開演の1時間40分くらい前に会場の日本橋亭に行くと、既に15人が並んでいました。

勿論、前売りで完売しています。この組合で木戸銭二千円も安いし、必ず、土日に開催されます。


さて今回は、こんな番組でした。


1.穴子のからぬけ/古今亭きょう助

最近、白酒くんの会には、この子が前座をする機会が増えていますが…

個人的には、朝呂久くんが良かった!おじさんと同じくらいかな?きょう助さん。

きょう助さん、大宮デン助みたいな毛濃い顔で、愛嬌はあるんだが、噺は平凡です。


2.粗忽長屋/白酒

マクラで花火大会の時の余興で、屋形船の中で花火が始まる前と後の時間繋ぎのバイトをやった経験を語りました。

このマクラから芸人は個性、つまり変わり者の集まり、そんな変わり者が集まった長屋の噺をと『粗忽長屋』へ。

最高に笑いました。粗忽のレベルがそこまで粗忽かと、笑わせます。
行き倒れを挟んで、マメな粗忽者の八五郎と、死体の身元を調べている町役の会話、

ここで、二人の会話なのに、いちいち八五郎が「誰?!」って、町役さんに確認するのが笑いを増しました!


3.棒鱈/甚語楼

これは、甚語楼独演会のお江戸日本橋亭で、つい最近聴いた根多。やや、がっかり。

そんな中、私の後ろの席の男二人組が、この『棒鱈』について話していました。

一人が通称・落語通、もう一人は落語を聞き初めて2年生みたいな感じで、

この落語通から、そろそろ寄席一辺倒からホール落語を!みたいな「指南」を受けている感じでした。

で、2年生が「なぜ、これは『棒鱈』なんですか?」と聞くと、落語通曰く

「最後に、コショウを振って造っている料理、あれが棒鱈なんだ」

更に、2年生が「サゲのコショウが入ったは?」落語通曰く

「コショウ=故障で、おじゃんに成ったのさ!」

あの2年生、間もなく「通」の嘘に気付くに違いない(笑)


4.松竹梅/甚語楼

これも、ココ日本橋亭で、彼の独演会で聴いています。だから先の『棒鱈』の答え合わせをします。

この『棒鱈』、なぜ棒鱈なのか?は、皆さん最初に聴いた時に思うはず。

私が調べた範囲では、「田舎侍」「芋侍」の事を、江戸っ子/町人の隠語で“棒鱈”と呼んだらしい。

で、この噺の最後に料理人がこしらえているのは“カラモドキ”、甚語楼は“タラモドキ”と言うけどね。

これは、棒鱈では勿論ないし、棒鱈は、正月の噺でもない。コショウを噺に登場させる為なんです。


で、「コショウが入った」は、普通に「邪魔が入った!」「水を注された!」みたいな意味で、使う流行語時代があるんですよ。

なんだろう、漫才のオチで「君とは、やっとられんは!」アレに近いフレーズで「コショウが入った!」を使う時代が有ったのです。


5.不動坊火焔/白酒

この噺も、彼独自のクスグリがテンコ盛りでした。これは、枝雀師匠の『不動坊』でも腹腸がよじれたが…

あの枝雀師匠に負けない存在になりそうな桃月庵白酒くん。特に今回の『不動坊』では、鉄瓶持って風呂に行くでしょう?

その風呂屋で、不動坊の妻を後妻に貰う“吉ッ”さんのお惚気が強烈でした。

今までの『不動坊』では、『湯屋番』の若大将的な独り芝居/妄想なのですが、

白酒くんのは、二人組なんですよ。善意の第三者が、湯屋で、ドンドン、ドンドン、引き込まれ、

断れなくなって吉ッさんの妄想に引き込まれて、同化してしまうのです。

今までは、吉ッさん独りが湯舟に笑いながら沈むのに、抱き合って二人で笑いながら沈むんですよ。


こいう噺は、流石、桃月庵白酒!と思わせます。



次回は、11月です。甚語楼!根多を増やして下さいね。


笑いました!今回の白酒くんの『不動坊』の前半

今までありえません。普通だと「ト書き」で笑いの下地を敷くのに、

そんなのは、客は知っているはずと端折るんですよ!基本的に会話ダケの落語式なんですよ。


ただ、白酒落語の面白いのは、余計な説明をト書きにせず。伝わらないリスク覚悟で、会話/落語/口述なんです。


『粗忽長屋』『不動坊火焔』


どちらも、白酒らしい仕上がりで大満足!



一方、甚語楼は『松竹梅』と『棒鱈』でしたが、演目を増やして欲しい!

どちらも、1年以内に独自会で聴いた根多でしたからねぇー



さて、白酒・甚語楼の会の点数は92点!この内容で二千円の木戸銭は、本とに、安いと思います。