今年も、結局、行きました「志の輔らくご」in ACTシアター。
昨年が、あまりイイ席じゃなくて『高瀬舟』で、爆睡してしまいました。
しかし、今年は、そんな事もなく“タップリ”志の輔らくごを堪能しました。
まず、会場の雰囲気が「赤坂」「ACTシアター」「5,000円」という事もあり、やっぱり落ち着いた客層です。
30代、40代の女性も、お洒落です。明らかに「にぎわい座」とは、客層が違うと感じます。
携帯電話鳴らすふとどきものが居ません!この会が、都内最後の「志の輔らくご」だから、気合いが会場にも入っています。
そんな会場の緊張と気合いを感じたか?志の輔のマクラの入りが堅い。
しかし、そんな空気も、人口が10月31日で70億人を越える話でなごませます。
「インドや中国は、合わせて20億は隠していますよ!」が受けていました。
更にマクラは、年金の話になりヒートアップしました。
年金の話で客を充分暖めてから、一席目の『意義なし!』へ。
毎年聴く根多ですが、好きなフレーズが多々ある新作落語です。
築35年のマンションの自治会での四人のメンバーのキャラ作りが、流石、志の輔!
セキュリティに目覚めたマンション住人が監視カメラをエレベーターに付ける算段をしますが、
監視カメラ業者の営業マンを質問するうちに、監視カメラは高額過ぎる!
と、言う結論に達するのだが…
そのエレベーターセキュリティの代替案が傑作なんですよねぇー
「ガマの油の要領で、全面鏡貼りにする」
「お札を貼って、下に花を置く」
「絵に描いたダミーエレベーターを造る」
「エレベーターを1階に止めずに運行する」
横で聞いていた第三者の営業さんが、呆れかえってしまい
「何も決まらない無意味な自治会だ!」と言うと、
「いいえ、ちゃんと決定事項はあるよ、『ビールは冷たいに限る』」がオチです。
『意義なし!』を終えて、早変わりに着物を着替えて3分で再登場の志の輔。
カーキ色の秋らしい着物で、新幹線とゲリラ豪雨の話をマクラで振りました。
やるぞ!『みどりの窓口』と思ったらやりました。『みどりの窓口』
これは、今年二回目。ですが、この話と『バールのようなもの』は、何度聴いてもイイ繋ぎ噺です。
理不尽な客を、耐えて!耐えて!笑顔で応対するみどりの窓口の係員。
姑を温泉宿へ連れて行く嫁さんが、特急の指定席が取れずに不満をブチまける。
老夫婦は、孫を連れて宮崎旅行をと言うのだが、東京発~福井~長野~東京~小倉~宮崎と言う、
大江戸線の巨大版みたいな東日本周遊プランをリクエストされる。
最後に、チャキチャキの江戸っ子が現れて、オンラインシステムの発券を理解できず「切符を並べて見せろ!」と、言われ切れてしまう係員。
友人と居酒屋で、ヤケ酒を食らうのだが、結局、木乃伊取りになる。
仲入り後、久しぶりに日本人大関が誕生した話から、四文字熟語「万里一空」を紹介。
そこから武士道と殺陣の話へ。時代劇に付いても殺陣を通して語りました。
そして、トリ根多は『柳田格之進』でした。
これは、PARCOで1ヶ月演じた根多でもあり、志の輔なりのサゲが賛否両論がありました。
柳田格之進と、質屋の萬屋、そして、萬屋の番頭。
この三人の描写で、志の輔の柳田は、武士道を感じると言うより、
ラストの甘さが印象的な武士なのです。ありえないと感じます。娘のお絹に二度負ける父親が描かれます。
柳田格之進は、武士の一分に生きる男でないと。妥協できない一本気が柳田です。
何度聴いても、志の輔の『柳田格之進』は、甘いのですが、
しかし、番頭が嫉妬から五十両を盗みませんか?と、柳田の長屋を訪ねる場面、
ここの二人のやり取りは、間と会話の切り返しのスピードが絶品!大満足でした。