濱永さんの「ごらく茶屋」の看板・柳家小三治独演会でした。
場所は、言わずもがなの「神奈川県民ホール」だから、最近できた大戸屋で、ほっけの塩焼定食を食べて入場。
開口一番は、三番弟子のはん治師匠、根多は毎度お馴染み「背中で老いてる唐獅子牡丹」です。
独特のあの喋りに、少し眠く成ってしまいました。20分の我慢。
そして、二上がりがっこに乗って小三治登場、超満員の会場から拍手!また拍手!です。
ゆっくり座布団に向かう小三治師匠、お辞儀するとまた、割れんばかりの拍手。
マクラは、前日の嵐みたいな天気の話から、小三治師匠が住む高田馬場界隈の桜の話に。
染井吉野は、江戸の豊島辺りの職人が考え出して、こさえたもんだと振って「長屋の花見」へ。
羽織を脱ぐのが早いと思ったら、短いマクラで「長屋の花見」をフルサイズやりました。
「長屋の花見」
三三くんの「長屋の花見」を1月に聴いていましたが、師匠小三治のを本当によくコピーしていると感心します。
ただ、本家・小三治の「長屋の花見」を聴くと、あぁここがまだまだ、ここはかなりよく出来ていると、
三三バージョンが思い出されるのが面白いです。今年初めて聴く小三治師匠。
非常に丁寧に演じる「長屋の花見」でした。そして、魅力は大家さんが優しい時と、
長屋の住民のボケや粗忽に突っ込む時の鋭い表情とのギャップが素晴らしい。
この緊張と緩和の加減が、名人小三治なんですね。枝雀さんの落語理論ですなぁ。
私が、この噺で好きなのは、大家さんが「酔う奴が居ないなぁ~」と、言って月番に酔え!命じるところ。
月番さんが「大家さん!酔います」と、特攻隊が敵の艦隊を攻撃するみたいに、決意して言うセリフで笑います。
仲入り後、着替えて登場の小三治師匠に、「たっぷり」の声が掛かる。
座布団に正座するなり、「その声には、騙されない!」と言って、いきなり茶を啜りました。
この会では、たっぷりの声にのせられて、前半だけで二時間以上喋ってしまい、ホールの終了時間が来て流れ解散と言う妙な回が在ったのです。
そうは、言いながらハリー・ヴェラフォンテの話をしました。
最近、欲しかったレコードを手に入れた話も、どうやらこのハリー・ヴェラフォンテのカーネギーホールでの二枚組ライブ盤だったみたいです。
それは、それは、切々とハリー・ヴェラフォンテの音楽の素晴らしさを人情噺のように語りつつ、
同じ音源でありながら、日本、北米、欧州でレコード/CDの音の広がりや、イコライジィングのアレンジ技術が違うと言うのです。
マニアックだぞ!小三治。最後は軽く「猫の皿」で締めて、大満足の小三治独演会でした。