さて、いよいよ無限落語もあと2回となりました。

その歴史の中で誕生した新作落語の名作撰を3回やって終わる無限落語。

今回は、三遊亭圓丈、柳家小ゑん、林家彦いち、古今亭駒次と、

役者のモロ師岡の五人と、開口一番前座で三遊亭ふう丈くんが出演しました。


こんな感じの番組でした!


・熱血陸上部“ぢ”は辛いの巻/ふう丈


・オープニングトーク


・都電物語/駒次


・アキバぞめき/小ゑん


・全身日曜日/彦いち


仲入り


・サラリーマン落語・宿屋の仇討ち/モロ師岡


・わたし犬/圓丈

 


1.熱血陸上部“ぢ”は辛いの巻/ふう丈

この前座さんは、噺が上手いです。ただ、新作しか聞いていないので、

なんとも分からないのですが、落語口調ではありません。

古典もやって、ちゃんと落語ができるようにすれば、将来有望だと思います。

噺は、陸上部の部長が「激走した後、すぐ座ると痔になる」という都市伝説通りに、

痔に掛かってしまい、大会を前に苦悩するお噺です。

後輩部員に、ボラギノールを塗ってもらうのだが… 

これがアロンアルファだったという落ちです。

なんとなく、兄弟子たん丈くんのマイナスを彼・ふう丈が取り戻している感じがします。


2.オープニングトーク

圓丈師匠が携帯電話をスマホにして、大失敗だ!と愚痴るところから始まりました。

なんでも、使い方が分からず、本人のブログにもありますが、電話に出るのに一苦労!

さらに、電話番号登録を手入力したいけど、テンキーの出し方が分からないと言う。

そこへ小ゑん師匠が、最初に電車でみんながスマホを使う姿を見て、

アレ?デジタルの「15ゲーム」が出たのか?と思ったとボケて会場がドッと受けました。


更に、モロ師岡さんが老眼が最近酷い!と言うと、圓丈師匠がなんてまだいいよ、

俺は白内障だぞ?毎日5回も目薬差して、それで現状維持!治らないのか?!って感じ。

師岡さん、ダイソーの100円老眼鏡を3つ持っているけど、どれも合わないので、

台本が3分しか読めないというと、すかさず、ウルトラマンか?!の突っ込み。


そんな老眼鏡の話が出たところで、小ゑん師匠が、万一ネジが緩んだら言って締めるからと、

精密ドライバセットを持っていることをちゃっかり自慢していました。

なんでも、最近、小言念仏で喜多八師匠が壊した扇子を、2.6mmの木ネジを使って直したそうで、

その時もこの精密ドライバが活躍したらしい。それを聞きつけた師匠連中が、

俺のも直してくれ!と、セロテープでごまかしていた扇子を持って現れるようになったそうです。

そんなラストが近いのに、そことは関係ないトークで始まりました。


3.都電物語/駒次

本日の演目の中で、一番のデキでした。良かったです駒次さん。

昭和40年代、都電がどんどん廃止される時代のお噺です。

高度成長期、都電の運転手のおてんば娘が、電車の運転手を婿にと、

都電1番線、銀座から上野に向かう運転手との馴れ初めのお噺です。

電車マニアらしい視点の演出と、昭和のオールウェイズ、

そんなノスタルジックな気持ちに客を誘う一席でした。


4.アキバぞめき/小ゑん

マクラでの、化石ファンの理想の話は大爆笑でした。

自らの体が化石になるのが夢な彼らは、未発見の鍾乳洞に落ちて即死、

そのまま天井から滴り落ちる石灰成分豊富な水滴を受けて、

三千年~五千年の時を経て、化石になるのが夢なんだそうです。

『アキバぞめき』は、ご存知『二階ぞめき』のパロディーです。

寄席では聞けない一席ですが、サゲまでが長すぎますね。

コレでもか?!とアキバ根多を入れたいのは分かるけど、

少しひつこいのです。そして、サゲもなんとも弱いです。


5.全身日曜日/彦いち

この噺は、SWAで白鳥くんが、福笑さんのパペット落語風にやったのを見ましたが、

全然違うんですね、ストーリーが原作・彦さんのは。ビックリしました。

彦いちにしては、おとなしいほのぼの系の作品で、良かったと思います。

ただ、落ちがみえみえなのがねぇー もう一捻り欲しいと思いました。


6.サラリーマン落語・宿屋の仇討ち/モロ師岡

師岡さんの落語は、二回目で、初天神だかを銀座落語会でやったのを聴いたのが1回目、

このサラリーマン落語というのは、これが始めてでした。スーツ姿の落語で、

古典落語を、ほぼそのまま、現代のサラリーマン社会に置き換えた落語でした。

新幹線のグリーン車に一人の疲れた男が乗車して、車掌:伊藤八郎を捕まえて、

「昨日は、相州・小田原からグリーン車に乗ったのだが、

座席で携帯を使う者やら、子供が通路を走り周るやら、

若いカップルの客がイチャイチャするやらで煩く、拙者をぜんぜん寝しよらん!

あげくにじゃ、大きな相撲取りみたいな奴がトイレに行こうとする拙者の行く手を阻む、

更には、トイレにいたら、大きな奴が突然入ってくるので、驚いたワシは、

びっくりして手すりで面体を打ち、痛い!と尻を拭いていた左手でそこへ当ててしまた!」

というのは笑いました。上手いです、『宿屋の仇討ち』の引用。


そして、この車掌:伊藤八郎を、“伊八”と呼ぶのも笑った!笑った。

もう少し、ちゃんと古典口調でやれたら、もっと面白いと思います。

師岡さんの口跡、ややモゴモゴするのも、聞き取り辛いので少し残念。

それでも、下手な二つ目よりは、師岡さんの方が上だと思います。

いや!天どんくんやぬう生は、見習え!といいたいです。


7.わたし犬/圓丈

圓丈師匠の作品でいうと、『藪椿の奥で』と似た感じのする作品です。

前半は、落ちこぼれサラリーマンが居酒屋で、我侭放題して笑いを呼んで、

後半は、このサラリーマンが自分に似た犬を見つけて、自分の愚かさに気付く。

そして、犬が瀕死の状態になり、それを助けようとするのだが…


最後は、ジーンと来る作品なんですが、肝心な場面で言い間違い、

特にテニヲハや、個人名を間違えて直す場面が多々あり、

本当に、残念でした。すーーーっとやれたら、客は泣くよなぁー

圓丈師匠!しっかり練習して、もう一回聞かせてください。