日曜日の6時に始まる落語会。ちょっと中途半端な時間ですよねぇー
満員の開場、開口一番の柳亭市也くんの『一目上がり』に続いて、
この会のプロデューサーでもある林家しん平師匠が登場!!
三人の真打について、“兄ぃさん目線”で解説し、
「みんなに、40分の長講をタップリやらせますから!」を連呼して始まる。
北沢タウン名人会、こんな内容でした。
1.一目上がり/柳亭市也
喬太郎は、ウエンツ英士に似ていると言いますが、
私は、ガリントチュウの福島くんに似ていると思います。
さて、この『一目上がり』、今年の夏、日本青年館の花火大会落語会で聴きました。
その時と殆ど同じで、悪くはありません。彼も、前座を卒業できるまでの技量はあります。
可愛い容姿なので、人気者になる素養アリです。
2.二番煎じ/古今亭菊之丞
いつ見ても美しい様子の菊之丞です。この日も淡いグレー(殆ど白)の羽織に、
黒い着物に薄茶献上の帯、お前は、中村仲蔵か?!という感じです。
十年呼ばれている岩手の養牛組合の落語会帰りで、
最初どうなることか?!と思った60歳オーバーの牧場主ばかりが客の会も、
十年続けると、落語ってもんが理解されて、人情噺をやってくれ!とか言われるそうです。
そんなマクラから、冬の定番根多でもある『二番煎じ』へ。
江戸時代、火事は本当に恐ろしいものだったので、
いろは48組の火消しや、大名お抱えの大名火消しだけでなく、
各町内会も、「火の用心」の夜廻りをする“見廻り当番”がありました。
当番は、火の用心の夜廻りを終えると、しばし番屋で暖を取り、
そして、また夜廻りへと出て行く。冬は辛い当番でした。
だから、不心得者が、番屋で酒を呑んだり、居眠りしたり、
肝心の夜廻りをさぼるから、役人が番屋を時々見廻り、
サボっている“見廻り当番”に喝を入れておりました。
この町内の“見廻り当番”と役人のやり取りを、
面白/おかしく演じるのが『二番煎じ』
菊之丞の『二番煎じ』、飲み食いの仕方といい、
町内の“見廻り当番”5人の演じ分け、それに役人!
どれも個性があって、噺のテンポも見事でした。
3.宿屋の仇討/桃月庵白酒
マクラでは、前座さんの「反省会」という名の仕事納めについて話しました。
暮れの28日に、寄席がはねると、前座さんだけの飲み会、
通称「反省会」が開催されるのだそうです。師匠方から、ご祝儀が出て、
それで1年のろうを労う会、といえば聞こえはよいのですが、
要は、ガス抜きの会、先輩・上司=兄弟子・師匠連中の悪口の会なのです。
この後、一之輔抜擢真打の話に少し触れて、50日間も連続でトリを独りで勤めるけど、
会長の小三治師匠は、何日くらい付き合うのやら?と心配していました。
そんな相変わらず毒化の多いマクラから、『宿屋の仇討』へ
今年、白酒くんの『宿屋の仇討』は二回目、二月の文芸坐以来でした。
10ヶ月ぶりですからね、クスグリが若干変わっていたりして、
なかなかパワーアップしていました。江戸の3人組が座敷で騒ぐ場面、
芸者を上げて歌うのが、定番のカッポレではなく、ジングルベルなのが白酒流。
宿屋の若衆・伊八を、定番の“鶏の尻から血を吸う”→「イタチ」から、
“ご飯を入れておく”→「オハチ」 “品川の隣”→「タマチ」
“出世魚の”→「ハマチ」 “松田聖子の旧姓・本名”→「カマチ」
と、クスグルのも白酒流ですね、ココ私、大好きです。
更に、白酒くんの『宿屋の仇討』は、六さんが終始「思い出作り」を口癖のように繰り返します。
この「思い出作り」が、最後の仇討の朋友として縛られそうになると、
人間思い出なんかに縋っていては、前に進めないと、態度を一変するのも笑えます。
随所に、白酒テーストなクスグリが入って、大爆笑の『宿屋の仇討』でした。
4.芝濱/橘家文左衛門
マクラで、鈴本の楽屋によく顔をだしたオダン/アメ横の元締めキーさんの話を振って、
そのキーさんがアメ横で魚なんて買うなよ、食ったらえらい事になるぞ!と、
1本2,000円の新巻鮭は怪しいと言いながら、いきなり『芝濱』へ
いつも思うのですが、文左衛門。乱暴に見えて描写や仕草が非常に細かい!
この日の『芝濱』も、細かい描写で、タップリ45分の大熱演でした。
概ね、立川流の連中の『芝濱』に似ています。
いやはや、二日前に小三治で聴いて、直後に、文左衛門で。
『芝濱』が続いて、暮れらしい気持ちになりました。
さて、文左衛門/白酒/菊之丞三人会の点数は、90点です!
P.S. キム・ジョンイルが死にました!!どうなる北朝鮮
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