五月の連休中に始まった、この会も、ついに最終回です。


開口一番は、この会では一番回数が多い柳亭市楽くん!

この日は、『悋気の独楽』をやりましたが… 全く成っておりません。


21人抜きした先輩が出たんだから、工夫や努力に磨きが掛かろう口座なのに…

この市楽くんみたいな、大学出てから前座~二つ目を経験した人は、一分/一秒たりとも早い出世を目指すもんなのに…


全くできてません。真似すらできてないのが許しがたいヨ。


この噺は、まず定吉ですよ!これが、可愛くありながら、小まっしゃくれていて、

御上さんは、悋気!悋気!なんだけど、女としては駄目ですが、母としてはできてる感じ!

そして、旦那様は、それなりの貫禄と女好きな道楽のバランスがある。

そんな、登場人物の人間描写がゼロなのです。まぁ、重て個性なんて、全然期待できません!


かなり残念な一席でした。

そんなフラストレーションが貯まる市楽の『悋気の独楽』を受けて、三三くん登場!


硬い。流石に、最終回だけに硬い表情です。そして、マクラは南足柄/調布と一緒で、しかも、早口です。

そんな早口なマクラで、素人の天狗連に間違われた話を降ってから、『嶋鵆沖白波』へ


今回は、勝五郎と正吉が仇討ちをする噺からなんだけど、

細かい描写が、この後の噺と被るから軽い「ト書き」読みなのです。


うーん惜しい、ここは、人情噺にして、泣かせる展開にして欲しがった!

悪くはないのです。三三くんらしい展開ではあるのですが…


盛り上がりが少ないのです。仇打ちのドラマを演じれば、そして、親子の別れもあります。

少ぉーし臭い展開でいいから、お涙頂戴的な人情噺に仕上げて良い場面だと思います。


ここをあえて、サラリにして最後を濃くする展開なのか?と思いました。



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最後の嶋鵆沖白浪は、島抜けした残る3人の結末を、

実に、三三くんらしい落ち着いた痺れるような語りで聞かせました。

特に!特に!花鳥(おとら)が、玄雀を殺す場面がおどろおどろしいのです。


寝ている玄雀に背後から忍び寄って、口に手ぬぐいを詰め、

目を開ける暇を与えず、匕首(あいくち)でブスリっ!と背中から心の臓を付く!!

「うっ!」という短い断末魔の声を発して、果てる玄雀。

血をタップリと吸った布団ごと、その亡骸を包んで、

更にそれを簀巻きにして、近くの川へ捨てようと縄掛けにして担ぐ花鳥。


ここが、実に迫力のある押し出しタップリに語られました。


圓朝作品もそうなのですが、この時代の落語は、

人間関係が、手繰り寄せられるように、複雑に絡み合います。

ラストの場面でも、花鳥が中で惚れた旗本・梅津長門。

こいつが使っている女中が、実は、長門が殺した田舎者のお大尽の娘。

そして、花鳥が梅津長門の居所を見付け出して、強請る現場で、

女中が話を立ち聞きしたもんで、全てが役人の耳に入るという結末です。


玄雀は、皮膚病だか疱瘡だかにかかり、瀕死の状態で、

花鳥と喜三郎の長屋を訪ねるが、足でまといだと殺される。

その死骸を捨てに出た花鳥は、梅津長門の女中:お花の訴えで御用になり、

島抜けと玄雀殺しで、ついに打ち首獄門!!梅津長門は切腹に。

 

独り生き残った喜三郎は、自首して出ると、小伝馬町の牢名主としてお上に飼われる身に。

そして、ある大火の日に、赦免となり牢から出されるが、なじみの親分金太郎宅で病死する。

つまり、唯一、佐原の喜三郎だけが畳の上で亡くなったという「嶋鵆沖白浪」の長い結末です。


欲を言えば、もう少し最終回に山場が欲しかったですね。

やや、拙速にも感じましたが、ちょっと欲張りかもしれません。

また、再演が二年先か?三年先にあれば、聴きたいと思います。

 

 

そして、点数は90点です。あの開口一番は本と要らないと思います