ちょうど1年ぶりくらいに来ました「朝日いつかは名人会」に。

築地に在る会場は、超満員の盛況でした。


開口一番に登場したのは、扇辰さんの弟子・辰じんくん。

今年初めての辰じん!前座にしては上手いと思います。

そのうちこの会に、ゲストで呼ばれる日も近いぞ、辰じん。

この日は、『金明竹』をやりました。冒頭の掃除、傘、ネコ、目利きの部分はカット!

加賀屋佐吉方、仲買人の弥一の遣いの上方商人のセリフ、ちゃんと加速度を付けてやれました。


この噺は、この言い立てがポイント。あまりに上手い関西弁では、加速しない。

かと言ってヘタ過ぎる=いかにも関東人が喋る関西弁過ぎてもダメです。

微妙な加減があるのですが、辰じんくんのは良い加減の関西弁でした。


現在、落語協会の二つ目直前の前座では、この辰じんと朝呂久くんが私の期待の新人です。

一人目の二つ目さんは、正朝師匠の一番弟子で春風亭正太郎くん。

前座時代は、何度か聴いている正太郎。二つ目に成っては二回目です。

長講を聴いたのは初めてで、根多は『宿屋の富』でした。


まだまだ、荒削りです。喋るのに必死で、タメや間は不完全。でも、落語のリズムで笑いは生まれていました。

正朝さんの“軽い”感じの芸より、一朝師匠や小朝師匠の本寸法系です。



続いて、もう一人の二つ目さんは、花緑師匠の三番弟子、花ん謝さん。

出身地である愛媛の話をマクラで少し長い目にやりました。

なんでも、愛媛のカルチャースクールで落語講座をやり、その生徒に寺の住職が居て、この人が傑作でね。

素人落語なのに、毎月寺で独演会をやるらしい。聴かされる檀家はご愁傷様です。

そんなマクラから『紙入れ』へ。イキイキ楽しくは師匠譲りだが、浮気をするお上さんが色っぽくない!


仲入り後、鼎談となり、司会進行は柳家喬太郎の登場!

二人の二つ目のプロフィールから紹介。

花ん謝さんは、愛媛大学の落研から、三年生の時に花緑を生で聴いて、大学を中退して弟子入り。


正太郎くんは、名門・明治学院大学の落研出身。正朝師匠も明学出身だから、一番弟子に憧れて入門したそうです。


林家と柳家では、かなりカラーが違うと言う話から、喬太郎が真顔で、

花ん謝くんに、「柳家の教えの真髄は何だと思う?」と訊いたら、「残さず食べる!」と答えたのは笑いました。


先代・柳朝、稲荷町の正蔵の芸について、正朝師匠はかなり丁寧に教えてくれるらしい。正太郎の将来が楽しみです。

同門の先輩・文左衛門に関して、喬太郎が正太郎に突っ込みましたが、テレビ放映ありだから、正太郎の口は固かった!


正朝師匠も花緑くんも酒が飲めないって話をして、最後はそれぞれの抱負を語り終わりました。


トリは喬太郎。今夜の根多は『抜け雀』でした。毎年、必ず聴く喬太郎の十八番。

マクラも定番で、この噺の時は、さん喬師匠に弟子入りした時に免許を持たないさん坊(喬太郎)は、師匠に運転させていた。

そんなマクラから乗り物繋がりて、駕籠の話をして『抜け雀』へ。


喬太郎の『抜け雀』は、相模屋の主人、お上さん、一紋無しの絵師、絵師の父それぞれの個性が立ちます。

そして、最近は、絵師の父が鳥篭を描いた後、喬太郎なりの名人論を、

この父親の口を借りて展開します。今回は「○○名人会」と言う落語会が沢山あるが、

本物の名人は、「この日スケジュール空いていますか?」で選ばれたりしない!この会も「名人会」なので爆笑でした。

この日も、若干噛んだ喬太郎、自身の落語も、名人には程遠い!と父親の口を借りて喋ります。


さて、第二十四回・朝日いつかは名人会の点数は、78点でした。