「2000年代・真打昇進者共演」と銘打って、三派合同の会が開催されました。
いかにも、主催者、永田さんならではの企画!って感じの会でした。
そのメンバーと演目は、こんな感じです。
1.洒落小町/立川談慶
談慶くんを聴くの久しぶりです。池袋の芸術劇場で志らくとやった2009年以来。
立川流に有って、いまいち存在感が薄いのです。生志くんと比べても薄いです。
そんな談慶の値多は、『洒落小町』、旦那の浮気に悩むガチャ松さんの苦悩噺です。
とにかくお喋りのお松、こと、ガチャ松さん。口から先に生まれて来たか?と思うぐらいの、
マシンガントークを展開します、談慶も、ここはよく出来ておりました。
ご隠居さんに、お松が旦那・熊さんの浮気について相談する場面、
早口で意味不明な旦那への愚痴を炸裂させます。
そして、在原業平の女房/井筒姫は、あえて夫を浮気相手の家に行かせて、
風吹けば沖津白波たつ田山夜半にや君が一人越ゆらん
と、夫の無事を影で心配したという、故事を聞かせて、
夫を責めるばかりが能じゃない、労わる気持ちを持って接すればこそ、
相手に心が通じ、熊さんも改心するだろうと教えるのだが、
お松さんは、歌の素養があまりにもないので、
とりあえず、駄洒落尽くしでもてなしてみることになるが…
ここからは、談慶のオリジナル駄洒落が展開されました。
考えているなぁーとは思うのですが、パンチがないのです。
例えば、志らくなら?白鳥なら?喬太郎なら?と考えると、
彼らに比べて、圧倒的にインパクト不足なのです。
ただ、談慶らしさは在るのですが、地味な印象なんですよねぇー
2.初天神/三遊亭遊雀
毎年、毎回、進化する遊雀の『初天神』ですが、二月ににぎわい座で聴いたばっかです。
流石に、全く同じです。金坊の泣き技がしくこいので、飴と凧はやらず、団子だけです。
それでも25分くらいの尺になります。もう、飽きた感じがします。
なんだろう、4人、5人出るホール寄席だと、遊雀くんはかなりの確率でこの『初天神』です。
3.棒鱈/古今亭菊之丞
菊之丞の『棒鱈』は、初めて聴きました。なかなかいいです。
江戸っ子、芸者、田舎侍の切替しで笑わせる技が、
甚語楼や三之助とは、一枚も二枚も上手です。
更に、都々逸ですね、この日は「四国西国島々までも 都々逸ぁ恋路の橋渡し」と、
節を付けて「明けの鐘ゴーンと鳴る頃三日月形の櫛が落ちてる四畳半」をやりました。
ただ、田舎侍のセリフは、間抜けでいいのですが、
歌が、ちょっと上手過ぎるのです、下手に歌えないのが性なのか?
4.井戸の茶碗/林家たい平
たい平くんは、かなり沢山聴いているけど、この『井戸の茶碗』は二回目。
しかも、過去5年は聴いていないので、ちょっと新鮮でした。
今年は、よく聴く値多のようです『井戸の茶碗』
既に、白酒、馬桜、志の輔の三人で聴いていて、たい平くんが四人目でした。
この噺は、噺自身がよくできているので、大きな工夫や改作は不要ですが、
主要登場人物、くず屋の清兵衛さん、浪人・千代田卜斎、そして細川の家来・高木佐久左衛門、
この三人の誰にかにフォーカスして演じるか?それとも、バランスよくやるか演じ手によって違いますね。
たい平くんのは、バランスで演じられ、オーソドックスにくず屋さんの苦労が描かれました。
もっと、志ん朝風に演じるのか?と思ったのですが、
あんまり癖もなく、普通な感じの『井戸の茶碗』でした。
らしいクスグリは何個かありました!特に、千代田卜斎が清兵衛さんに、
「高木氏は、御独り身か?」と訊ねる場面ですね。
「ハイ、多分。中元が高木様をからかって“昇太様”“昇太様”と呼んでおりましたから」
「“昇太”と呼ばれておったかぁー 間違いない!」
というのは、笑点流のクスグリですね。
一つ気になったのは、高木佐久左衛門へ300紋で売った仏像代金の割前を、
清兵衛さんが千代田卜斎に50紋渡さず、いきなり仏像の中から出た50両を渡そうとするんです。
明らかに、飛ばして演じたのだと思いますが、50両を出した後からは修正できず、
清兵衛さんが千代田卜斎に50紋払うシーンは省略されました。
たい平くんも、こんなミスするんですね
。