行って来ました、WOWOWの収録に、場所は六本木ニコファーレ。
普通の収録スタジオとは、かなり違います。照明がド派手で、三方の壁がLEDの大画面なんです。
そして、セットが金網なんです。そこで落語をやるのです。
一番の落語のタブーと言うか、落語は定番の所作と演者の語りで客に想像させる芸なのに、
落語の演出に、画像を使うんですよ、三方の壁に映して。
MCは、マキタスポーツとみひろで、出演は林家彦いち、三遊亭白鳥、春風亭百栄、林家菊丸。
入場時間が20:30、放送スタートが21:00、そして放送終了時間が23:00なんです。
19:50に行くと4人並んで居て5番目でした。中に入ると最前列中央でしたが、床に座蒲団が在るだけ!
腰が弱い人には毒な環境ですが、かぶりつき!ちょっと金網が気に掛かります。
オープニングは、大音響でキング・クリムゾンの「21世紀の精神異常者」が流れ
る!!
「21世紀の精神異常者」にのせて、それぞれのインタビーが流れました。
彦いち「林家というだけで一括りにされるのが嫌だ!」と言う。すると、LED画面に正蔵の写真が…
百栄「落語って本来は、もっと汚くてドロドロしたもんですよ、業の肯定なんだから。」
白鳥「野良犬か、虫けらみたいに酷評された時代を経て今があります、NHKの演芸コンクールでは、お前なんかNHKには要らない!とまで言われた」
この録画部分が大画面で流された後、リングアナウンサーの高柳謙一さんの紹介で、リング状のステージに客席を掻き分けて入場しました。
そこにMCのマキタとみひろが登場して弛いトークを展開。
この段階では、三人はニコファーレを使う意味がよく理解できていなかった。
そこに大喜利だけ参加の菊丸が紹介される。この本番前に、予選会があり林家菊丸くんが優勝して参戦していた。
最初は肩慣らしに大喜利からスタート。普通の大喜利との違いは、お題が視聴者参加型なのです。
ニコニコ動画と放送が連動していて、リアルタイムでLED画面に流されるのです。
これは、圓丈一門会でぬう生が似たような事を発言していました。
それを丸々採用していましたが、ぬう生は予選会で敗退しこのステージには居ません。
大喜利は、視聴者から出されたお題を咄家が選んで1分程度の落とし噺を作ると言うもの。
いきなり、白鳥さんが“桜”と“小三治”を選んで、「小三治の芸は桜のように素晴らしいけど、やがて散り行く運命でしょう!」とか言って割れんばかりの喝采に!
地上波ではありえないWOWOWならてはの、小三治いじりがここから展開されます。
で、お題を出すだけでなく、この小咄に視聴者が突っ込みをリアルタイムに入れて来ます。
「小三治大惨事」とか「三遊亭と柳家の抗争勃発」とか鋭い突っ込みが入りました。
この大喜利では、百栄くんが絶不調でした。こういうのは、白鳥さんですね、三題噺で鍛えられています。
三面のLED画面の壁に、ニコ動画からのコメントが、雨が降る如く流れるのは、生で見ると迫力満点!
あの臨場感は、テレビからは伝わらないと思いますね。
この大喜利の後は、15分程度、繋ぎでマキタスポーツがギターの弾語漫談。
得意の根多ですね、音楽アレンジ、二曲を混ぜるマッシュUPをやりました。
「与作のレイラ」、歌詞は与作で北島先生風で、メロディーは、クラプトンのレイラ。
次に、長渕剛とモーニング娘。のマッシュUP。ピーピーピー言う根多でした。
そして、最後は尾崎豊の名曲「15の夜」のアナザーソング。
つまり、バイクを盗まれて、硝子を割られた“学校の用務員さん”の歌。
結構良く出来ていましたが、寒空はだかの「15の春」の方が俺は好きかな?
マキタスポーツの後、彦いちのインタビーが流れます。
「林家で一括りにされるのが嫌だ、師匠の木久扇も異端、俺は周囲を敵に回しても自分流で行く野良犬」と言う。
根多は、『熱血怪談倶楽部』でした。怪談を語る部活の先生が場違いなくらい体育会系!そんな噺でした。
初めて聴く噺でね。言葉遊びみたいな部分が前半に用意されていました。
部員を先生が、「アメンボ赤いなあいうえお」みたいなオリジナルを作って鍛えるのです。
こんな感じ、「青稲川淳二、赤稲川淳二、黄稲川淳二」「織田無道が上手に屏風に瀬戸内寂聴の絵を描いた」
後半は、LED画面の壁が活躍します。先生が夕暮れの校舎を歩きながら幽霊や怨霊、妖怪と遭遇する。
しかし、
先生が部員と勘違いして熱血指導を繰り広げる。そして、落ちは、先生は実はろくろ首でした!と言うもの。
画像を使うからこその落ちでした。スピード感があり圧倒されました。
次に登場は、百栄くんで『バイオレンス・スコ』でした。
つい最近、圓丈師匠の「無限落語」で聴いたばかりで、その時に理解できなかった猫の名前と、実物が、
この落語会では、LED画面のおかげで良くわかりました。これは、本当にナイスアシスト!
マニアックな新作落語を、一般人に理解させるのには最適です。
駒次くんの鉄道噺で、紙芝居で演じているやつなんか、この仕掛けにぴったりですね。
あの迫力のある壁一面の画像が流れていく様子は、生で体験しないと分かりませんよね。
今回は、三面在る大画面を2:1で二種類の画像までが主に使われていました。
たまに、三種類もあるんですが、客が疲れるのを考慮してか?多様はしませんでした。
猫だけじゃなく、イチゴサンダルちゃんと、吉田美和が、それなりの雰囲気で登場したのにも、笑いました。
最後は、三遊亭白鳥師匠の『人体革命』でした。この噺も、医学専門用語が登場しますが、
影像で、それを表現はしてくれません。というか出来ませんよ。
単に、心臓、胃、肝臓、そして脳が登場するだけで、意外と画像は地味でした。
この噺自身がそんなに面白いわけじゃなくてね。俺も好きじゃないから、違う噺が良かったと思いました。
例えば、『任侠流山動物園』や『真夜中の襲名』みたいな動物ものか、
ありえない白鳥ワールド全開の『砂漠のバー止まり木』『明日に向かって開け』『殿様と海』
さて、全体の総括としては、会場も視聴者も、大喜利だけじゃなく、
リアルタイムで落語に突っ込みを入れていい企画はどうでしょう?
しかも、同じ噺を正蔵/三平/木久蔵と、市馬/談春/三三でやるとかね。
本人には、文字で何を書かれたかは分からないけど、本人の噺に関係なく会場では、笑いが起きますけどね。