この会も6回目なんだそうです。初回から行こうと思っていながら、
別の落語会と重なって、なかなか行けなかったこの会。
ようやく6回目にして、初めて聴くことができました。
にぎわい座でも、地下の“のげシャーレ”なので、全席自由。
とりあえず、18:30開場なので、17:45に行ってみると、
既に10人近いお客さんが並んで、会場待ちしていた。
凄い人気だ。チケットはソールドアウトしている。
50人近く並んだので、18:20に開場となった、そして18:50には超満員。
定員が完売しているのに、当日券を売って、無理矢理席を増やしている。
にぎわい座!おまえもかぁ、池袋演芸場みたいな商売は止めろ!
と、思ってしまいました。さて、この日は、こんな内容でした。
・金明竹 … 林家扇
・片棒 … 古今亭菊六
・宿屋の富 … 古今亭志ん公
仲入り
・子別れ(下) … 古今亭菊六
1.金明竹/林家扇
最近、自称・剛力彩芽とか言っております。
知らしめる為に、比べてみました。このくらい違います。
さて、四年目の前座、扇ちゃん。愛嬌はそれなりにあります。
そして、頑張ってはいますが、所詮、“林家木久扇”の弟子。
今年も既に前座のまま、昇進なし!が決定しております。
『金明竹』をやりました。昨年、5月の「白酒ひとり」で聴いた根多です。
あんときは、落研以下のそれはそれは、酷い『金明竹』でした。
しかし!
びっくりするくらい成長していました。俺は君を侮っていた!!
ただ、落語になっているか?というと、モドキなのです。
なんだろう、よくある今時のお笑い芸人風の喋りなのです。
もっと分かりやすく言うと、柳原可奈子の喋りに似ています。
似ているというか、そのものに近い。だから15分聴くと疲れます。
扇ちゃん!もう少しです。思ったよりできる子じゃないか!!
とりあえず、人物を造形し笑いにするところはできています。
そして、『金明竹』で、関西弁の早口は、関西弁になっていないけど、
とりあえず、雰囲気は伝わり、早口を噛まなかったのは偉い!
二代・木久蔵なら三回は、噛んだと思います。
更に、その早口の関西弁を聞かされた女将さんのリアクションと、
それを旦那様に伝える解釈が、扇ちゃんらしいオリジナルも入っていて良かったです。
この調子で頑張って、あとは喋りが落語のリズムになれば二つ目ですね。
声も立川こはるがやるように、女の子のキンキン声が出なくなれば合格です。
あと、マクラでやったヨイショの小咄も良かったです。
散髪し立ての木久扇師匠を見掛けて、ヨシ!ここだ、よいしょのし所だ。
そう思った扇チャン、「師匠、頭、行かれたんですか?」と云ったら、
「頭いかれた」=「頭がおかしくなった」=「バカ」と取られて、
「お前は、とりあえず破門」と、言われたそうです。
2.片棒/古今亭菊六
マクラで高校野球の話をしました。今年の選抜高校野球の入場行進の曲が、
AKB48の「Everyday、カチューシャ」だったことをイジリました。
菊六くんの頭と球児の頭が似ているので、こんな頭にカチューシャは似合いませんよ!
それなのに、Everyday、カチューシャですよ、皆さん!と、
人生幸朗・生恵幸子師匠のようなボヤキ炸裂です。そんなマクラから『片棒』へ
少し前に馬治さんのを聴いたばかりの『片棒』
本寸法でやると、どうしても市馬師匠の『片棒』には敵わないので、
志らくや談笑は、かなり奇をてらった演出でやります。
ただ、菊六くんは、まっこうから本寸法で『片棒』をやりました。
そんなに器用じゃないので、奇をてらうこともできないとは思いますが、
彼なりの工夫と、次男・銀の笛太鼓は、男らしい市馬師匠とは違って、
どことなく艶のある仕草なんですよね。
喩えると、市馬が松なら、菊六は柳って感じです。
3.宿屋の富/古今亭志ん公
寄席や菊之丞、白酒のゲストで何回か聴いています。
なかなか愛嬌が有って、左龍や甚語楼と似た芸風の、
この世代にはありがちな、咄家さんです。
だから、逆に言うと目立ちません。ごくごく平凡に映ります。
『宿屋の富』は、1月に正太郎がやったのを浜離宮ホールで聴きましたが、
あれと比べても、そんなに変わらないのです。
逆に、正太郎の方が、荒削りだけど光るものが有ったかも?と思います。
志ん公くんも、真打昇進で菊六に抜かれた一人です、
何より、“らしさ”、個性が足らないと思います。
4.子別れ(下)/古今亭菊六
この話は、一昨年よく聴いたんです。談春、歌之介、そして龍玉と王楽。
王楽のは、談春とリレー落語で、本人はバッチリ!と思っているようですが… 錯覚です。
また、龍玉くんのは根多卸しで、かなり硬かったけど、先の二人は今でもやりますね。
この噺は、なんといっても、熊さんの子供、亀ちゃんの演じ方だと思います。
この子供を客が好意を持てないと、噺を聴こうという感じになりません。
そいう点でいうと、菊六の亀ちゃんは、可愛く少し生意気でちょうどいい感じです。
あと、熊さんの女房がいいですね。鰻屋の二階が気になって出掛ける場面、
あそこでの、モジモジ加減が、他の演者よりも丁寧で、艶っぽいと思いました。
まだまだ、工夫する余地はあると思うので、また聴いてみたい菊六の『子別れ』でした
。