超久しぶりに末廣亭に行きました。
多分、2年前に、圓楽襲名披露に行くつもりで、
末廣亭の前まで行ったら、恐ろしい行列が出来ていて、
それを見て、止めて以来の末廣亭界隈だったと思います。
席を確保したくって、あと、小ゑん師匠のトリ根多も聞きたくて、
昼の部の仲入り時間を狙って、現地へ足を運びました。
超満員の末廣亭、結構ビックリします。こんなメンバーですよ。
入ったら、菊丸師匠の『人形買い』が始まっておりました。
寄席では、ちょくちょく掛かる根多ですが、
ホール落語ではめったに聴きません。
与太郎を連れて、源さんが長屋の割前を持って人形を買いに行く噺。
壷算でお馴染みの源さんが、人形屋を値切るのですが、
人形屋も、なかなかしたたかで、上には上がいるって噺です。
続いて、あした順子師匠の漫談、ひろし師匠が病欠が続いていて、
この日も前座さん相手に、「男は貴方、ひろし!」「女は君さ、順子」を。
今回の前座さんは、木久扇師匠の弟子で、“きりん”くん。
そう!元大関・清国の息子さんです。192cmの長身です。
順子師匠とは、50cmくらい身長差が在って、面白かったです。
この後、登場は、ヨシ坊の小さん。
この人は、『長短』によく当たります、この日も『長短』
長さんが、そんなにスローモーでなく演じます。
寄席だと時間の都合もあるのでしょう。
ホール落語で聴くと、もっとスローモーに演じますから。
続いて、馬風師匠。おなじみの世間話です。
Qちゃん良かったねぇーから入って、練炭殺人の木嶋容疑者に触れ、
その後は、いつもの「こぶ平の正蔵/二代三平/二代木久蔵の悪口」
この二世咄家へのダメ出しだけでも、10年は続けていますよね。
鏡仙三郎社中の神楽!! 土瓶の芸はいつみても素晴らしいです。
昼席のトリに柳家小ゑん師匠登場!マクラでは相変わらず“アキバ”話。
そこから、オタク繋がりで『アクアの男』へ入りました。
主人公は、水族館オタクの男。品川水族館のお魚に餌付けする女性に惚れる。
この片思いが、どんどん募りに募って、ついに男が餌付師の女性に告白する。
最後は、女性が「私は人魚、貴方とは住む世界が違うの」と、苦肉の策で断るのだが、
なんと!この男は半漁人だったというオチ。最後は、二人で橋から品川の海へ。
現代、品川心中の一席でした!と、言って落とす小ゑん師匠でした。
お仲入り、急いで前の方の席に移動!!5列目を確保して夜の部へ。
夜席、トップバッターは“ぬう生”くんでした。『幇間腹』をやりました。
合格点のデキでした。もう少し、幇間の一八はお調子モンで良いし、
由利徹の“お針子さん”の真似もいいのだが、米朝師匠のも勉強してみては?
そんな事を思う『幇間腹』でした。“ぬう生”らしさを出して欲しいよ。
次は、ホンキー・トンクの漫才でした。三三くんの会のゲストで、
1年前に南足柄市の文化会館で聴いて以来だと思います。
ボケの方の人が、帰る!帰る!と話の途中で下がろうとするパターンは健在。
さてその次は、岩本院の稚児あがり!! じゃなく左龍くん。
扇辰さんの代演だと思うのですが、扇辰さんが良かった!!
根多は『宮戸川』でしたが、まぁーだるいリズムでね。眠りそうでした。
いや、少し寝たかも?そんな『宮戸川』なのです。
もっと、霊岸島の叔父さんとかは、個性を出して演じて欲しい。
この後が、さん福の『万病円』 これは良かったですね。
無理難題を言って、湯屋、饅頭屋と代金を踏み倒すセコい侍!!
これがちゃんとできているので、トントントンと下げの紙屋まで進みました。
そして、ここで登場が、小菊師匠!!潮先生の奥さんですね。
いつも思うのは、あの替歌、誰が作っているのやら?
小菊師匠本人の作なのか?夫である潮先生の作なのか?
夫婦で仲良く作っていたりするのかな?
