼特有のリズムがあるんですよねぇ、悪くはないのですが。