喬太郎プロデュース/本多劇場で、6日間・7公演連続開催!


喬太郎七夜みたいな、下北沢の夜、落語ファンで酔わせる落語Carnivalの開催です。

志ん朝七夜/談春七夜に負けない、伝説の夜にして欲しいと思います。

昨日初日は、三題噺の会。「ハンマー投げ」「どぜう」「カザフスタン」で一席リレーで仕上げたらしい。残念ながら行けませんでした。

さて、今夜は喬太郎・白鳥・彦いちのリレー『双蝶々』をやるという企画です。

「圓朝ゆかりの古典『双蝶々』を彼らがどうやるのか?」

「白鳥・彦いち・喬太郎の三人がどんな新作を聴かせるのか?」

期待とは裏腹でしが、見事なリレーでした。

白鳥→彦いち→喬太郎とバトンが渡ったんだけど、白鳥の起承転結の“起承”では新作120%でスタート

それを彦いちが、“転”で、徐々に古典へと流れを変えて喬太郎へ。喬太郎はタップリ古典口調で泣かせる『双蝶々』で“結”

◆三遊亭白鳥

いきなり、長五郎と長吉の親子なのに、長兵衛と長吉の親子とやってしまう白鳥さん。

そんなのは、ご愛敬だが、リレーなんで後の二人はビックリ!ですよね。

そして、当然ですがまぁー噛みます。出川哲朗ほどじゃないけど噛み噛みです。

いきなり、「東京が、まだ江戸といった時代のお話でございます」と言う出だしで噛みましたからね、今回。


さてさて、白鳥パートは、長兵衛の倅、長吉がなぜぐれて悪の道に染まり、6歳で奉公に出されたか?この理由付けを語ります。


ある日、親と喧嘩した長吉は、家を飛び出してメルヘンの森で迷います。

その森で、不思議な二匹の蝶々・黒い蝶と白い蝶に導かれて、メルヘン婆の屋敷へと誘われます。

そこで、白い蝶「マッチ売りの少女」と黒い蝶「ヘンデルとグレーテル」の物語を見せられて、

自分の人生は、太く短い黒い蝶の物語のように生きるんだ!と決意するのです。


◇彦いち

白鳥ワールドの“起承”を受けて、新作の香を引きずりつつ、山崎屋で弟稚から手代へと成長した長吉を伝える彦いち。

まぁねぇ「マッチ売りの少女」と「ヘンデルとグレーテル」からのメルヘンの森を受けて

18歳と成長した小悪党の長吉を、どう彦いちが描くのか?と、思ったら、上手い入り方をしました。

そう、メルヘンの森で、登場した魔女(メルヘン婆)が、黒猫の化身に成って登場し、噺のアクセントになるのです。

この山崎屋の彦パートでは、芝居帰りの大家の娘の簪を掻っ払う現場を番頭に目撃されて、

廓での、番頭のマブの女郎を身請けする為に、店のお上さんの箪笥から百両盗むように脅される長吉。

結局、番頭とのやり取りを聞かれた定吉と番頭を殺して逃げる事になるのだが、

定吉は、座布団に例えて絞め殺すし、番頭は空手技で拳法を使いつつ、大根で殴ってトドメを刺します。彦いちワールド全開で終わります。


◆喬太郎

起承転結の“結”を、古典口調に〆た喬太郎。泣かせる、親子の再会を演出します。

そして、噺はどんどん張り詰めた空気になり、親子が和解して、父親が一張羅の羽織りを長吉に贈ります。

この時、人情噺の張り詰めた空気に堪えられなかったのか?喬太郎は、ここで長吉は、幼い頃に戻ったように、

羽織りをおどけて着て、両親を笑わせ和ませるのだが…


白鳥が“起”で使ったクスグリ「河童の王子様」を使ってボケるのです。喬太郎らしい!展開。


最後の取方に囲まれての「御用!」「御用!」の場面、そして、雪が降るのだが…

長吉が捕まる瞬間に言います「それは溶けねぇーだろう?なぁ、これは雪じゃない、蝶の鱗粉さ」

親子対面で、「いくら親父が八百屋だからって、大根じゃ人は殺せんと思う」も笑いを誘った。


一人30分ちょっと、三人のリレーで1時間45分の大作『双蝶々』さて、その点数は90点です。