この後、小歌師匠の『新聞記事』 私は、『新聞記事』より『阿弥陀池』の方が好きです。
天ぷら屋なだけにのサゲの『新聞記事』より、
日露戦争から、米屋で“糠に釘”の洒落でサゲる『阿弥陀池』がいい。
続いて登場は、馬治だった馬生師匠が『強情灸』をやりました。
この人は、馬治の時代も大して聴いてないです。
雲助さんが馬生だったと思います。
ここで一服、翁家和楽社中の大神楽です。
刃物をジャグリングする技に関心しました。
大神楽の後は、駒三師匠の『不精床』
徐々に笑いが多くなり、いいリズムで下げへ。
夜の仲トリは、小満ん師匠です。自作の『あちたりこちたり』をやりました。
15分くらいの短い持ち時間でも、師匠らしい話芸を見せてくれました。
仲入り後、何で喰い付きがこいつなんだ!丈二くん登場。
川崎の草食系代表か?!お前は。不健康で非力な高座です。
師匠に“小田原丈”にされた話から入って、病気話で終わりました。
この日根多に入らず、マクラで終わったのは、馬風、しん平と、この丈二。
偉くなったなぁ!丈二。ぬう生は『幇間腹』をやったのに。
後は、漫才の大空遊平・かほりです。夫婦漫才によくあるパターンで、
妻がマシンガントークして、夫が合いの手を入れる、そんな漫才でした。
色物さんの後に登場は、文左衛門。『手紙無筆』でした。
『千早ふる』と、この根多を、寄席では多く聴く文左衛門です。
前座さんには難しいと以前話しましたが、真打の『手紙無筆』らしく、
手紙を読んでくれと迫られる兄気分が、だんだんボロを出し、
それを読んでもらいに来た八五郎が、少しずつ懐疑的になる。
この心理戦が面白かったです。
続いては、しん平師匠。この人の落語も久しく聴いていません。
この日は、“あかん飯”の話をしました。
“あかん飯”とは、誰にでも1つや2つある、自分オリジナルの、
「それに、それは入れないだろう?合わないだろう?」 って、食事です。
例えば、オランダ人の格闘か4th time K-1チャンピオンのアーネストホースト。
彼は、日本食通でも知られていますが、永谷園のお茶漬の素!!
これに、お茶や白湯ではなく、ホットミルクを入れて食べるそうです。
そして、しん平師匠のあかん飯は、炊きたてご飯に粒餡を乗せてた、
“茶碗おはぎ”だとか。もち米じゃなくてよく食べるなぁーと思いました。
膝代わりには、日本独楽の紋之助師匠。
いきなり、扇の芸で失敗して、この日は異常に緊張していました。
最後のおなじみ「風車」では、独楽を落としかけて… 軸が曲がる。
こんな日もあるのね? 芸は生き物だ!と思いました。
さて、本日のお目当て白鳥師匠登場、予告どおり『隣の町は戦場だった』をやりました。
去年11月のWホワイト以来でした。意外と最近聴いていながら、
その日は『スーパー初天神』の方が圧倒的に印象に残っていた。
だから、5~6年前に聴いて、聴いていないつもりでした。
さて、この日の『隣の町は戦場だった』は、本当に良かった。
何がって、ホンダ製のバイク:スーパーカブが登場するのですが、
このスーパーカブは、故障してても、たとえガソリンが無くても、
本田宗一郎様!!動くようにして下さい、と、
心の底からお祈りすれば、魂が宿って走り出すというのです。
「本田宗一郎は、左甚五郎か?!」
ねずみや水仙じゃないんだぞ!バイクは。テクノロジーなんだ。
と、突っ込む辺りは、白鳥師匠らしい演出。また、らしい演出といえば、
ラストシーンで、バイクで川を飛び越えようとする主人公の吉田くん。
彼がバイクごと川に落ちそうになるのを、亡くなった両親の霊が助けるのですが、
その仕草が、“口入屋(引越しの夢”の台所の吊り戸棚を抱える仕草なのです。
で、また、やった事がないから、へたくそこの上ない仕草でねぇー
本当に、白鳥さんらしい演出なのです。
ただ、雪国魂みたいなものを感じる一席で、
多分、これから他所でも掛けると思います
。