志の輔が二時間の長講を一席やると思って、本多劇場へ仲間と行きました。結局、二席二時間で普通の落語会と同じ感じ。

ただし、舞台が「正月のPARCO」を思わせる扇形のストリップの“出べそ”みたいなステージがあつらえられておりました。

マクラで○○の秋と話を振って「つかこうへい」「小林幸子」と、最近観たライブの話をして、初オペラ体験の話へ。

演目は「カルメン」、演じ手は「ボローニャ歌劇団」6列目で5万円の席だったそうです。

更に話は、読書の秋へ。最近のベストセラー、「なでしこ力」を出した佐々木監督の話へ。

佐々木監督の奥様が「貴方!監督として訓示する時に、一つ注意したいことがあるの」と、言って鼻毛だけは出さないようにとアドバイスしたそうです

この後、長谷部選手の「心を整える」そして、話題は、相田みつをを経て、東野圭吾の作品へ。

で、一席目が東野圭吾の短編集「怪笑小説」の『屍の行方』へ。

『屍の行方』は、昨年夏ル・テアトル銀座でネタ卸しを聴いた作品。

あまり良い出来ではなかったから、封印されていたが、本多劇場でリベンジでした。

前回とは見違える/聴き違えるぐらいの良いデキでした。

「怪笑小説」の中の作品なので、ありえないぐらい奇想天外な展開の噺。

地価をキープする為に、屍を巡る戦いが展開されるのです。いやー去年より噺がスピード感のある切れの良い語りで、流石、志の輔です。

特に、長会長を中心に五人での会話が、前回より中身が濃くて無駄が削がれていて最高でした。

1回目、2回目、そして、カローラの社内での3回目と、五人の会話が鬼気迫りながらクライマックスへ。

いやぁー、一番志の輔らしい表現がカローラとメルセデスが重なり合う、踏切のカーチェイスの場面で、

「まさに、ホチキスがガシャンと重なるように、二台の車が」このシーンが大好きな場面。


ここを感じられるように成った今回は秀逸!!


さて仲入り後、もう一席やるの?と少し怪訝に思っていたら、“京都の流れる”うわぁー『高瀬舟』!

この噺には、辛い思い出があります。安田生命ホールで初めて聴いて、

その二週間後、にぎわい座でまたまた聴いたのです。

あちゃーと思っていたら、志の輔師匠には珍しく短く編集されていました。

特に、兄貴が舎弟の首に刺さったカミソリを抜く場面が、あっさりしていました。

以前は、ここを兄貴の口で、実に細かく描写していたと思います。

第一発見者の近所の老婆が登場するまでを、15分くらい熱っぽく語りましたが、

今回は、兄貴は夢中でカミソリを抜いたからよく覚えていないと言って、さらりと進む展開に成ってました。

この噺で毎度感心するのは、罪人と同心の演じ分けで、

罪人は後ろ手に縛られているように演じ、同心は手を前に膝の上に置く。

ここの切り替えの間合いがゆっくりしているのが、志の輔流です。