ついにSWAの活動中止前の公演が、下北沢の本多劇場で始まりました。
落語ジャンクションの楽屋でスタートした“SWA”=「創作話芸協会(アソシエーション)」
初期には、三代・神田山陽も参加していたが、北海道に移住したので脱会。
そこからは、四人で定期的に会を全国規模で展開し、かなりの認知度となっていました。
さて、そのラストシリーズ第一弾! 「書き下ろしSWA」に行ってきました。
そして、それは!こんな内容でした。
1.再開のとき/喬太郎
『ほんとうのこと言うと』『夜の慣用句』 などと同じ感じの喬太郎らしい作品。
スーパーの店員が、万引きした主婦を事務所で取り調べる。
すると、その女性が大学時代のサークルの先輩だった!!
という感じにストーリーが展開し、その先輩の男性遍歴が語られる。
根多卸しなので仕方ないのかもしれませんが、
なんだろう?全体的に、コンテンツが薄いのです。
水っぽい味噌汁みたいな噺になっていて、完成度が低い。
まず、スーパーでの万引きがキッカケなのだから、
ここの描写を工夫して欲しいと思いました。
ありきたりでもいいから、スーパーをもう少し研究して欲しい。
スーパーは、万引きが起きるとBGMが変わるんですよね。
店員に、それとなく事態を伝える為に。
そんなスーパーの万引き話を、立川談志が以前マクラで話したのを思い出します。
BGMが変わる、そして、スーパー毎に万引きの曲があるそうなんです。
そのBGMが、なんとアラム・ハチャトゥリアンのバレエ『ガイーヌ』の最終幕!!
そう、“剣の舞”が掛かるスーパーがあるそうなのです。
そんなエピソードを、喬太郎にも入れて欲しかったけど、残念ながら、
そいう展開は一切なく、サラリと万引きのくだりは流れてしまいました。
あと、この先輩女性が、もの凄い男性遍歴の持ち主なのですが、
キャラがどうも立っていないのです。
『午後の保健室』 の保険の先生や、『すみれ荘二〇一号』の妻、
『諜報員メアリー』 のメアリーなど、女性のキャラには定評のある喬太郎なのに・・・
重ねて行く中で、進化することを期待します。
2.泣いたちび玉/彦いち
子役ブームの中、大衆演劇のちび玉を題材にした作品でした。
彦いちらしい噺で、テンポが非常によくて、私は好きでした。
あきることもなく、加減のいい笑いが散りばめられていて、良かったと思います。
ちび玉暦うん十年の老人子役の噺:シゲちゃんが主人公で、
子供演じ続ける為の努力話が結構笑わせてもらいました。
そんなシゲちゃんが「泣いた赤鬼」を、児童劇団風に演じるのです。
その中で、新しいちび玉をこの作品の中で育てるのだが…
体躯会系の臭いのする、彦いちらしい新作でした。
一番気に入ったセリフは、中村仲蔵をパロって言う。
「できたなぁー 中村仲蔵」
3.心をこめて/昇太
『おやじの王国』や『人生が二度あれば』みたいなテーストの作品。
昇太ワールド全開!とまではいきませんが、小品ながらピリっとしていて、
昇太らしい観点の新作でした。倦怠期を迎えた夫婦が題材。
本音の会話が不足している夫婦、旦那が行きつけの定食屋での、
店主とのなにげない会話から、夫婦の本音の会話の大切さに気付くという噺。
なかなか、大爆笑でした。流石、昇太師匠と思いました。
4.鉄砲のお熊/白鳥
おいおい、白鳥さん。この『鉄砲のお熊』は、圓丈&白鳥親子会で根多卸しした噺。
それを、なんの引け目も感じず、ここ本多劇場でも“根多卸し”と呼んでやっています。
親子会の場所が、本多劇場からは目と鼻の先、北沢タウンホールだぞ!!
さて、そんな二回目の『鉄砲のお熊』は、二割程度噺がいじられていました。
「なでしこ」が、キーワードで、これをオチに取り入れおりましたが、
全体としては、超熱演でガソリン切れになった親子会を反省し、
適度に盛り上げる力をセーブしたお熊でした。
さて、SWA Finalの点数は、85点です
。