今回は、市馬と志らくの二人会でした。
博品館で歌の会をやった二人、ここでは歌は抜きの会でしたが、
市馬師匠は、それなりに歌いました!根多の中で。
そんな、最近は昭和歌謡ショー付いている二人の会は、こんな感じでした。
1.元犬 柳亭市也
童顔で、イケメンの市也くん!もう前座3年目かな?
かなりしっかりした噺をするようになり、稽古してるなぁーと思える子です。
さて、『元犬』ですが、当然、前座なのでオーソドックスにやります。
犬のシロが人間になっても、もう少し可愛い愛嬌があるといいのにと思います。
芸協の今年二つ目になる宮治くんの『元犬』は、そんな工夫があったので…
あと、この噺を改作して『元人』とかやる咄家は居ないのか?
勿論、元人で今は犬なのだから、ソフトバンクのお父さんが主人公。
そして、「彩は居ぬか?」「いいえ、犬は彩じゃなく私です」がオチ。
そうそう、「おもとは、居ぬか?」は、絶対に口語的に変ですよね。
「居るか?」でしょう。だから、『元海豚』って噺を、人魚姫風に、
三遊亭白鳥さんに作って欲しいと思います。
肝心の市也くん!二つ目のろべいに負けない『元犬』でした。
2.長短/時そば 立川志らく
マクラで、最近は二人(市馬・志らく)で歌の会ばかりなので、
首都圏だと洒落の分かるファンばかりなのでいいのだが、
これを金沢でやって、大顰蹙だったらしい。
しかも、ゲストが柏原芳恵ちゃんだったので、
1980年代のアイドルオタクが結構来ている中、
灰田勝彦、ディックミネ、田端義夫、岡晴夫を熱唱する二人!!
また、市馬・志らくのファンも、歌じゃなくて大半は落語を聴きに居ているのに、
落語は、仲で『時そば』と『親子酒』を12~3分づつ!!
そしてそして、仲入り休憩なしで3時間近く歌い捲るのですから、客は唖然!!
そんなマクラから師匠談志は短気だった、そして、五代目圓楽はおっとりだった。
そいいながら、『長短』へ入るのだが、どことなく談志・圓楽のやりとり風である。
そして、志らくらしくUFOの話などを挟みつつ、古典のサゲで終わる。
そのまま下がらず、二席目のマクラへ。(志らくのピン風だ!)
最近新しいJR山手線の駅が田町と品川の間にできる。
その駅名候補を、JRが公募したら“芝浜”が一位だったと言う話題。
これは、間違いなく談志が死んで、あちらこちらで『芝濱』をやっていたからだろう。
でも、この談志追悼の熱が冷めて、駅・芝浜ができたら、
人は、言わないよねぇー この駅で居眠りしちゃだめだぞ!だって夢になるから。
そんな話から『時そば』へ 久しぶりに聴いた志らくの『時そば』
どこかで、サゲをしくじってから暫くやらないと聞いていたが、
ここは大丈夫でした。蕎麦を食べる仕方についての薀蓄も披露。
志らく本人は、そんなに上手くはないけど、下手では勿論ない。
目白の小さんみたいに上手くなると、蕎麦屋で食べている時も、
高座みたいにやらないと、周囲の目が気になって、味がしない。
それよりは、適当で、周囲に観察されない程度がいいと負け惜しむ志らくでした。
3.二番煎じ/柳亭市馬
過去に、
・小三治
・喜多八
・鯉昇
・生志
・たい平
・白酒
・菊之丞
以上、七人の『二番煎じ』を聴いていますが、
どれよりも、笑いの多い、そして市馬らしい『二番煎じ』です。
まず、夜回り場面で、“謡”“浪曲” そして火の用心の声。
これを市馬師匠にしかできない美声で披露するのです。
押し出しの深い、本寸法の芸でね。
特に、廣澤寅蔵をスマートにした“浪曲”は必見です。
更に、番小屋で酒と猪鍋で酔っ払った旦那が、
「さんさ時雨」を見事に歌うのです。
まぁ、市馬ファンは、三橋美智也が聞きたそうでしたけどね。
4.対談 市馬・志らく
二人の歌の会の話と、二人の出会いについて、まず語りました。
なんでも、正朝師匠と志らくは交流があって、師の真打披露パーティーに呼ばれた。
そこに、“余興”で呼ばれた市馬師匠(当時、さん幸)が「俵星玄番」をフルコーラス歌い、
しかも、三波春夫よりも声の張りは上!ヒックリして、惚れたのが最初の出会いだったそうです。
そんな出会いから、ナツメロ・昭和歌謡で交流を深め、現在に至る。
まぁ、この後は、志らくの談志の思い出話が、次々と出てね。
談春の言う「志らくは、これでもか?!と師匠の思い出を語るのが追悼だと思っている」
それを通関する対談となりました
。