馬桜師匠が、かなり昔から三遊亭圓朝の長講ものを、連続通しで続けている会です。
5年以上前から気になっていた会なのですが、続きもんだから、第一回から聴きたい!
ようやく休日の昼の会で、第一回目に行けて参加することに。
この第七次は、『牡丹燈籠』の通し公演です。
『牡丹燈籠』といえば、本多劇場で立川志の輔が、1夜であらすじを系図を駆使してやりきったり、
一方、柳家喬太郎が、同じく本多劇場で、3日間6回連続通しの『牡丹燈籠』をやりました。
両方とも聴いたのですが、圓朝の15日15回連続通しよりは、短くそれなりに端を折られている感じ。
今回の馬桜師匠の『牡丹燈籠』は、12回です。年四回の会を3年続ける壮大な計画。
毎回、圓朝ものをやるゲストと長講を一席づつ披露してくれます。
そして、今回は圓朝直系の三遊亭から白鳥師匠がゲスト。
しかも、根多は『札所の霊験 下』でした。
開口一番は、圓丈一門の二つ目/玉々丈くんでした。根多は『権助魚』
前回、バーチャル白鳥一門会では、さんざん滑った玉々丈くん。
ここの開口一番は、慣れた感じに『権助魚』をやりました。可もなく不可もないデキ。
仲入り前、馬桜師匠登場。この会も第七次になりましたと、紹介。
できれば、若手・中堅に、この圓朝座をバトンタッチしたい!と、思いを語りますが…
居ませんよね、最近、圓朝ものを真面目に取り組む若手。
馬桜師匠は、圓楽党に知り合いが少なく、直系からゲストが呼べていないと言うけど、
圓楽党の若手に、本寸法で圓朝ものを稽古して、高座で披露している奴なんて皆無です。
だから、若手/中堅のゲスト選びに毎回苦労しているようです。
だから、あの『札所の霊験』で、白鳥師匠なのか?と思いました。
一応、白鳥師匠は、圓朝直系ですからね。変チクリンな新作ばかりだけど。まぁ、圓朝も当時は新作。
『牡丹燈籠』
第一回目なので、マクラ15分、本編45分と、タップリでした。
「本郷刀屋」~「お露・新三郎」までの噺の起こり部分でした。
ちょうど、亀戸の梅屋敷/臥竜梅が出て来る部分で、梅の季節にピッタリなんですよね。
「本郷刀屋」から、圓朝の速記ベースにタップリです。
飯島平左衛門の御付きの中元が、酔っ払いの浪人に喧嘩を売られる。
平左衛門が、「この者は、犬みたいなもんですから、お許しを!」と頭を下げる。
すると、酔っ払いが「犬みたいな者?ならば、拙者が馬銭(マチン)を食わせてやろうか?」と返す。
このマチン、ストリキニーネを含有する猛毒植物!江戸時代は、鼠殺し/猫いらずに使われていました。
圓朝らしい響を「マチン」に感じたのは俺だけかな?
オーソドックスに、そして立川談志から踏襲した言葉の分解と組立。噺に客を引き込む話術は、確かなものがある馬桜師匠。続きが楽しみだ。
『札所の霊験 下』
勿論、古典ではありません。ストラクチャーだけ『札所』を踏襲しています。
舞台は、日大芸術学部のメルヘン研究会。越後高田出身の権俵為蔵が主人公。
彼が魔性の女、ミキちゃんに恋をするが、田舎者は相手にされず、
ミキちゃんには、空手部主将の龍之介と言うカッコいい彼氏が居る。
ある日偶然出会したスナック「江古田コンパ」で、為蔵と龍之介が決闘となり、為蔵が龍之介を殺してしまう。
龍之介を殺した為蔵は、映画のメイク道具を持って姿をくらませ、ミチちゃんは傷心のまま家に籠るように。
そんなミキちゃんは、ゼミの准教授飯山に恋ごろを寄せるが…
またしても不幸がミキを襲う。飯山と一緒には成れたが、莫大な借金を背負って飯山が病に。
二人で、北関東の田舎で、分校の国語の教師と農家の手伝いで食い繋ぐ貧乏生活。
そこに、72才の農家の老人が二人に経済支援をしてくれるようになる。
この72才の老人は、特殊メークで変装した権俵為蔵だった。
そして飯山をも殺して逃げる為蔵とミキ。しかし、最後は天罰か?
東京に戻った二人が江古田コンパに現れて飲んでいたが、
この店の新ママが、あの龍之介の妹で、龍子だった。その龍子に二人の正体が見破られて仇を打たれてしまいます。
そんな噺を、1時間掛けてタップリ語る白鳥師匠。いつもより、しんみりさせるのです。
そうそう、この噺を聴いたの私は実は二回目。初回は4年くらい前。あの池袋・東京芸術劇場でやったのです、「白鳥ジャパン」と銘打って。
しかも、ゲストは立川談春だったから、超満員。リレーでやるのか?って客の期待を思いっきり裏切る会でね。
談春が、『札所の霊験』を解説して『紙入れ』やって下がったら客が、パラパラ帰り出すという会でした。
イヤー賛否ある『札所の霊験』ですが、最後の仇討ちまでやったのは、雲助・馬桜と白鳥だけです。