記念すべき、地味で外見のよく似たり二人の二人会です。シルエットだと正解率40%以下だと思います。
まず開口一番に登場したのが、さん喬一門で三人目のさん坊です。
初代さん坊は、柳家喬太郎、二代目さん坊が、柳家喬四郎です。
そして、三人目が既に貫禄と体形で、二人を上回る迫力なんですよね~
そんなさん坊くん、この日『子ほめ』をやったんですが、なかなか上手いのです。
元気よくて、リズムも古典口調ですし、愛嬌もあります。そうそう、正朝師匠んとこの正太郎に、どこなく雰囲気が似ています。
そして、何よりご隠居に世辞の使い方を伝授されて、それを竹さん宅へ試しに行く道すがら、
伊勢屋の番頭に会って「厄そこそこ」と言う前に、赤子を褒める「1つとは若いまだ半分で御座います」をポロリと言ってしまった!
すると、サゲでは、わざと半分には見えないをやらず、機転を利かせて「竹さんの子は」の歌でサゲました。
1.口入屋/引っ越しの夢
最近、よく聴く根多の一つです。吉坊とらく次のを聴きました。
まず、目の悪いスケベで独身の大番頭さんで笑わせる。左龍もそこそこ良いのですが、メガネの扱いが雑でした。
米朝一門の吉坊は、勿論、そつなくメガネを外す仕草、再度、掛け直す仕草も完璧!らく次も本人がメガネ芸人なんで、かなり上手く丁寧にやります。
これらに比べても、外す仕草が特に駄目ですね左龍。
次に、奉公人が早仕舞いで眠らされる場面、狸寝入りでイビキをかく場面!ここは、左龍は非常に上手いです。
私生活のイビキも強烈に違いないと思わせる完璧なイビキに場内爆笑でした。
そして、最後はお約束ですね、吊り戸棚を二番番頭と大番頭で左右に担ぐ場面です。
会話の度に、左右の担ぐ手を入れ換えるのが、どーもぎこちないのです。
ここを、ゆっくりからスピードを上げてみせないと!それがなく同じ調子の切り返しでした。
2.笠碁/甚語楼
師匠の権太楼もですが、何より大師匠の目白の小さんが得意にしていた『笠碁』です。
どこまで甚語楼にできるのか?と半信半疑だったのですが、杞憂でした。笑った!笑った!
最初の「待った」をして、喧嘩になる場面で、頑固と我が儘の喧嘩を見せて、喧嘩を笑いにするところは、甚語楼なかなかやります。
次に、頑固の退屈と、我が儘の退屈をそれぞれ見せるのです。
前者は、奥さんとの傘を借してくれで頑固な一面を見せ、後者は奉公人や孫への小言で我が儘な一面を見せる。
そして、最後は頑固が笠を被って、我が儘の店先を雨ん中、ウロウロする維持の張り合い。
どこも、しつこくしないで調度イイ頃合いで先に展開するのが甚語楼の良さです。
駄目な奴がやると、受けると長くなるんですよ、特に最初の喧嘩とか、奉公人への小言とかね。
ここを我慢して、無駄に延ばさない!これも大切な極意です。
3.人形買い/甚語楼
この噺は寄席でも掛かるけど、たいがい10分か15分くらいの所で終わります。
この日は、「会」だからタップリと、定吉が若旦那と女中のオモヨさんができているって話をするところまでやりました。
この噺の定吉と、『おせつ徳三郎』の定吉は、なかなか雰囲気が似ていてお喋りな加減が、ませていて私は好きですね。
4.花見の仇討/左龍
もうこれが最後になるのか?『花見の仇討』。沢山出る登場人物を、よく研究して演じ分けていました。
しかも、その演じ分けが噺の面白さや客を惹き付ける魅力に成っていて、良かったです。
この噺を聴くと「できるじゃないか!左龍」と、思うのですが、メリハリが付けられないと、グズグズになるよなぁー左龍。
人物の造形は、本と落語の基本であり要なんだと、左龍の『花見の仇討』を聴いてつくづく感じました。
なかなかイイ会でした。次回11月29日池袋演芸場!