成城ホールでの“アナザーワールド”を、まんま!横浜にぎわい座でやる会です。

次回からタイトルを「談春アナザーワールドin横浜」にすると言っておりました(笑)

今月は、成城がハズレて行けずに終わったので、ここで聞くのを楽しみにしていたら、

にぎわい座の入り口で、横浜の河岸の親方と偶然会ったら、

「あの野郎(談春)、『お若伊之助』をハッピーエンドにしやがった」と言うのです。

なんだ、今日のもう一席は、新十八番になった『お若伊之助』かぁー

そんなネタバレさせられて、苦笑いで始まった談春アナザーワールドin横浜、


こんな内容でした。

 

 


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1.二十四孝/春樹

えび助さんのブログに登場したら、すぐに春樹がやりましたネ『二十四孝』

前座がやるには、ちょっと難しいですよね。二十四のうちの四つをやる必要があり、

どれも似たような孝行話ですから、それにアクセントを付けて、最後の蚊のサゲへ。

まだ、春の来ない季節にやるなら、鯉か?筍に、自分なりの工夫のオチを付ければいいのに?

そんな事を思いながらも、まだ、前座だった春樹は。と、思いました。


 

 

 

2.黄金の大黒/談春

『黄金の大黒』は、談志がやるようになって流行った噺です。

やるようになってもなにも、やり手の無かった噺を談志が掘り起こした。

今風に言うとリニューアルになるのか? 談志十八番にも出てますね。

今に成って、現代落語論の談志十八番を見ると、ビックリします。

二十歳代の頃は、これが十八番だったのかぁーと思います。


談志師匠は、この『黄金の大黒』と前回の『源平盛衰記』で、

寄席の真打披露興業を、この二席でトリを取ったそうです。

見てないのでね、5代目柳家つばめさんと同時昇進だったそうです。

1963年の四月でしがら、オイラは二歳で遠く九州で二歳でした。


その立川談志が、二つ目の談春がある時、この『黄金の大黒』は、

できる!と思ってやっても、奥が深くて、二つ目なんぞじゃこの程度なんだ!

と、言われて、俺が真打披露でやった根多だぞ、おい!と言われて、

それから二度とやるまいと思っていた根多らしいです。


人物が、長屋の花見のように登場しますよね、この演じ分けが、

“花見”よりも、難しいと談志師匠は言ったそうです。

「看板」と言われる真打にならねぇーとダメなんだそうです。

その“黄金”を、二つ目以来、成城とにぎわい座でやったんですね。


圓菊師匠が、以前この噺が好きでよく聴いた記憶があります。

今回の談春のは、演じ分けに重きを置き過ぎたのか?、

展開が円滑でないのです、仕方で、艶っぽい感じも欲しいのに。

談志師匠のは、勿論、聴いたこともないので、比べようにないのですが、

生まれて初めて羽織を着る嬉しさみたいなもんが、もう少し欲しかったです。


 

 

 

3.お若伊之助/談春

マクラで、まず笑ってしまいました。友人が心臓の手術をした話でした。

その友人は、心臓の弁の働きが悪く、動脈の吐出量が少ないので、

血液中のヘモグロビンに蓄えられる酸素が少ない病気なんだとか。

それで、五年前にも手術したそうで、主治医は大学病院教授で、

その教授の弟子の病院施設で、教授が執刀医として手術したらしい。


でも、5年でダメとは・・・ 騙されてないか?と、

談春達、友人はその患者の主治医を疑ったそうです。

そこで、セカンドオピニオンが必要だろうってことになり、

仲間内に相談して、世界的名医でドイツに留学していた医者に診てもらったそうです。


結果、主治医が言うように、もう一度手術が必要と、

その世界的名医にも言われたそうです。そこで、悩むのです、この心臓の悪い友人が。

どちらに治療してもらうのか?これまでの主治医か?世界的名医か?

結局、清水の舞台を飛び降りるような決断で、世界的名医に手術してもらって、

この二月の初めに退院したそうです。


そんな事も有って、その友人が大分回復したので、快気祝を仲間内でやり、

ホームパーティーみたいな感じで、仲間が歓談していたら、

ちょうど、その家のテレビに映っていた、天皇陛下のバイパス手術の記者会見!!

これを見た、主賓の心臓の手術を受けた友人が叫んだそうです。


「先生だ!天野先生」と。


そうなんです。最初の主治医というのは、天皇陛下をバイパス手術した天野篤教授だったのです。

結果、この友人は、良かったのか?損したのか?微妙ですよねぇー


そんなマクラを振って、『お若伊之助』へ。

相変わらず、叔父の高根晋斎(根岸)と、一中節の師匠“菅野伊之助”(両国)宅を往復させられる、

火消の頭・ 勝五郎の啖呵の切れ具合が半端じゃありません。流石、談春十八番です。


そして、従来のオチは、お若が双子の狸を産むが、すぐに此れが亡くなり、

根岸御行の松のほとり、「因果塚」の由来でした、とやるのですが、

これが評判悪いというのです。え?と思いますけどね。


この噺の圓朝の原作は、確かにここでは終わらず、もう少し長く、

更に、これよりおどろおどろしいです。(本でしか俺も読んだことがない)

あれがダメだから、百年数十年の歳月で、この「「因果塚」の由来でした」に落ち着いたんだから…


で、談春がやるのは、狸ではなく“桜の精”の幻にするパターンと、

もう一つは、お若は、双子を流産して、いよいよ病の床に伏せるが、

伊之助と最後は結ばれ、「栄屋」の女将や叔父の高根晋斎、頭にも祝福されて、

めでたし!めでたし!みたいなパターンなんです。


俺は、根岸御行の松のほとり、「因果塚」の由来がいいです