六ヶ月連続公演もあと残り2回。噺は大詰めです。
この会に「開口一番」が必要なのか?そう思いますが、
今回も若手の二つ目が開口一番で、ろべいくんでした。
喜多八師匠のお弟子さんで、ごくごく普通の若手二つ目です。
この日は、『咄家の夢』という噺をやりましたが、
特に、個性を感じるような部分が少なくて、少し物足りない感じでした。
『咄家の夢』、咄家さんが田舎町で、一宿一飯の恩義を受けたのですが、
そこは、超~物価の安い猟師町で、1銭で鯛が一匹買えたり、
1円も払うと、庭に鯉が泳いでいるようなお屋敷が持てるのでした。
その町で、お大尽扱いを受けて、絶頂の時に目が覚めて夢だったというオチ。
ろべいくんに続いて、三三登場!! 白い着物が涼しげでした。
そして、まずはマクラで、着物の話をしました。
当然、9月なので、もう一重の着物にするのが普通だが、
まだまだ絽の着物なんだと言う。デブの白鳥や白酒がそうなのは分かるが、
三三くんもまだ、絽の着物なのかぁーと思いました。
更に、話は着物が汚れる可能性があるような営業、
例えば、商店街のイベントでの立ってやる余興などでは、
ポリエステルの汚れてもいい着物で出かけるけど、
このポリの着物が、暑い!暑い!暑い!と、力説してました。
それから、昔やった戦隊モノとのコラボショーでの苦労話を語って、
『嶋鵆沖白浪』に入っていきました。
三宅島を島抜けし銚子に着いた五人:喜三郎とおとら、勝五郎と庄吉、そして弦雀。
喜三郎とおとらは、仇でもある馬刺しの菊蔵を追って房州・十日市場へ。
勝五郎と庄吉は、継母に乗っ取られた両親の店を取り返しに千住へ。
そして、弦雀は面白可笑しく生きるんだと当ても無く江戸方面へ。
喜三郎とおとらは、十日市場から成田を巡り菊蔵を探したが、
なかなかその居所は掴めない。諦めて、成田から江戸へ向かう道中。
ここで、雲助二人が若い商人を脅して、懐の百両を奪い取ろうって現場に出くわす。
松の陰から様子をうかがっていると、そこへ雲助の兄貴分と思われる渡世人が現れた。
月灯りに照らせれ、脅されている商人の顔を見て、喜三郎がビックリする。
「アレは、弟の吉次郎じゃねぇーかぁ」思わず声を出しそうになる喜三郎。
よし、俺が助けてやらねばと、舎弟の吉次郎と渡世人の間に入ろうとしたその時!
またまた月灯りに照らされた、その渡世人の顔を見て二度ビックリ!
吉次郎を脅しているのは、誰あろう!馬刺しの菊蔵ではないか?!
ここで出会ったのが百年目
馬刺しの菊蔵をおとらと二人で、滅多斬りにして殺した喜三郎でした。
それを、見てしまった吉次郎が「なんて、可哀想な事をする兄さんだ!」と嘆くのですが、
おとらが、喜三郎を弁護します。菊蔵から成田で受けた酷い仕打ち、
更には、喜三郎が、なぜ、渡世人にならなければいけなかったのか?
全てを知らされて、「兄さん!是非、両親に会ってください」と願う吉次郎を振り切って、
二人で、江戸は八丁堀へと身を隠し、長屋住まいを始める二人でした。
八丁堀で住むようになって、目的/菊蔵への仇討ちが済んで気の抜けた二人。
逃走資金の二十両も底を尽き、喜三郎が方々から借金をしてその日くらしをやっている。
それでも、借金のできるうちはいいのだが、徐々にそれもままならぬ。
そこで、おとらが大阪屋・花鳥として働いた時のなじみ。
大文字屋の卯兵衛という男と湯の帰り道にすれ違います。
これは、しめた!いいカモだと思ったおとら、卯兵衛に付文をします。
そして茶屋に誘って一晩をともにして、卯兵衛の煙草入れを盗んでその場を去るおとら。
後日のしるしに持って行ったのか?くらいの軽い気持ちの卯兵衛でしたが、
後日現れたのは、おとらではなく、喜三郎だったのです。
「どうせ、俺は凶状持ち、お前を道連れに死んでもいいんだぜ!」と脅されて、
困り果てた卯兵衛! 声も出ないくらいに驚いてしまった、その時です。
なにやら店の奥で、編笠を被った浪人風で1本刀を差した初老の男、
これがゆっくり近寄って来て、喋り掛けた「お前さんが、佐原の喜三郎かい?」と、
ビックリした喜三郎、「お前は誰だ!」と、その浪人の顔を見る。
どことなく自分にソックリな顔の初老の侍、はたしてこれは誰なのか???
それは、来月のお楽しみ!と、終わりました。
今回は、一番迫力のある展開でした。落語というより講談調です。
三三くんの良さが満開の会でしたね。最終回が楽しみです。
「嶋鵆沖白浪」その5の点数は、90点です!!来月も行く
ぞ。